記者会見などにおける知事の発表や質疑応答を広報課でとりまとめ,掲載しています。
なお,〔 〕内は注釈を加えたものです。
動画はインターネットチャンネルのサイトでご覧になれます。
会見日:平成27年2月6日(金曜日)
平成27年度施策及び事業案の概要について(中国)
平成27年度施策及び事業案の概要について(朝日・TSS・中国) 〔動画ページ〕
平成27年度施策及び事業案の概要について(中国・朝日・読売・RCC) 〔動画ページ〕
平成27年度施策及び事業案の概要について(中国・HOME・日経・中国) 〔動画ページ〕
(事務局)
それでは,ただいまから平成27年度施策及び事業案の概要の発表を行います。知事,お願いいたします。
(知事)
それでは,平成27年度施策及び事業案の概要について,発表させていただきたいと思います。このお手元の資料をご覧いただきながらですが,まず1ページを開いていただきまして,新年度で特に力を入れたいということは3点あります。
1点目は,「生活再建と災害に強いまちづくり」ということで,これは昨年8月に発生をいたしました土砂災害において被災された方々の生活再建をしっかりと進めていくと。そして,災害に強いまちづくりを作っていかなければならないということであります。
そして,2点目が,人口減少問題を克服して,社会に活力を取り戻すという国の政策と一体となって対応するために,「地方創生」の取組を積極的に行っていくと。そして「住んでみたい」「住んで良かった」と実感していただけるような魅力ある広島県づくりを行っていくということであります。
3点目が「広島の使命」である「国際平和拠点ひろしま構想」の推進に,引き続き取り組んでいくということであります。
これらの取組につきましては,国の経済対策もありますので,これも活用しながら前倒して取り組んでいくということにしまして,平成26年〔度〕2月補正予算と〔平成〕27年度当初予算を一体的に編成をしていきたいと考えております。
施策のそれぞれポイントですけれども,まず,「災害に強いまちづくり」ということで,3ページからになりますけれども,土砂災害で被災された被災者の皆さまの生活再建や早期復旧に取り組むとともに,ハード整備のみでは対応が困難な場合があるということでありますので,計画的なハード整備に加えて,土砂災害警戒区域の指定の加速化といったソフト対策が一体となった効果的な防災・減災対策を進めていきたいと考えています。
そして「地方創生」ですが,これも3ページから4ページにかけてになりますが,「人口減少・少子高齢化」への対応ということにつきましては,平成22年に策定をいたしました「ひろしま未来チャレンジビジョン」におきまして,最も重要な課題の一つとして位置付けてきております。その中で「新たな経済成長」,「人づくり」,「安心な暮らしづくり」,「豊かな地域づくり」の4分野の政策を,相互に連関させて展開をしてきたところであります。国におきましても,人口減少と地域経済縮小を,東京一極集中の是正等によって克服しようという「地方創生」を大きく打ち出しておりますので,この国の政策に連動して,4分野の取組を一層強化をしたいと思っております。
「新たな経済成長」の分野においては,イノベーションの原動力となります,多様な人材や企業の集積に向けて,企業の本社,研究開発機能や,人材に着目した戦略的な投資誘致に取り組んでいきたいと考えています。また,アイデアが次々と生まれて,新しい事業が形となって,創業や新事業展開につながるような環境の創出に取り組んでいきたいと考えています。
そして,「人づくり」の分野ですが,将来の社会経済システムや県民の暮らしに大きな影響を与えます少子化,この進展を食い止めるために,結婚,妊娠,出産における切れ目のない総合的な対策を進めるほか,女性が仕事と子育てを両立しやすい環境の整備を進めて,家族で一緒に暮らしやすいファミリー・フレンドリーな広島県を実現していきたいと考えています。また,本県の社会減の主な要因であります若者の転出超過,この状況を打開するために,県外の学生の県内企業へのUターン,あるいはIターン就職を促進をしていくほか,将来のイノベーションの原動力となります人材を担う教育におきまして,幼児期から小・中・高・大学の各教育段階において,社会で活躍することのできる人材の育成のために必要な教育を推進をしていきたいと考えています。
「安心の暮らし〔づくり〕」においては,県民の皆さまがどこに住んでいても,安心して適切な医療や介護を受けることができるよう,効率的で切れ目のない地域完結型の医療,介護提供体制の充実強化を図るとともに,特に死亡原因の第1位のがんについては,予防や検診,医療,緩和ケアなどのあらゆる場面に対応する総合的な対策を推進していきます。
また,「豊かな地域づくり」の分野におきましては,東京圏から広島への新しい人の流れを作り出していくというために,自然と都市が融合した広島らしいライフスタイル,これを確立して,PRをしていくということによって,移住希望者の関心を惹きつけたいと。また,東京に設置をした定住相談窓口を活用していくということや,市町,また経済界と連携をして,移住の受入,支援体制を構築をしていくことによりまして,きめ細かいサポートを行って,本県への定住を促進をしていきたいと考えています。
中山間地域におきましては,地域を支える人材の確保や育成等の「人づくり」,農業や観光など地域特性を活かした「仕事づくり」,暮らしの安心を支える「生活環境づくり」の施策を総合的に展開をします。また,人材集積の核になります広島都市圏においては,多様な人材を惹きつける魅力ある地域環境を創出するため,広島市と連携をして,都市の付加価値を向上させるような取組を推進をしていきたいと考えています。
そして,ポイントの3つめの「広島の使命」ですが,これは4ページの下になりますが,平成27年度は,被爆,終戦から70年という節目でありますので,広島の使命である「国際平和拠点ひろしま構想」の推進に取り組んでいきたいと考えています。
そして,詳細は飛ばさせていただきますが,37ページまで飛んでいただきますと,平成27年度予算案の内訳があります。当初予算規模は9,982億円になりました。平成26年〔度〕2月補正予算がありますので,この経済対策予算と一体で編成をしたことで,実質的な予算規模は1兆86億円ということになろうかと考えています。財政健全化への取組を着実に進めるという一方で,国の経済対策を効果的に活用して,「災害に強いまちづくり」や「地方創生」などの重点施策へ経営資源を重点配分するということで臨んでおりまして,積極的な予算に仕上げたつもりであります。
それから,39ページをご覧いただきますと,中期財政健全化計画に向けた取組ですけれども,〔平成〕27年度が,この中期財政健全化計画の最終年度になっておりまして,主な3つの指標,「経常収支比率」「将来負担比率」,そして「実質的な県債残高」,この全てで目標を達成する見込みであります。今後,「災害に強いまちづくり」や「地方創生」を積極的に推進していくためにも,未だに全国的に高い水準にあります将来負担比率の抑制をはじめとして,より一層,財政健全化に取り組む必要があると考えています。
最後,全体のまとめになりますが,平成27年度は,〔ひろしま未来〕チャレンジビジョン10年の前半を,言わば,締めくくるという年になるわけでありまして,これまでの取組によって,さまざま成果は出てきていると思いますが,これらを次のステージに着実に結び付けていくということ。それから,国の政策とも連動しまして,「地方創生」の実現に向けて全力で取り組んでいくということ。これによって,東京一極集中への流れを逆転をさせていくと。そして,これは広島だけではなくて,全国の地方が取り組まなければいけないことですけれども,その流れをつくり出していきたいと考えています。また,こういった施策を推進するにあたりましては,県民の一人ひとりが豊かさというか,満足を享受できるというか,そういうことが必要であろうと思っておりまして,従前の発想にとらわれない「創意と工夫」によって,活力に満ち,元気で魅力ある地域づくりに取り組んでいきたいと考えているところであります。私からのご説明は以上であります。
(事務局)
それでは,発表事項に関する質疑に入りたいと思います。終了時刻は概ね14時を目途にお願いをいたします。なお,質問のある方におかれましては,マイクをお持ちいたしますので,挙手をして,指名をいたしますので,社名を名乗ってからお願いをいたします。また,資料ページが多くございますので,質問をいただく際には資料番号,併せてページ番号を示していただければと思います。では,よろしくお願いいたします。
(中国新聞)
中国新聞の金刺と申します。今,知事の発言の中で,「積極的な予算に仕上げた」とか「東京一極集中の流れを逆転させる」等の言葉もあったんですが,今回の予算案,知事としてはどういうネーミングといいますか,命名するとすると「何予算」というような位置づけができるんでしょうか。
(知事)
これタイトルにしていただけるかどうか,見出しにしていただけるかどうか,わからないんですけれども,やっぱり今年は全国的なことも考えても「地方創生」ということかなと思うので,我々としては「『地方創生』チャレンジ予算」かなと思ってます。
(中国新聞)
去年が「チャレンジ拡大予算」でしたかね。そういう意味で「地方創生」に,より特化していくというような知事の思いがあると受け止めてよろしいでしょうか。
(知事)
そうですね。「地方創生」というのは,これは今,国の方で出てきた言葉なんですけれども,広島県でこれまで取り組んできたことというのは,経済と,それから人と,そして,暮らしや地域,これを総合的に取り組んで,そして,地域の活性化というか,広島県の価値を高めていくと。そして,若い人を含めて,広島県にもう一度人を呼び込んでいくと。あるいは人口の流出を抑えていくということを目標にしてきたわけでありますので,そういう意味で,今回,国の「地方創生」という枠組みが示されているわけですけれども,それを進めてきたわけですが,それを改めてチャレンジをしていくという意味であるということですね。
(中国新聞)
今回「地方創生」ということを国が出してきたんですが,県としては前から取り組んでいるという要素ではあるとは思うんですけれども,そういう意味で,広島県内の転出超過というのはずっと続いているわけですよね。ある意味,先行して取り組んでいるけど,なかなか成果というのが出しにくいのかなと思うんですが,この問題に対する知事,どの辺りが難しい点というか,それを克服するポイントというのをどのように捉えていらっしゃるかという点をお願いします。
(知事)
やはり,今の人口動態を見ますと,3月とか4月に,進学あるいは就職で県外へ流出する若者というのが非常に多いという状況であります。これの原因はやはり,教育機関が,これは大阪も含めてなんですが,大阪というか関西,そして東京に集中をして,そこに出る人がかなり多いということと,それから,就職についても同様に,首都圏を中心とする就職機会が多いということがあって,これは首都圏に非常に膨大な数の大企業が立地をしているということとも関わりますけれども,そういうことがあって,そこを構造的に変えていかないと,これは単県の努力だけではなかなか完全に押しとどめるのは難しいというところだと思います。それを今回,国の方としても,今般の総合戦略の中で,東京圏の10万人規模の流入超を解消していくということを打ち出していますし,大企業の本社であるとか,あるいは研究機関といったところを,その移転を促進していくということも打ち出していますので。従来は「工場を立地します」ということだったんですけれども,今般は,特にそういう本社,研究機関といったような分野を移転促進するということを理念で打ち出しておりますので,そういったところと組み合わさって,実現を図っていきたいと考えてます。
(朝日新聞社)
朝日新聞社の清水です。よろしくお願いします。2年連続で総額は増額の見込みの,今おっしゃるような積極型予算だと思います。災害や,さっきおっしゃる「地方創生」に力を尽くす,限られた財源の中で,そういうところですけれども,そういう前向きな姿勢の中で,さっきおっしゃった将来負担比率や,県債残高,減ってはいますけれども。まだ,財政のお財布の課題が「まだこんな,こういうことがあるよ」というのがあれば教えていただきたいんですけれども。
(知事)
課題そのものは,今も,いわゆる借金の大きさ,これは財政の規模に比較して非常に大きいと。これは将来負担比率であるとかに表れるわけですけれども,そういうところがまず,あります。これは何が問題かというと,やはり財政の硬直性をもたらすものであって,今回の災害なんかもそうですけれども,何か緊急に支出しなければいけないというようなときに,非常に厳しい状況に追い込まれるということがありますので,やはりここはできる限り,借入と収入のバランスを図っていくということが必要です。
もう一つは,そこと関連しますけれども,今,歴史的な低金利で,そういう意味で我々も凌いでいるところはあるわけですけれども,これが金利が急騰するような状況になると,途端に財政が非常に厳しくなると。これは経常収支比率とも関連してきますけれども,利子が高くなれば経常収支比率も非常に悪くなると。事業をやめて利払いをするというようなことに陥りかねないので,そういうことも含めて,考えていかなければいけないというか,取り組まなければいけないということがあります。それから現在,今のこの中には含まれていないような,キャッシュ上の負担というものもいくつかありますし,あとは,それと関連してきますけれども,土地とか港湾の特〔別〕会〔計〕の将来的な返済,こういったこともあります。将来的に,こういうものを合わせるとそれなりの金額が必要になってくるので,それは,まさに将来,財政の機動性を失わせるようなものになりますから,こういったことも準備をしていかなければいけないと考えています。
(朝日新聞社)
今おっしゃった,土地,港湾とおっしゃるのは,おそらく企業局の会計,県からの繰入は新年度もない予定ですけれども,将来,いずれあり得べしという認識に立たれているという,可能性として考えていらっしゃるということでしょうか。
(知事)
いずれにしても,県の借入でありますから,県として何とかしなければいけないということだと思うんですね。それを具体的にどうしていくかということは,これから組み立てていかなければいけないことですが,いずれにしても,県の収入は同じなので,つまり,支払があろうとなかろうと。もちろん収入自体変動するんですけれども,それは変わらない。その中でどう賄うかという話でありますから,具体的な方策は別として,これへの対応というのは,しっかりと準備をしていかなければいけないということだと思います。
(朝日新聞社)
最後にもう一つだけ関連で。中期財政健全化計画,来年度末をもって終了いたします。計画の最終年度。いろいろ,3つの目標を達成された,達成される見込みだというように今,解説がありましたけれども,こういうことを進めていかないと,おっしゃられるように,限られた財源の中,県はいろんなことができなくなってしまうという中で,先の話で恐縮ですが,中期財源健全化計画の更新というか,また新たな計画について,今,どんな見通しでいらっしゃるのか,お考えをお聞かせいただきたいんですが。
(知事)
見通しというのは,内容ということですか。
(朝日新聞社)
いや,中期財政健全化計画の更新ということで,平成28年度以降,どういう計画をお立てになるお考えがあるのか,教えてほしいんですけれども。
(知事)
中身はこれからなんで,これからということで。これは議会とも議論しながら,まとめていきたいと思ってますけれども。いずれにしても,〔平成〕27年度中にまとめていくと。そのときには,いろいろなことがあります。今の特〔別〕会〔計〕の話だとか,これは港湾もありますけれども,の話もありますし,あまり言うとあれかもしれないけれど,クリスタルビルの話とか,あるいは,県庁の耐震化の話もありますし,長期的なアセットマネジメントというか,そういうようなこともありますし,そういうことをいろいろ勘案しながら,来年度,まとめていきたいと考えています。
(TSS)
TSS若木です。「『地方創生』チャレンジ予算」と名を打たれましたけれども,改めてこの地方創生といっても,本当に分野がたくさんあるんですけれども,知事として特に来年度,特にここに力を入れたり,新たにここは絶対にやり遂げたいという思いの部分があれば教えていただきたいんですけれども。
(知事)
一つは,去年までの中で「行ってみたい広島県」というのは結構浸透してきたのかなと思うんです。観光客も増えてきましたし。次のステップとしては「住んでみたい広島県」というところに移っていかなければいけない。それが実感できるような,魅力ある広島県というのを,内容的にも,アピール的にもしていかなければいけないのかなと思ってます。そういう意味では,そうは言ってもということで,また繰り返しになるかもしれませんけれども,これは一つのことで何か実現できるということではないんですね。
全部,やっぱり関連をして動いていくものなので,働く場という「魅力ある雇用」ということが,人を呼んでくるということになりますから,そのために,イノベーションの促進ということ,単なる低賃金の仕事がいっぱいありますということではなくて,やはり魅力ある,賃金も比較的高いと考えられるような,あるいは,やりがいがあるような仕事,こういった雇用をつくっていくために,イノベーションを促進をしていくということが必要だと思いますし,ファミリー・フレンドリーというのも,人を引っ張ってくる上では非常に大事なことで,これは,例えば,子育ての環境であるとか,あるいは人材育成の環境,こういった環境,これもしっかりと作らなければいけませんし,都市,それから中山間地域を通じて,やっぱり魅力あるところにするということ。広島は両方が近いところにありますから,それを組み合わせて魅力づくりを行っていくということも含めて,魅力ある地域環境をつくっていくということ,これが大事だと思います。
それをまた総合的にアピールをしていくというか,知っていただかないと来ていただけないので,例えば定住促進という,今,人を出して,ふるさと回帰支援センターで活動をしていますけれども,そういった活動の強化であるとか,そういったことを含めて,進めていきたいなと思ってます。
(中国新聞社)
中国新聞の松本です。今回の予算の柱の一つである「災害に強いまちづくり」なんですが,そのきっかけになった去年の広島土砂災害,いろんな行政的な課題なんかも浮かび上がったと思うんですけれども,この新年度にあたって,復旧であったりだとか,減災,防災の取組への改めて,意気込みといいますか,どのように取り組んでいくのかというのをお話しいただけますでしょうか。
(知事)
まず,被災者の皆さまが昨年被災をされて,その生活支援ということをしっかりとしていかなければいけませんので,これは国,県,市が連携をして,この生活再建の支援を行うということが重要だと思いますし,この復旧,これはいわゆる砂防系のことを含めて,復旧を最優先で進めていかなければいけないというのがまずあります。
それに加えて,ハード整備だけでは,やはり対応が十分でないということがあると思っておりますので,こういった防災施設を整備するというハード対策に加えまして,土砂災害警戒区域などの指定の加速をしていくということや,ハザードマップを作って公表していくといったような,ソフト対策を一体的に進めていく必要があろうと思います。
そしてもう一つ,力を入れていきたいと考えてますのは,土砂災害だけではなくて,災害というのは,いつどんな災害が起こるかというのはわからないと。主に土砂災害,それから洪水,地震,津波といったようなことが,あるいは高潮ですね。高潮も今は非常に大きくなる例もあるわけなんで,そういった想定される災害を最小限に抑えるために,「みんなで減災『県民総ぐるみ運動』」というもの,これは「災害死をゼロにする」という目標を打ち立てて,県民の皆さま,行政,それから事業者,それからいろいろな関係団体,これが文字どおり協働して,連携をしながら進めていくということ,これを強力に展開していく必要があろうと思ってます。こういった形でハード面,ソフト面,そして「県民総ぐるみ運動」ということで,災害に強いまちづくりというのを実現していきたいと思ってます。
(中国新聞)
すみません,中国新聞です。財政健全化について,ちょっと戻ってお伺いしたいんですが。次期,中期財政健全化計画のポイントとして,今の健全化計画では,公共事業の削減とか,定員の削減ですか,その辺りに力点を置いて,歳出改革を進めてきたと思うんですけれども,その路線みたいなものは変わらないのかどうか。
(知事)
我々,公共事業の削減に力点を置いて進めてきたというつもりはなくて,これは県債残高をいかに抑制をするかということ,これが取り組むべき重要なことであると。この県債残高というのは,県債を発行するから出てくるわけですけれども,県債の発行というのが建設債,それから退職手当債,その他財務上の特例的に認められているようなもの云々ということでありますので,これは不可避的に出さなければいけないものも含めて,あるわけですけれども,そういったものを抑えるということが目標であります。実態として,今回の財政健全化目標のうち,県債に関連する項目というのは前倒して達成をしてきていると思っていますけれども,それはこういった総合的な〔県債〕発行の抑制努力によって達成をしているわけでありまして,建設債なんかは,余計に発行抑制をしているわけではありません。
それから,人件費の部分も経常収支比率をコントロールしていくということが大きな目的でありまして,そういう意味で,これも人件費のみならず,さまざまなことを進めて,できる限り経常収支比率というのを低いレベルに抑えていきたいと考えているところであります。
(中国新聞)
次期計画にそれが盛り込まれるかどうかというのは,今,現段階では言えないというか,分からないということですか。
(知事)
それは総合的にどういう目標を置いていくかということがまずあって,それから,その手段については,これも総合的に検討していくということだと考えています。
(中国新聞)
財政の絡みでいうと,財〔源〕調〔整的基金〕を含む基金が300億〔円〕くらいだったかな,今,残っていると思うんですけれども。知事としては,どのくらいの,先ほど災害対応という話もありましたけれども,どれぐらいの規模を残していくことが適当かというか妥当かと,そのあたりの目安みたいなものは,知事自身はお持ちなんでしょうか。
(知事)
その目安をどうするかということについても,議論が必要だと思ってまして,現時点では,前回,財政健全化計画を作ったときには,比較的,取り崩していくのもやむなしという考え方で進めてますけれども,実態としては,それほど取り崩さなくて済んだという結果がありますが。そこは一つのバッファー〔余裕を持たせている部分〕なので,柔軟に考えつつも,逆に財政の柔軟性を考えると一定規模は必要だと思いますから,それが全体の中で,どれくらいのレベルにしておくかというのは,まさに重要な検討の対象だと考えています。
(中国新聞)
なかなか数字的なことは言っていただけないかなというのは分かるんですが…。
(知事)
今言ったら,〔次期計画が〕できちゃうことになりますから,そういうことではないということですよね。
(中国新聞)
今の300億円規模が十分かといわれると,そうではないと。
(知事)
いや,それは多ければ多いほどいいので。多ければ多いほどいいというのは,多ければ多いほど柔軟性は増すわけでありますから。かといって,そのためにあらゆる事業をやめて,そこに積み増しますということは適切ではないので,それは何と言うか,相関関係にあることですから,慎重な検討が必要であるということですよね。
(朝日新聞)
朝日新聞の清水です。その財政のことでちょっと関連で。2月補正を合わせると1兆円超という,久方振りの額です。しかし,知事,自主財源というか,実際自由に使える財源というか,これはそんなに,消費税率〔アップ〕の市町への交付金が450億円超もあるという話も含まれてますので,結果的に,災害とか地方創生にたくさん,重点配分したと言いながらも,結果的に,あまり金はまだまだ苦心しているよというお考えなんでしょうか。資金繰りというか,それについては。
(知事)
それは当然そうですね。そもそも,臨〔時〕財〔政対策〕債の問題もありますし,それから,今回,99億〔円〕くらい確保していますけれども,そもそもの広島県の財政規模の中で,法令でほぼ決められているような予算というのがほとんどを占めるという状況は変わらないわけですね。1兆円予算といっても9割方は福祉であるとか,法定で,もう支出が決まっているようなものであります。あるいは,ご承知のように,教員の数とか,警察官の数というところで,ほぼ事実上,決まっているようなところでありますから,それはまだまだだと,借金の規模もまだ大きいですし,そういうことを含めて,厳しい状況は続いているという認識です。
(読売新聞)
読売新聞の内田と申します。すみません,ちょっと財政の話から離れるんですが,昨年末あたりから,今まで県政の課題と言われてきたような,土木関係の,土砂災害ではなくて,例えば鞆の浦ですとか,広島高速5号線,それから広島市東部〔地区〕連続立体交差事業についてなんですが,今回,特に鞆の浦を含めてなんですけれども,今年度の当初予算編成に比べると拡充された感があり,一定の動きを見せたのかなという感じがするのですが,改めて,今後,如何様に,それぞれの,もちろん事情があるとは思うんですけれども,いずれにしても,県と地元が,対立とは言わなくても,ちょっと不協和音があるような部分だと思うんですけれども,次年度に向けて,どのように取り組んでいくかを改めてお願いしたいと思います。
(知事)
特にこういった予算というのは,予算があって結果があるのではなくて,結果があって予算があるということなんですね。ですから,これまで話し合いとか協議とか検討を進めてきた結果として,来年度はこういうことが取り組めそうだというものとして,予算が表れているわけです。
もちろん,まだ固まったわけではないものというのも多々ありますし,ご理解をいただかなければならないということも,たくさんありますけれども,いずれにしても,それぞれの案件において,利害関係者の皆さんと丁寧にお話をしながら,多くのケースは基本的な目標というのは,皆,共有をしているんだと思うんですね。ただ,そこに至るアプローチというのが若干異なっているということで,そこの擦り合わせが必要なんだと思いますけれども,そういう擦り合わせを丁寧にやっていくということが,まず基本だと思います。
(RCC)
RCCの友定です。ちょっとまたマニアック〔な部分〕に入っていくんですけれども。イノベーションの部分の「担い手が生活設計を描ける農林水産業の確立」という分野で,和牛の生産拡大であったり,林業の振興というところに改めて,広島のいわゆる,特に中山間地域の伝統的な産業というところに,改めてスポットを当てていらっしゃいますが,この辺の狙いというのをまず聞かせていただいていいですか。〔資料の〕15ページです。
(知事)
例えば和牛の話でいいますと,広島県は牛肉の移入県なわけですね。和牛というか畜産というのは,なかなか経営的に苦しい側面もありますけれども,場合によっては比較的大きな規模になり得ますし,収益も上がり得ると。そのためにはブランド化というのが必要ですし,県内で移入されている牛肉を県産和牛に置き換えることによって,所得の向上を図ることができる可能性があるというものであるわけですね。
したがって,広島牛というのは,特に和牛の源流のような部分がありますから,そういった部分を活用する,これは例えば比婆牛であるとかそういったものですし,広島県民が結構,「広島牛」というと価値を認めていただけるところもあるので,そこにアピールをして,これは「ブランド力」ということですよね,ブランド力を高めていくということ,そういったことに取り組んでいきたいというのが,例えば,この県産和牛というところであります。
いずれにしても,中山間地域を考えたときに,そこで仕事をつくるというのは,いろいろなことが考えられるわけですけれども,これは畜産も含む農業が,一つ,大きな希望であるということは変わらないことでありますから,そこがしっかりと所得を確保できる「業」として確立をしていくということが重要なことだと考えています。その結果,こういうことに力を入れていくということであります。
(RCC)
その担い手が生活設計を描けるとなっているのですが,それぞれの分野で,非常に現場で今やっている人たちというのは非常に高齢化しているわけじゃないですか。で,担い手になる人材育成も含めて言うと,今,ここに成果目標で,和牛であれば2か年くらいの計画,目標がありますが,どれくらいのスパンというか,人材育成も含めて,こういう取組をどれくらいの長期的なスパンで見ていらっしゃるか。
(知事)
そこは,元々ベースにありますのは「〔2020広島県〕農林水産業チャレンジプラン」というものがありますので,これは〔平成〕32年までの計画になっているわけですね。それに基づいて,今「〔2020広島県農林水産業チャレンジプラン〕アクションプログラム」というものを作って,それに基づいて動いています。したがって,最終的というか,当面は32年に向けてやっていくと。
担い手が将来の生活設計が描くことができるというのは,具体的にいうと1世帯当たり500万円以上の所得を確保するというところであります。で,平均年齢を見ると,ご指摘のように,今70歳とか非常に高齢化が進んでいるわけでありますけれども,個別に見ると,若い担い手というのが参画をして,そして,経営的な安定化を図っているというところはたくさん出てきていますし,品目であるとか,あるいは形態によっては,それこそサラリーマンでも羨むような所得を得ていらっしゃる農家もいらっしゃるわけで,そういったところが,できるだけ多くの人が目指していけるように,我々としても支援をしていきたいと,というか一緒に作っていきたいなと思ってます。
(中国新聞)
すみません,中国新聞です。鞆について追加でお伺いしたいんですけども。本年度は3千万円の調査費から,今回は10億円近くということで,予算としても本格化しているなという,動き出したかなというような印象を受けるんですが,知事にその辺りの思いをもう少しお伺いしたいのと。まだ提示段階ではあるんですけども,西側の護岸,焚場・江之浦間なんですが,管理道路付きの護岸に対する,先日の〔日本〕イコモス〔国内委員会〕の声明だったり,あと,原告の弁護団による声明があったり,批判的な受け止めがここにきて多くなっていて,新たな対立点みたいなところにもなりかねないのかなと思うんですけれども,その辺りどう受け止めているか,この2点お願いします。
(知事)
まず,全体として,こういう形で予算計上ができたということは,我々にとっても非常にうれしいことだと思ってまして,鞆の問題については,これまで,それこそ,私になってからも既に5年も6年も経っているわけですけれども,そもそもで言えば,もう20年,30年のスパンの中で動いていることなので,それが一歩でも進むということは,我々にとってもストレートにうれしいことだと思います。
今の護岸の話ですけれども,これについては,我々が若干,不注意だったところもあるのかなと思っているんですが,これから,具体的にどういう形にしていくかというのは,住民の皆さまのご意見もいただきながら,計画をしていくということでありまして,ただ,一つあるのは,防災施設というのは,これは必ず必要であると我々は思ってまして,これは住民の皆さまも一致するところなんだと思います。
ですから,防災施設が要るということを踏まえて,それをどういうふうに具体化していくということは,これから議論したいと思いますし,管理道というのが非常に注目を浴びていますけれども,何らかの施設を作ったら,それを管理するための施設というのも必要ですし,管理道というか,特に防潮ないしは津波を抑えるものでありますので,施設の陸側に一定の浸食を受けないものを造らなければ,構造物全体が浸食をして,崩壊をしてしまうということがありますので,そういったものは必要なんですね,基本的には。そうじゃないものを造ろうと思うと相当なお金がかかると思います。
ですから,そういったことは技術的に必要なんであるということも含めて,丁寧にご理解もいただきながら,じゃあ具体的な形はどういったものがいいのかというのを話し合っていきたいなと思います。環境であるとか,あるいは景観上の配慮が最大限必要だというのは,我々も十分認識をしております。そういうことを踏まえて,他方で,住民の皆さまの生命,財産を守っていくことをどう実現するのかということを考えていくということです。
(中国新聞)
冒頭,「若干,不注意だった」という話がありました。これがわかりにくかったんですが,何が不注意だったんですか。
(知事)
何となく「管理道付き護岸ができるのである」というような感じで世の中に流れちゃいましたよね。そういう形で,一方的に流れていることが,ちょっと不注意だったかなということですね。結果としてですよ。
(HOME)
すみません,広島ホームテレビの斉藤です。地方創生4つの分野,いずれも大事ということではあるんですが,「人づくり」についても,より積極的なところを感じます。例えば,不妊治療の助成であるとか,認可保育所に入れない人のためのサービスであったり。こういった〔ことは〕全国的にも結構珍しいと思われるんですが,イクメンであり,イクボスである湯崎知事として,やっぱり,このような少子化対策と女性の活躍支援の重要さというものを非常に感じるんですが,改めて,この思いを聞かせてもらえますでしょうか。
(知事)
こういったこともやはり,予算規模がある程度確保できると,財源確保できるといったようなことからできることなんだろうと思いますけれども。やはり徹底して,女性が働きやすい環境というのを作っていかなければなりませんし,今,巷で,待機児童と言われていますけれども,待機児童をなくすことが目的ではないんですね。目的は何かというと,お母さんが働きたいと思ったときに子どもが預けられるということが大事なわけであって,それを表す一つの指標として,待機児童というのが言われているわけですけれども,それはお母さんが働きたいと思ったときに,少なくとも子どもの面倒が見られるということを全て表すことではないわけですよね。
ですから,本質に戻って,お母さんが働きたいと思ったときに子どものケアをピシッとできる体制をつくると。そこに考えたときに,表面的な,議論されている,注目されるものだけではなくて,実質的なものを実現していこうというのが今回の考えであります。少子化についても,不妊治療については,これもいろいろ,各県とかいろんなところで,いろんなやり方があると思いますけれども,今回,我々が考えてますのは,本質的に立ち返ったときに,不妊治療というのは,なるべく早く始めていただいた方がいいと。それは,なるべく若いときに進めた方が,早くというか,成功確率が高くなりますし,男性,女性両方取り組んだ方が確率は高いということで,今般のような提案をしているわけであります。
そういう意味で,目指す姿に対して,本質的に何が必要なのかということを考えて,そこに思い切ったことをやっていくということが今回,進めていることであります。それも徹底して何かやるといったときにお金がないと,これでも選択と集中をしているわけなんですよ。ものすごく狭く選択をしなければいけなくなるわけですけれども,一定の財源が使えれば,いくつかの点において,そういったことが取り組むことができるのかなということだと思います。
(日本経済新聞)
日経新聞の篤田です。ただ,工場だけでなく,本社や研究機能,研究開発拠点の誘致を目指すということですけれども,東京から地方に本社だったり,R&D〔研究開発〕の拠点が移ることのメリットというのをどのように打ち出されていかれるお考えでしょうか。
(知事)
これは,もちろん個々の企業によってメリット・デメリットというのはあります。ただ,一般的に計算をした場合に,我々が想定しますのは,例えば本社機能であると,まさに社長さんがいたり,経理部門とか財務部門とか本社のコントロール部門があったりとかすると思うんですけれども,あるいはマーケティングあるとか。これはもう単純にオフィスコストを比較をすると,圧倒的に地域に移転したほうが安くなると思います。東京でも場所によっては安い賃料のオフィスとかもありますから,それは別として,かなり都心部にあるようなオフィスであると相当高いですから,それは社員の皆さんの通勤の時間とか通勤の費用とかということも含めて,明らかにコストは安くなるということがまずあると思います。
そして,社員の皆さんのQOL,クオリティ・オブ・ライフというのは一般的には上がります。ただ,どうしても会社からすぐのところに,ものすごい都会的なクラブだとか,バーだとか,そういうところがないと嫌だとかということになると,それはちょっとないかもねとか,いや,ディズニーランドから30分〔以内〕じゃないと嫌だとかいうと,ないというか,そういう非常に東京にしかないようなサービスであるとか,物を求められる方のQOLというのはなかなか満たすことは難しいですけれども,そうでなければ,通勤時間の問題とか何とかということを考えると,かなり上がるケースが高いと思ってます。そういうところを広島だけではなくて,いろんな地方がアピールをしていって,企業の皆さんに理解をしてもらうということも重要なのかなと思ってます。
(事務方)
そろそろ時間が迫ってまいりましたので,質問されてない社の方は早めにお願いいたします。
(中国新聞)
すみません,中国新聞の新谷です。知事にあまりお伺いをする機会がないんですけれども,教育のことでお伺いしたいと思います。ちょうど12月に「〔広島版〕『学びの変革』アクション・プラン」ができて,かなり大転換というか,新しいことを盛り込んだプランだと思います。予算にも,その中の例えば「課題解決型学習」ですとか,「フレキシブルスクール」もそうですが,いろいろ付いていまして,また中山間地〔域〕で高校生たちが地域づくりに取り組むというようなものもありました。「地方創生」の中での教育という役割がどういったことを担っているかというお考えについて,教えていただけますでしょうか。
(知事)
教育は「人づくり」の一環ですけれども,非常に大きいインパクトがあると思っています。一つは,その地域において人材供給をするという観点から,結局,「地域力」というのは事実上ほぼ,ニアリーイコール人材力だと思うんですね。したがって,人材育成が素晴らしければ素晴らしいほど,地域の力は上がっていくということがまずあると思います。
そして,もう一つは,人を惹きつけるという観点から,特に教育ですけれども,初等・中等教育ですよね,他の地域からこの地域に人を呼び込もうと思ったときに,やはり教育が素晴らしいものが行われているということは,その誘引とか動機づけとか,あるいは阻害要因でなくなるということになりますので,そういった意味でも教育というのは非常に重要だと思います。それがまた結果として,力のある人がここに定着をしてくれるという意味での地域力の向上にもつながるということで,そういうつながりも含めて,教育というのは非常に重要なことだと思いますので,やはり全国でもトップを狙っていくということが私は重要だと思います。
(中国新聞)
そのトップというのは,どういった意味でのトップですか。
(知事)
それはあらゆる面で,ですよね。結局,この人材育成というのもピラミッドなわけですから,頂点も上がるし,裾野も上がるということで,そして当然,多様性もあるということで,相対的に,全体が教育レベルが上がっていくということが重要だということですね。
(事務方)
すみません。それではお時間となっておりますので,ご質問があれば,そちらを最後の質問にしたいと思いますが,いかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは,すみません,こちらで終了させていただきます。ありがとうございました。
(知事)
はい。ありがとうございました。
資料1 施策及び事業案の概要 (PDFファイル)(4.55MB)
資料2 当初予算関係資料 (PDFファイル)(4.59MB)
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