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知事記者会見(「ひろしまレポート2025年版」:令和7年4月18日)

印刷用ページを表示する掲載日2025年4月18日

​ 記者会見などにおける知事の発表や質疑応答を広報課でとりまとめ、掲載しています。
 なお、〔 〕内は注釈を加えたものです。
 動画はインターネットチャンネルのサイトでご覧になれます。

会見日:令和7年4月18日(金曜日)

発表項目

〔動画〕

  • 「ひろしまレポート2025年版」について

質問項目

  • ​「ひろしまレポート2025年版」について

会見録

(司会)
 定刻となりましたので、ただ今から知事会見を開催します。本日の発表項目は、核軍縮等に関する「ひろしまレポート2025年版」についてでございます。なお、本日の会見には、国際平和拠点ひろしま構想推進委員会座長、元国連軍縮担当事務次長、前内閣府原子力委員会委員の阿部信泰様と、公益財団法人日本国際問題研究所軍縮・科学技術センター所長の秋山信将様にご同席いただいております。終了時間は14時を予定しております。これよりご説明に移ります。ご質問は湯崎知事、秋山様、阿部様の説明終了後にまとめてお願いします。それでは、ご説明をお願いいたします。

核軍縮等に関する「ひろしまレポート2025年版」について​

(知事)
 それでは、「ひろしまレポート2025年版」の発表をさせていただきたいと思います。今ご紹介がありましたけれども、本日は国際平和拠点ひろしま構想推進委員会の座長であり、ひろしまレポート研究委員会の外部評価委員をお務めいただいております、阿部信泰様、及び「ひろしまレポート」ご担当の、公益財団法人日本国際問題研究所軍縮・科学技術センター所長の秋山信将様にご同席いただいております。「ひろしまレポート」は、「国際平和拠点ひろしま構想」を具体化する取組の1つとして、各国の核軍縮・核不拡散・核セキュリティに向けた取組状況を国内外に発信することで、国際社会における核兵器廃絶のプロセスを着実に進めるための機運醸成を図ることを目指しており、取りまとめは、日本国際問題研究所に委託して行っております。お手元の「ひろしまレポート」の概要版をご覧いただければと思いますが、評価対象国と評価項目ですが、概要版、2ページの下段の表の通りでございます。評価対象国は、34ヶ国、評価項目は78項目で、いずれも昨年と同様です。次に、概要版の2ページ、評価の対象となります。昨年、2024年の主な動向についてでございます。2024年後半には、核兵器廃絶に向けた国際的な機運を高める大きな快挙とも言うべき日本〔原水爆〕被〔害者〕団〔体〕協〔議会〕のノーベル平和賞受賞という出来事がございました。しかしながら総体として、2024年は、核軍縮の進展は残念ながらほとんど見られませんでした。ロシアによるウクライナ侵略の長期化と、その中で繰り返される核兵器による恫喝、中国・北朝鮮の核兵器開発の進展や、欧州などにおけます、核の脅威に対する、安全保障上の懸念からの核抑止への依存強化など、核保有国による実質的な核軍拡競争というのが、着実に進んでいるような状況でありまして、核兵器が使用されてはならないという「核のタブー」が危機に瀕しているといえるような状況です。また、核問題を巡りましては、核兵器国、非核兵器国間だけではなく、それ以上に核兵器国間で分断化、深刻化していると言わざるを得ない状況で、核問題にかかる合意の形成を一層難しくしております。分野ごとにご説明をいたしますと、まず核軍縮分野、概要版3ページからとなっております。核保有国及びその同盟国は、国家安全保障における核抑止力、拡大核抑止を重視する傾向から脱却することもなく、核保有国は核戦力の近代化を進めております。とりわけ、中国の積極性というのが目立っておりまして、核軍縮をめぐる状況は厳しさを増しているというところです。また、核兵器禁止条約につきましては、署名国、あるいは批准国が増えていますが、核保有国及びその同盟国は、条約に署名しないという方針は変えておりません。次に、核不拡散分野ですが、概要版7ページからとなります。北朝鮮が積極的に核・ミサイル開発を継続しておりまして、ロシアや中国は、国民安全保障理事会などの場でその開発を擁護するような発言を繰り返しております。また、イランが包括的協働作業計画、いわゆるJCPOAの規定を大きく超えて、濃縮ウランの生産を増加させるなど、義務の不履行を引き続き拡大させております。続きまして、核セキュリティ分野は、概要版8ページからとなります。ロシアによるウクライナ侵略における原子力発電所の攻撃や占拠によりまして、施設の原子力の安全性と、核セキュリティが損なわれかねないような状況になっています。また、原子力施設に対するサイバー攻撃やドローンを用いた妨害破壊行為の脅威には引き続き注視が必要でありまして、核セキュリティのためのAI活用と、それがもたらすリスクも、また懸念されているところであります。続きまして、2025年版発刊にあたって、発信力向上のための取組についてご説明いたします。被爆80年を迎えるに当たりまして、各分野の第一線で活躍する有識者や、被爆者である小倉桂子さんをはじめとする広島にゆかりのある方々に、被爆80年をテーマにコラムを執筆していただきまして、冒頭にまとめて掲載をいたしました。被爆80年という節目の年を、様々な立場の方がどのように受け止めておられるか、また、今後の期待といったことを知ることができる大変興味深い内容となっています。「ひろしまレポート」の本編につきましては、各国の国連代表部や大使館に送付いたしまして、核兵器廃絶に向けた機運の醸成を図る一助となるよう、広く発信してまいりたいと考え、さらに、今月下旬から開催されます、NPT運用検討会議第3回準備委員会に参加をする際に、各国の政策担当者等への配布や、会場におきまして、各国の評点率をまとめたバナー展示、また本レポートのPDF版にリンクするQRコードを示したカードを参加者に向けて配布するなどの取組をしたいと考えております。また、昨年に引き続きまして、電子書籍版をリリースして、読者の利便性を高めることで、より多くの方に読んでいただくための取組も進めてまいります。さらに、一般の方向けにレポートのポイントをまとめた小冊子でございますが、これについては県内外の教育機関から利用したいという声を多数いただいておりまして、今後2025年版の周知を図るとともに、利用を希望される学校への配布を進めていきたいと考えております。本県につきましては、引き続き、こういった取組を通じまして、国際社会における核兵器廃絶プロセスを着実に進めるための機運醸成を図ることで、核兵器のない世界の実現が大きく前進するよう取り組んでまいりたいと考えております。それでは2024年の核軍縮・核不拡散・核セキュリティをめぐる状況の動向につきまして、まず秋山所長、そしてその後続きまして、阿部大使にご説明をいただきたいと思います。それではまず秋山所長お願いいたします。

(秋山所長)
 ありがとうございます。日本国際問題研究所軍縮・科学技術センター所長の秋山と申します。まず最初に、この「ひろしまレポート」を、長年にわたって広島県の委託ということで、資金提供を受けて、このようなことを出し続けることができております。広島県のイニシアチブに深く感謝を申し上げたいと思います。というのも、これはあまり多く知られていないかもしれないですけれども、この内容〔は〕、極めて網羅的で非常に正確かつ詳細に渡っておりますので、これを知った国際社会の色々な研究仲間からは、非常に高く評価をされているものであります。こういう定点観測的に評価を続けていくというのは、非常に地味ではありますけれども、核軍縮の取組を下支えする非常に重要な取組だと我々は思っていて、この序文の方にありますけど、研究委員会のメンバーの全ての方が非常に高いレベルでコミットメントをしてくださって、非常に高いクオリティの報告書ができ上がったと思っております。ですので、もしお時間があればぜひ、詳細をご一読いただければと思いますけれども、お忙しいと思いますのでここでは幾つかポイントをかいつまんで説明をさせていただければと思います。知事の方からもお話があったので、重複する部分は少し省略しますけれども、大きく言うと、まず第1に、核軍縮をめぐる状況というのは、引き続き悪化を続けているという大きなトレンドがありました。他方で、日本被団協がノーベル平和賞を受賞したというのは、これは、そうした状況の悪化に一定程度の歯止めをかけることが期待されているわけですけれども、他方で、やはりそうした期待が高まっていることとは裏腹に各国の行動というものを見た場合に、必ずしもそういうことにはなっていないのかと〔思います〕。つまり、やはり核兵器を使わない、核兵器を排除すべきだという規範の重要性は認識するけれども、やはり安全保障上の現実というものが横たわっているということであります。このレポート〔について〕1つ申し上げると、2024年の評価でありますので、2025年以降、1月以降に関しては特に入っておりません。ですから、皆様の現状、現在の認識と多少ずれがあるかもしれませんけど、その点を含み置きいただければと思っているところであります。まず、核兵器の保有数ですけれども、大体約1万2,000発が存在していますけれども、北朝鮮、中国、それからパキスタンあたりです。核兵器の数を増加させているということで、この核兵器が着実に減少していくトレンドが、反対に転ずるというリスクが高まっているということであります。他方で、核兵器の非人道性ということに関して言うと、新たな動きとしては、国連総会において、核兵器使用の影響について検討するための、国際的な、科学的な調査を行うパネルの設置をすべきだという決議がなされていて、これは核兵器の被害を明らかにするということによって核兵器の使用の敷居を上げていこうというところの1つであります。これも広島県からいくつか貢献がなされていると聞いております。それから、他方で、核兵器の削減ということで言うと、あまり大きな動きはなくて、アメリカ、ロシアとか中国に核軍備管理の協議を打診していますけれども、それらを受入れられず、また、新STRATの履行をロシアは停止をしているという状況です。さらに、公式なデータが中国から明らかにされていないので、実態は不明ながらも、アメリカの評価によれば、中国は2030年までに1,000発以上の核弾頭を有するという見通しについては、2024年の段階での修正が出されたということではないということであります。また、〔核〕軍縮で大きな関心があるだろうと思われるところでは、いわゆる制限的政策でありますけれども、核の先行不使用であるとか、唯一の目的であるとか、それから核兵器を非核兵器国に対して使わないという消極的安全保障、そうした制限的政策に関して言えば、これは大きな進展もなく、また後ろ向きの状況にもないということで、状況があまり変わっていないということかと思います。他方、ロシアがウクライナの戦争に絡んでいたと思いますけど、ベラルーシに対して、拡大核抑止の共有をするということを軍事ドクトリンに記載しましたし、それから、ベラルーシに戦術核を配備しているとされているということで、その核の拡散のリスクというのは、高まっていると見積もっているところであります。それ以外で、例えば、包括的核実験禁止条約ですけれども、現状においては、北朝鮮を除いて核兵器を保有している国はモラトリアムを宣言しておりますけれども、いくつかの核保有国は、臨界前核実験とかコンピューターシミュレーションを実施しています。日本は、このCTBTに関してフレンズ会合を立ち上げていましたけれども、その後の交渉には進展がないということであります。また、兵器用の核分裂性物質禁止条約の交渉〔ですが〕、これも長い間、ジュネーブの軍縮会議において、交渉が停滞しているわけですけれども、これも9月にフレンズ会合という有志国の会合を立ち上げて、交渉を促進させようという取組がなされましたけれども、残念ながら、その交渉に進展はなく、また、中国、インド、イスラエル、パキスタン、それから北朝鮮は、こうした核分裂性物質の生産のモラトリアムを宣言をしていないということであります。透明性が、どの国がどれぐらい核を持っているかということを報告するという観点ですけども、1つ動きがあったのは、アメリカは2021年に続き、2024年の8月に自らの核兵器保有数、それから廃棄数に関しての情報を機密解除してそれを公開したという数的な透明性ということに関して言うと、必ずしも透明性を高める取組はなくて、中国なども、例えば、自らの意図・政策は透明ではありますが、実際にその数的な透明性という観点では貢献がありません。あと、軍縮不拡散教育の重要性というのが2023年のサミットの頃から言われておりますけれども、この軍縮教育の重要性を改めて色々な国際社会の場で、強調されておりますが、日本が出資したユース非核リーダー基金の第一期プログラムが2024年に開始されて、広島・長崎を訪問したということがありました。核不拡散に関しては、イランの問題というのは引き続き大きな懸念でありますし、中東でいうと、中東における非大量破壊兵器地帯の設置に関わる会議にイスラエル及びアメリカは参加しなかったということ、それから、あとは多少細々とした動きでありますけれども、原子力の平和利用、原子力発電というのが、最近、国際社会に関心が高まっているということがあって、そのうち、大きな潜在的な〔利用国である〕サウジアラビアが包括的保障措置協定の全面実施をする、それから、あとはイギリス、アメリカそれからオーストラリアの枠組みで、オーストラリアが原子力潜水艦を受け取るというか、アメリカ・イギリスから受け取ることに関して、それに関わる、核燃料の保障措置の問題というのが、今不拡散の分野では、1つテーマとして大きく取り上げられていますが、これについて、中国などから批判が高まっているということがあります。ロシアによるザポリージャ原発の占領ということが引き続き、IAEAによる保障措置活動の障害となっているという懸念があります。あと、核セキュリティに関して言うと、いくつか、これは大きな動きではありませんけれども、重要なものがあって、例えば、この、核物質防護に関して各国がどれぐらいしっかり取り組んでいるかということを確認する、ピアレビューのミッションというのがあって、これはバイパスミッションというのですけれども、これを2つの国が受け入れているとか、あとは、これまで核物質防護条約改正版を批准していなかった、南アフリカがこれを批准したということは、専門性が高いのですけれども、大きな動きとしてございました。それから、国際社会全体で関心を高めていくという観点でいうと、IAEAが核セキュリティに関する国際会議を4年ぶりに開催したという動きもございました。少し長くなりますが、もう1点だけ、この概要版の12、13、14ページにそれぞれ各国の昨年からのスコアがありまして、核軍縮の部分を見ていただくと、やはり、残念ながらですけれども、いくつかの国は、この核軍縮に関するポイントを減らしています。特に欧州を含めた、アメリカの同盟国においてのポイントの減少というのが見られるわけですけれども、これは核兵器に対する脅威の高まりというものを反映しているのだろうと、他方で、核兵器禁止条約に署名している国や積極的な国というのは、その核軍縮の取組を、少しですけどポイントが高くなっているということを見ると、ある意味では核兵器を持つ、核軍縮を推進するというグループとそれから核兵器の役割を再確認をするという国の間で、多少分極化の傾向が見られるというのが去年の傾向であったと言えるかと思います。私の方から以上です。

(知事)
 それでは続いて、阿部大使お願いします。

(阿部大使)
 おはようございます。私からは今、秋山先生から詳しい説明がありましたので、ざっと私の印象を説明申し上げたいと思います。昨年起きた現象の中で、1つ注目すべきことは、日本被団協がノーベル平和賞を受賞したということで、これはやはり核兵器使用の非人道性を世界の人々へもう一度思い出してもらいたいと、それから、核兵器廃絶も今非常に必要で緊急な課題だということを再度強調したかったということではないかと思います。同時に、この被団協を中心とした核兵器廃絶運動を大いに推進してもらいたいという奨励の意味もあったと思います。そういう意味においても、この広島に関係者が来て、核兵器使用がいかに非人道的なものかというのを見てもらい、またそれの話を聞いてもらうということが非常に重要になっていると思います。なおかつ広島で原爆投下の写真・映像あるいはお話をいろいろ見たり聞いたりしてもらうわけですけども、1つ付け加えないといけないことは、今や世界の核兵器は広島の核兵器よりも、数十倍、あるいは数百倍も強力なものになっていると、従ってその影響というものもまた極めて驚異的なものになっているということも、これは世界の人に強調して知ってもらわないといけないと思います。核軍縮については、この報告書にあります通り、核軍縮の動きは全く停滞した状況にありますし、あるいは一部のものは後退した動きという状況にあるわけですが、その1つの大きな原因は、ウクライナでの戦争をめぐって、アメリカとロシアの関係が非常に悪化していて、ロシアなどはアメリカの要求は一切受け付けない、アメリカとの合意は一切守らないというような対応を取っているわけで、これが大きな原因かと思います。同時に、現在においては核兵器を実際に使用するという恫喝な動きもあり、また実際にそれが使用される危険性も増大しているというのが現状ではないかと思います。同時に核兵器を持っているアメリカ、ロシア、中国、イギリス、フランス、それらの国も、いずれも核戦力の近代化、核兵器を増強しているという状況で、非常にこの核軍縮の問題は、後退の傾向にあるということは言えるかと思います。そこで、ではどうすればいいのかということですが、私の見るところはやはり、ウクライナ戦争をできるだけ早く終結させて、アメリカ、ロシアとその他主要国の間の関係を再構築をして、軍備管理の収縮、それの議論、あるいは色々な合意を再構築していくということが今必要なのではないかと思います。また、実際にはそれはなかなかすぐには動かないし、難しい問題かもしれませんので、それまでの間はとりあえず、緊急措置としては、少なくとも、各国とも核実験を停止する、要はこれはモラトリアムと言っています。アメリカ、ロシア、その他の国が核実験のモラトリアムを今まで実行しておりますけども、これについても堅持をしていただきたいと、核実験の再開をスタートしないで欲しいということを守っていただくことが大事だと思います。それから、アメリカ、ロシアの新START条約なども現在ほとんど動いておりませんし、来年には失効するわけですけども、これについても少なくとも情報交換などのお互いの信頼醸成をするくらいは続けてもらって、相互不信によって、危険な状態に陥らないということを会議することは緊急の課題かと思います。また、核兵器については、例の核兵器禁止条約、TPNWがありまして、締約国会議にかかるわけですが、日本などはそれに少なくともオブザーバー参加をするということを実現する必要がありますし、それから日本はそれのみならず、被爆者の健康問題、これを支援するということ、あるいは、放射線に汚染された地域の環境を修復するという、この2点については日本は色々なノウハウを持っておるわけですから、条約に参加しないまでもそういった面では、具体的に関係国と日本は協力すべきものと考えております。核不拡散、核セキュリティの面については、核不拡散、これは1つはまずイランの問題ですけども、ここは実際にこの問題が絡んで軍事衝突に発展する危険性が今現在あります。アメリカももしイランが核開発をしないという約束をしないならば、事故という形をとる可能性を示唆しておりますし、イスラエルは以前からその可能性を検討しようと言われております。この問題については結局私は今のところ、やはりしばらく前に、イランとの間で合意した包括的共同作業計画、いわゆるJCPOAです。これは第1期トランプ政権のときにアメリカが離脱してしまったのですけども、結局やはり今アメリカはイランと色々交渉協議を始めていますけども、やはりそこら辺は、この合意の復活に戻るしかないのではないかと私は個人的に感じております。なかなかトランプ大統領自身はそれはだめだと言うかもしれませんが、結局、両者の打ち所は私はそこではないかという気がします。北朝鮮も核兵器を増強し、またその迂回手段もいろいろ開発しておりますが、ここについては、時々これはもう、北朝鮮が核兵器保有国として認めるしかないという声が出ますけども、私はあくまでも北朝鮮は核を持つべきでない、却下すべきという目標は堅持し続けるべきだと思います。当面は、しかしながら北朝鮮は、まだ放棄しそうにありませんので、当面は、アメリカを中心とした、抑止力で北朝鮮の暴走を押さえるということが必要だと存じます。また同時に、そういった北朝鮮の動きを踏まえて、韓国などではかなり、韓国自身も核武装すべきではないかという議論も相当起きております。これについては私は是非とも韓国の核武装を回避しなければならないと思います。それから日本国内でも、たまたま時々そういう議論が出てきますけれども、これを是非とも阻止しなければいけないと思います。最後に核セキュリティでございます。これは例のアメリカのニューヨークで起きた連続テロ事件、あれを契機に核兵器がテロ事件で使われたら大変だということで始まった努力なわけですが、私が見るところ、この努力は成功しています。あれからもう20年以上経っていますけども、まだ依然としてテロリストが核兵器を手に入れたとか、それを使ったということは全然ありませんので、そういう意味ではこの核セキュリティの努力は成功したのです。私の見るところ、成功したがゆえに、先ほどの話のようなことになったわけです。ある意味では成功の報いと言っていいと思います。実際には、依然としてこの核兵器はテロリストに流れる潜在的危険性は続いてるわけで、ここはやはり、以前から続けている地道な核兵器不拡散、つまり国家だけではなくてテロリストに流れることを阻止する努力というのが、今後とも堅持して続けていかなければならないと感じております。以上が私の所感でございます。ありがとうございました。

(司会)
 ありがとうございます。これより質疑に移ります。ご質問の際は、社名とお名前を名乗られ、湯崎知事、安部様、秋山様のどなたへのご質問かおっしゃってからお願いします。それでは挙手をお願いします。

(中国新聞)
 中国新聞の平田と申します。湯崎知事にお伺いします。冒頭でもお話があったように、日本被団協のノーベル平和賞受賞は快挙ということで、一定程度の核廃絶への機運を高めることができたのかと思う一方で、日本の核軍縮に関する評点が2年連続で低下したことが分かっているのですが、これに関しての知事の受け止めと、今年に関しては被爆80年という節目ですので、この節目に対して、核保有国や政府に訴えていくことを教えてください。

(知事)
 まず、日本の評点ですけど、基本的には評点自体は下がっているのですけども、これは昨年のレポートで一昨年の取組が反映されておりますけども、そこでは、G7広島サミットでの核軍縮に関するイニシアティブが入っていて、それが抜けてしまったというところで、評点が下がっているということです。という状況で、今そういう意味ではあまり変化がないというのが現状だと思います。残念ながら、核兵器禁止条約へのオブザーバー参加も紆余曲折の結果、やはりなかったということになっていますし、今年は被爆80年、しかもノーベル平和賞を日本被団協が受賞したというところで、この機運もやはりもっと使っていただきたいと思います。このノーベル平和賞についても、ともすれば、そもそも核軍縮だとか、核兵器廃絶に前向きな人たちをとても勇気付けて、そうではない人たちにはあまり影響を及ぼしていないのが現状です。特に核保有国に対しては、あまり関心もひょっとすると呼んでいないかもしれないといった状況が現実としてはまだあると思います。ですから、やはり日本政府としては、こういった受賞の機運をもっとテコに使うべきだと思いますし、〔被爆〕80年というところで、やはりベースは、核兵器の非人道性というところに立脚していると思うので、それをもっと、〔被爆〕80年だということで、改めて伝えていく、あるいはそれをテコにして、働きかけを強めていくということが求められると思います。我々もそれを求めていきたいと思います。

(中国新聞)
 ありがとうございます。

(司会)
 他にご質問のある方はいらっしゃいますか。よろしいですか。それでは会見を終了したいと思いますけれども、ただ今ご説明しました発表内容に関しましては、ラジオ・テレビ・インターネットについては、本日の13時15分、新聞については明日4月19日の朝刊をもって解禁となっております。それでは以上をもちまして知事会見を終了いたします。ありがとうございました。

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資料1_核軍縮等に関する「ひろしまレポ―ト2025年版」について (PDFファイル)(208KB)

資料2_ひろしまレポート2025年版_本編 (PDFファイル)(3.22MB)

資料3_ひろしまレポート2025年版_概要版 (PDFファイル)(3.82MB)

資料4_ひろしまレポート2025年版_小冊子_「核兵器をめぐる世界の現状を知っていますか?」 (PDFファイル)(5.31MB)

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