記者会見などにおける知事の発表や質疑応答を広報課でとりまとめ,掲載しています。
なお,〔 〕内は注釈を加えたものです。
動画はインターネットチャンネルのサイトでご覧になれます。
会見日:平成28年2月15日(月曜日)
平成28年度施策及び事業案の概要について(中国・朝日) 〔動画ページ〕
平成28年度施策及び事業案の概要について(中国・NHK) 〔動画ページ〕
平成28年度施策及び事業案の概要について(読売・HOME・RCC) 〔動画ページ〕
(事務局)
ただいまから平成28年度施策及び事業案の概要の発表を行います。それでは湯崎知事,お願いいたします。
(知事)
それでは,〔平成〕28年度施策及び事業案の概要について,発表させていただきたいと思います。お手元の資料をご覧いただきながら,お聞きいただければと思いますけれども,まず,施策の基本的な考えとして,1ページの方からになりますけれども,来年度の予算案は「広島県民総欲張り計画スタート予算」と位置付けていきたいと思っております。昨年の10月に〔ひろしま未来〕チャレンジビジョン改定をいたしましたけれども,「仕事も暮らしも。」充実させる「欲張りなライフスタイル」を目指そうということを県民の皆さんにお示しをしたところであります。「仕事も暮らしも両方頑張るというのは無理じゃないか」とか,感じられる方もおられると思うんですけれども,広島県が目指していこうというのは,そういう方々に「頑張れ頑張れ」と言って強要していくというか,鞭打っていくということでは全くなくて,さまざまな状況にある県民の方お一人お一人が,仕事にも暮らしにも希望を持っていただいて,その希望を叶えられる社会に近付けるということであります。皆さんがそれぞれに抱いている希望をあきらめずに,「欲張り」に追求していただくことができるよう,新たなチャレンジをスタートしたいということであります。来年度は,これまで取り組んできました施策による成果,あるいは変化を県民の皆さんに「実感」をしていただいて,ビジョンの目指す姿にまずは「共感」をして,最終的には実践,参画に繋げて参りたいというところであります。このため,施策を展開するにあたっては,まずは県内外の注目を集めて,興味や関心を引いて,本県の取組への「共感」が獲得できるように,情報発信やコミュニケーションを十分に行いながら進めていきたいと考えています。また,これらの取組については,国の緊急対策〔平成27年度補正予算〕を活用して前倒しで取り組むこととしまして,平成27年度の2月補正予算と平成28年度の当初予算を一体的に編成をしております。施策のポイントですけれども,4ページの方を開けていただきまして,4ページをご覧いただきますと,ポイントが2点出ておりますけれども,1点目の「災害に強いまちづくり」というところ,平成26年8月の土砂災害で被災された方々の生活再建,あるいは早期復旧に取り組むとともに,県民の皆さん一人一人が「災害から命を守る行動」を適切に取ることができるよう,「広島県みんなで減災県民総ぐるみ運動」を展開をして参ります。それからポイントの2つ目になります「地方創生」ですけれども,「地方創生」については〔ひろしま未来チャレンジ〕ビジョンに掲げます「新たな経済成長」,「人づくり」,「安心な暮らしづくり」,「豊かな地域づくり」の4つの政策分野を相互に連関をさせて,相乗効果をもたらしながら持続的に好循環を生む流れを創り出して,「欲張りなライフスタイル」の実現に向けた取組を進めて参ります。「新たな経済成長」の分野におきましては,イノベーションが持続的に生まれる環境の整備や創業支援,高度で多彩な人材の集積をしていく,その促進をするための取組のほか,企業の本社や研究開発機能に着目をしました新たな投資誘致に取り組んで参ります。また,TPPの大筋合意もありましたので,それを踏まえた本県の農林水産業の競争力の強化を進めて参りたいと思います。そして,5ページの方になりますけれども「人づくり」の分野におきましては,すべての県民が生き生きと活躍することができる社会の構築を目指して,出会い・結婚支援等によります少子化対策や,効率的で多様な働き方に取り組む「働き方改革」,また,女性の働きやすい環境の整備に取り組んで参ります。また,本県への定住の大きな流れを創り出すというために,東京に設置をしました移住の相談窓口におきますきめ細かいサポートや,空き家の活用による定住の受け皿づくりに取り組んでいきます。また,広島県全体の「学びの変革」を早期に実現するために,小〔学校〕・中〔学校〕・高〔等学校〕を通じた新しい教育モデルの構築を進めるなど,社会で活躍することができる人材の育成を推進して参ります。そして,「安心な暮らしづくり」の分野においては,県内のどこに住んでいても安心して適切な医療,あるいは介護を受けることができるよう,効率的で切れ目のない医療・介護提供体制の充実強化を図って参ります。また,データに基づく効率的な健康づくりの取組や,地域主体の持続的な環境保全活動を推進いたします。「豊かな地域づくり」の分野におきましては,中山間地域の若手リーダーの育成や,地域の課題解決に向けた支援を行うほか,平成29年度に実施します人材交流プロジェクトの開催に向けて,プロモーション活動などを行って参ります。また,「瀬戸内 海の道構想」の更なる加速に向けまして,新たに設置する「〔一般社団法人〕せとうち観光推進機構」の下,瀬戸内エリアが一体となって「瀬戸内ブランド」の形成を促進する取組を実施して参ります。ポイントの3つ目が,5ページの下にポイントの3つ目になりますけれども,「広島の使命」ですけれども,広島の使命として,核兵器廃絶に向けたプロセスを進展させるための「ひろしまラウンドテーブル」の開催や,高校生を対象にした国際平和貢献人材育成プログラムの実施など,「国際平和拠点ひろしま構想」に基づく取組を推進して参ります。また,4月に広島市で開催される主要国首脳会議外相会合,いわゆるG7サミットの外相会合を契機として,広島を訪問する世界の政治指導者が被爆の実相に触れる機会を提供して参りたいと考えています。少し〔資料ページが〕飛びまして,40ページになりますが,平成28年度当初予算案の内訳であります。当初の予算規模は1兆56億円であります。更に,平成27年度の2月補正予算におきます緊急対策予算と一体で編成をしたことによりまして,実質的な予算規模は1兆139億円となります。引き続いて,さまざまな財政運営上の制約がある中での予算編成であるわけでありますけれども,経営資源のマネジメントや,国の補正予算の活用によりまして,重点施策への経営資源の重点的な配分を行ったところでありまして,改定をいたしました〔ひろしま未来〕チャレンジビジョンの初年度に相応しい,重点施策に着実に取り組むための予算に仕上げることができたと考えております。続いて,中期財政運営方針に基づく財政運営の状況ということで,41ページから42ページになりますが,中期財政運営方針の初年度であります〔平成〕28年度末におきまして,財政運営目標であります「経常収支比率」,「将来負担比率」,そして「実質的な県債残高」は,いずれも順調に推移をする見込みであります。予算編成にあたりまして,中期財政運営方針に基づく歳入歳出の両面にわたる取組を着実に行いました。42ページの方にありますが,とりわけ,事務事業の見直しについては,各局一律のマイナスシーリングを廃止をいたしまして,予算編成手法をそういう意味で抜本的に見直しをしたところであります。施策や事業等の優先順位に基づく,更なる選択と集中を進めたというところであります。最後,まとめといたしまして,平成28年度は,新たにビジョンに掲げました「仕事でチャレンジ!暮らしをエンジョイ!活気あふれる広島県」の実現に向けて,本格的に施策を実施,実行していく初年度でありまして,「欲張りなライフスタイルの実現」に向けて,県民の皆さんとも一緒になって取り組んでいきたいと考えているところであります。私からの発表は以上でございます。
(事務局)
ありがとうございました。それでは,発表事項に関する質問に入ります。終了時間は概ね14時を予定しております。質問のある方,恐れ入りますが社名を名乗られてから,お願いをいたします。また,ご質問をいただく際に,資料番号とページ番号をお示しいただくようお願いいたします。それでは質問のある方,挙手をお願いします。
(中国新聞)
中国新聞の松本です。先ほど説明の中でおっしゃったマイナスシーリングの廃止なんですけれども,これについての狙いと,期待される効果というの改めてお伺いできますでしょうか。
(答)
一つは,選択と集中をしっかりとしていくということが必要なところなわけですけれども,従来,これまで予算編成をしていく中で,どうしてもシーリングというのがありますと,選択と集中を行うというよりは,我々「チーズスライス」と呼んでいるのですけれども,少しずつ既定予算を削って,そして資源を捻出するということが多々起こってきています。決してそれ自体を完全に否定するものではないのですけれども,そうしますと施策の有効性であるとか,そういった観点からもさまざまな課題もありますし,やはり実現すべき課題について集中的に取り組んでいくということが,中々,意識の上でも難しい部分というのもありまして,それで今般はこのシーリングというのを取っ払いまして,そしてしっかりと我々〔が〕何を達成すべきかという優先順位の議論もしながら,達成すべきこと,それからそういった観点からやめるべきものというか,それを議論して来年度の事業全体の構築を図ったというところであります。
(中国新聞)
一般会計の予算規模なんですけれども,11年ぶりの1兆円台ということなんですが,実質的には形式的な支出が増えたものであって,必ずしも積極型の予算とは言えないのかなと思うんですけれども。県の財政状況について,改めてどのように分析されているのかというのをお伺いできますか。
(答)
今般の予算は冒頭でも申し上げましたように,平成27年度の補正予算と一体化をして出しているものでありまして,それとあわせる形で積極的な予算という形になっています。単年度で見ますと,ご指摘のように,形式的な支出が増えて,結果的に〔予算〕規模が大きくなっているという面がありまして,それは翻ってみますと,〔資料の〕40ページにありますように〔市町への税〕交付金の増というのが一番大きいわけですが,社会保障関係費であるとか,公債費というのが増えているというところで,引き続き厳しい〔財政〕状況にあるわけです。実質的に,使える政策〔的経〕費というものは,依然厳しい状況にあるということは変わらないところでありまして,そういう意味で中期財政運営方針に基づいて,しっかりとコントロールをしながら進めていきたい,これまで財政運営の結果,県債については,臨〔時〕財〔政対策〕債を除いてかなり縮減が進んできているとか,あるいはいわゆる経常〔収支〕比率も比較的というか,目標としております90パーセントに近づけていることができているのも事実ですけれども,やはり厳しいということで,コントロールはしながら進んでいく必要はあるという認識をしております。
(事務局)
その他ございますでしょうか。
(朝日新聞)
朝日新聞日比と申します。先ほど知事がおっしゃった,中々厳しい財政状況にある中で,政策〔的経〕費,使えるものが限られているというような中で,今回の予算編成の中でですね,一番苦心された点はどの点にあるとお考えでしょうか。また,一番知事らしさが出たものがあればそれを教えてください。
(答)
苦心した点というのは,最後はそうは言っても枠の中に入れていかなければいけないというところで,実質的な使えるお金が,〔平成〕28年度の当初予算だけに限ってみれば,中々,厳しいというところがありますので,そこをどう収めていくかということです。他方で,災害関係の費用,特にいわゆる土砂〔災害防止〕法の指定等は,しっかりと進めていかなければいけないといったようなこともあるので,その辺をどうまとめていくかというところで,総務局とか財政〔課〕が頑張ってやってくれたと。その背景には,各局がそれぞれの事業の優先順位をきちんと見直して作業をしてくれたというところがあるわけなんですけれども。その辺が一つあるかなと。私らしいというか,広島県らしいというか,これは〔ひろしま未来チャレンジ〕ビジョンに従って今回打ち出していることですけれども,テーマとしては「新しいライフスタイル」,新しいライフスタイルというのが,今は一億総活躍〔社会〕であるとか,あるいは地方創生だとか国も進めていますし,広島県でも4つの分野〔新たな経済成長,人づくり,安心な暮らしづくり,豊かな地域づくり〕の好循環ということを進めてやっていますけれども,それの一つの収束する先というか,そういうものではないかと思うんです。例えば働き方改革であるとか,女性の活躍であるとか,少子化であるとか,あるいは経済の活性化であるとかっていうようなことは,それぞれでいろいろ言っていますし,4つの分野で循環と言ってきたわけですけれども,それは最後にどこに持っていこうかというと,結局は「住民の皆さんの幸せな暮らし」というところに最後は繋がっていく話でありまして。それがじゃあ「どんな暮らしなの」って言った時に,県の考えとしては,非常に仕事が充実していますよねっていうだけでもなく,非常に今,田舎暮らしというところに着目をして,心豊かな暮らしとか,生活というようなところに焦点を当てているところがあると思うんですけれども,そうではなくてやっぱり両方必要なんじゃないかということです。これが21世紀の新しいライフスタイル,あるいはポスト高度〔経済〕成長のバブル崩壊以降ずっと日本が模索をしてきたのではないかと思うんですけれども,そこにおける新しい暮らし方,生き方,ライフスタイルじゃないかなと思っていまして,それを前面に打ち出して,それを実現するために各施策を収束していくというか,そこに向けてレーザービームをいろんなところから当てていくっていう,そんなことじゃないかなと思っていまして,そういうところがやはり大きな特徴じゃないかなと思います。
(事務局)
その他ございますか。
(中国新聞)
中国新聞の樋口と申します。ちょっと2点ほどお願いします。一つはですね,全体資料でいくと25ページになります。学びの変革牽引プロジェクトの中で,〔2月12日〕金曜日にも教育委員会会議の方で示されました,グローバルリーダー育成校というのが2年余りですね,2018年度4月の開校を目指してやっていこうということになっていますけれども,今回も予算1億円余り入っております。債務負担〔行為〕も含めるとたぶん2億を超えていると思います。一部ですね,議会や教育現場からですね,非常に良いことでやって欲しいという声ももちろんあるんですけれども,まだ設置場所が決まっていないと,〔そういう〕中でこれだけのお金を〔予算として〕通していく,細かくいうと詳細設計費とかも通していくという,やや性急なんじゃないかという声が出ております。知事がですね,2018年度4月の開校に拘られるというか,早くこれをやりたいんだという理由,これは何なのかというのをまず確認させてください。
(答)
私がこれを早くやりたいんだと拘っているわけではないのですけれども,一定のタイミングを見据えたうえで,今回の予算というのは,いろんな詳細設計を進めていくというもので必要なわけですけれども。1年,どうしても予算サイクルというのが1年ごとになりがちなんです。かなり議論なり検討としては煮詰まってきているところで,後はもちろん場所の問題はあるわけですけれども,具体的な。ただ基本的な考え方としては,それ〔設置場所〕がどこになっても,そこの〔建設に〕掛かってくる費用的な部分というか,そこのところはあまり変わらないだろうということで,今回当初予算の中に入れさせていただいたというところでありまして,焦って何かしようとしているとか,無理矢理何かしようとしているということではないんですけれども。ただ,丸1年待つというのもあれですし,今ここまできているところで,大きなものを補正の中で入れていくというよりも,しっかりと議会の中でも,2月〔定例〕議会は長いですから,予〔算〕特〔別委員会〕もありますし,そういう中で議論していただいていくのが良いのかなということであります。
(中国新聞)
補足です。補正〔予算対応〕でという意見も一部あったというように聞いているんですけれども。まだ全国的にそこまで例がない,どこもやっているよっていうような取組じゃないと思うんですよね。その段階で,こういうのを打ち出したいとかっていう,他にあまり例がない段階でですね,取り組みたいという思いはやはり知事の中に多少はあるんでしょうか。
(答)
全国の中でどんどんと出来ているようになってくると,埋没してしまう恐れもありますので,やはり全国に先駆けてこういう施策を進める,こういう施策は何かっていうと,学校を作るということではないんです。学びの変革ということを,新たな教育の方向として求められているわけなので,それをどこまで突き詰めてやっていくのかというところで,一義的な教え方をちょっと変えてみますとかそういうことではなくて,教育の考え方全体を大きく変えていくようなことでもありますから,それを突き詰めてやって,そして展開をしていくということが重要だと思うんです。それが広島県の,地域としての競争力にも繋がっていくことだと思いますし,みんな〔他県〕がやっていったあとで後ろからついていくというのは,ある意味で安心感もあるわけですけれども,つまりパイオニアには常にやはり一定の風当たりもありますし,考慮しなきゃいけないということもあると思うんですけれども,ただ,やはりこれからの社会に求められているものについて,積極的に切り開いていく,それが広島県の力でもあり,日本に対する貢献でもあり,広島県自身の競争力,地域としての競争力を高めていくことでもあるということで,積極的に進めたいということは,私はあると思っていますし,教育委員会もそういう趣旨でいるというか,教育委員会もそう考えているというところで一致しているところかなと思います。
(中国新聞)
ありがとうございます,もう一つ。これはですね具体的に予算に入っているものということよりも,考え方の話で,予算に入っているものとしては企業局でいくと水道事業というものがあります。水道事業の民営化〔検討〕の調査を引き続きやられると,800万ほど〔当初予算に〕入っています。他にもですね,これは予算に直接入っているわけではないんですけれども,広島空港の民営化の検討とかですね,広島港の方も〔第〕三セク〔ター〕なんですけれども,大きく言うと民営化の準備が加速すると,こういう公共の持ち物であったり事業だったりというのを,民間の活力をですね利用して,コストの削減であったり効率化を図っていこうというのは,一つ知事の方向性としてあるかなと思うんですけれども。今年度,来年度あたりでこれがかなりいろいろ動いていくというような気がしていまして,ここを大雑把で構わないんで,民間の活力を使うということに対してのですね,知事のどういったところにやはりメリットがあるというふうにお考えなのか,どういうふうな効果を期待していらっしゃるのか,その辺りをお聞かせください。
(答)
例えば今,世の中で言われていることに「オープンイノベーション」というのがあるんですけれども,これは従来,企業が自社の中でいろんなイノベーションを完結させるという考え方から,さまざまな外部と連携をしながら新しいイノベーションを生んでいくという考え方に変わってきています。それはどういう認識かというと,内部リソース〔資源〕だけでは,必要な考え方であるとか,あるいは技術であるとか,あるいは視点というものを得にくいと,そして時代の変化は早くて,その変化に対応する対応力というのをもっと求められているというところがありまして,それはそういうことが進んでいると,例えば見受けられます。それと同じようなことで,行政というのも必ずしも全て行政の中で完結をしなければいけないというものでもなくて,必要な資源であるとか,視点であるとか,考え方であるとか,手法であるとか,外部にもさまざまなリソース,資源があります。そういう能力とか,そういうものを総動員しながら,最終目標である一定の施策の実現を図っていくということは,合理的な考えじゃないかなと思います。究極は何が目的かというと,いろんなものによって違いますけれども,水道なら水道とか,航空なら航空とか,飛行場なら飛行場とか,いろんなところで求められる施策目的というか,それがあるわけです。それをどう実現するのかっていうことが重要なことであって,必ずしも行政が内部だけで実現をしなければいけないというものでもないですし,それが最適であるとも言えないし。従って,外部と連携することによって実現できるものは,その方が良いというのが基本的な考え方です。今民営化っていうところで着目されているかもしれませんけれども,それ以外の分野でもいっぱい進んでいることでありまして,例えばNGO〔非政府組織〕とか,例えば被災地の復興とかいうと社〔会福祉〕協〔議会〕とか,あるいはボランティアとかというところと協力をしながらやっているわけです。つまり外部の資源と連携をしながら進めていくと,既に進んでいることでありまして,ただそれが民間との協力となると途端に民営化というような話になって,何かすごく大きく目立つなという感じがあると思うんですけれども,今は全般〔的に〕行政はそのように進んでいますし,その中の一環かなと思っています。
(中国新聞)
端的にそれ〔民営化〕によって期待されている効果とか,そういったところというのは。
(答)
今の答えの中に入っていたと思うんですけれども,施策目的なり事業の目的を最も高いレベルでコストは低く達成をしていくということです。それはそれぞれの施策によって違うので,一個一個説明しなければいけませんけれども,全般で言えばそういうことです。それはだから先ほども言ったように,被災地の復興でボランティアの皆さんのお力をお借りするとか,NPO〔特定非営利活動法人〕のお力をお借りするといったようなことと同じです。これを全部行政でやりなさいといったら,全部行政がボランティアの人というか,ボランティアじゃなくなるわけですから,これも外部委託かもしれませんけれども,人を雇って土を運ぶのを全部やるということになるわけです。それじゃあ実際に進まないし,機動性もないし,きめ細かい対応も出来ないというのがあるわけじゃないですか。それと同じようなアナロジー〔類比〕で,今民営化といわれている部分についても,民間の能力を適切に活用,連携をしてやっていくと,そういうことです。
(NHK)
NHKの古山です。2点お願いします。1点目が資料2の15ページ目なんですけれども,土砂災害警戒区域の指定を加速化させるということで,今年度よりも大きな予算がついていると思うんですが,改めて警戒区域の指定に関してどのように取り組まれていくかというのを教えてください。
(答)
土砂災害警戒区域の指定については,この作業をする中でいろいろな課題があるというところもありまして,他方で社会的な要請なり,県民の皆さんの不安を解消していくという観点から,できるだけ従来お示しした計画どおり進めていきたいと考えているところでありまして,今年度,今年度と言いますか来年度もそういう意味で,しっかりと進めていきたいと考えているところです。
(NHK)
ありがとうございます。もう1点なんですが,同じ資料の18ページ目で「企業の立地促進対策事業」で,例えば本社機能を移転した企業に対して助成制度を創設するという新しい事業も今回始められるんですけれども,大きな予算をつけてこうした事業に取り組まれる意味合いというところを教えてください。
(答)
従来型のいわゆる投資誘致と言いますと,工業団地とか産業団地を造って,そこに工場の誘致,あるいは流通基地の誘致といったようなことを進めてきましたけれども,今この人口減少の中で求められているというところは,やはりしっかりと地域に根付いた形で事業展開をしてもらうと。また,さまざま付加価値の高い事業を,展開をしていただくといったようなことが必要であると考えています。そういう観点から本社であるとか,あるいはその研究開発機関といったような従来の産業団地的な立地とは異なるものについても積極的に誘致をしていく必要があると考えています。本社があるというのはやはり,地域との関わり方というのは,やはりより深くなってきますし,本社も含めてですけれども,例えば研究開発機能というのは,やはり高度な業務になってきますので,なかなか海外に移転するというようなものでもないですし,比較的安定的に,しかも付加価値の高い業務として定着をしてくれるという期待があります。そういうところを狙っていきたいというところです。
(読売新聞)
読売新聞の前田です。冒頭でおっしゃった,「広島県民総欲張り計画スタート予算」とこういうキャッチフレーズがありますが,これが計画予算ではなくて,計画スタート予算とした意味ということはどこにあるんでしょうか。要は〔知事の〕任期のことを言うわけではないんですけれども,今後スタートもしくは計画とかそういうどういう段階を経てこの計画というのは進めたいとお考えでしょうか。
(答)
そもそもこの「県民総欲張り計画」というのは,まず県民の皆さんにこの目指す姿を実現していこうということが「総欲張り計画」なわけですけれども,県民の皆さん一人一人が「総欲張り」を目指していこうって,「総欲張り」っていうのはまたややこしいですけれども,それは冒頭にご説明したように,それぞれが持っていらっしゃる暮らしであるとか仕事についての希望,これはいろんな立ち位置があると思うんです。それぞれが置かれた状況もあるし,それぞれのいろんな得意な分野とかもありますし,それはいろいろあると思うんですけれども,でもそれぞれがいろんな希望を持っていらっしゃるので,それが実現できるように,その時に仕事か暮らしかっていうこのゼロサムゲーム〔合計するとゼロになるゲーム〕ではなくて,それが両方を高いレベルに持っていけるようにしましょうということが我々の考えであります。それが全体の計画なんですけれども,今年はそれのスタートなので。本当は前から進めているわけですけれども,今回改めて目指す姿として打ち出したので,今年というか来年度,28年度はそれがスタートするところなので,スタートであると。資料の中にも2ページの方にありますけれども,「共感の獲得」というところからまさにスタートをしていくと。もちろん共感の獲得だけじゃなくて,その他の事もいっぱいやるんですけれども,皆さんの意識としては,この総欲張りっていうか,欲張りです。みんなが欲張りなんで総欲張りなんですけど,そういう仕事についても暮らしについても,両方目指して良いんだと。「無理だよねっ」ていうふうに考えるところもあると思うんですけれども,「いやいやそういうことはないですよ」と。何がこうしたいのか,どういうふうにしたいのかっていうことをまずイメージしましょうよと。それに向かってやって良いじゃないですかっていうところを感じていただく,考えていただく,それがあって,それからそこに向けての行動であるとか,その行動の結果として目標を達成していくというか,そういう姿を達成していく。この姿を達成していくというのは正直平成32年で皆さんが欲張り達成となるとは正直思いませんけれども,時間はかかると思います。ただ,そこに向けて少しでも前へ進んでいくということを続けていくと。それがまた次のビジョンにも繋がっていくのかなと思います。
(読売新聞)
もう1点。今回の当初予算の三本柱「災害に強いまちづくり」,「地方創生」,「広島の使命」,3つありますけれども,3ページかな。「広島の使命」,これは予算2億円という予算額で,全体の1兆いくらからするとごくわずかです。予算規模で言えば柱になっていないようなんですけれども,この「広島の使命」を3つの柱の一つに据えた意義というか意図というか,そういうところはどこにあるんですか。
(答)
そもそも,この資料の表紙をご覧いただくと「平成28年度施策及び事業案の概要」となっていまして,これは予算案の概要じゃないんです。これは実は数年前に予算の概要から施策及び事業案の概要とあえて変えているところなんです。広島県としては,予算の多寡がイコール事業の重要性ではないと考えているということです。もちろん一定の目的を達成するために予算というものが必要な事業も,もちろんたくさんありますので,その予算の多寡が事業の重要性と連関している部分はありますけれども,それのみで測られているわけではないと。この「広島の使命」というのは,この広島という地域にとってやはり平和に関わることは非常に重要なことであります。ただ,そこにどれだけの予算を,その目標を達成するためにどれだけの予算を投入するのが良いのかっていうのはまた別の観点でありますので,今は,来年度はたまたま合計で3億円となっていますけれども,ただそれでもこのやるべきこととしての重要性ということはありますので,こういう形で〔柱を〕立てているというところです。
(HOME)
広島ホームテレビ槙原と申します。2点お伺いさせていただきます。まず1点は,地方創生ということに力を入れていらっしゃるというところで,婚活の支援でありますとか農家の支援など,これに力を入れていらっしゃるということが見受けられるんですけども,このまず目的を改めて教えていただけますでしょうか。
(知事)
地方創生ですか,それとも婚活。
(HOME)
地方創生です。地方創生,人づくりも含めてですね,教えていただければと思います。
(知事)
地方創生というのも,今の分類学として,社会的に地方創生というのは,一つ大きなテーマになっているので,こういう括り方をしておりますけれども,ねらいというのは,従来から進めているところでありまして,それは何かと言うと,人口減少社会において,しっかりと広島という地域が活力を維持していくと,そのために何が必要かというところで入っているわけです。ですから従来から言っている4分野〔新たな経済成長,人づくり,安心な暮らしづくり,豊かな地域づくり〕ここに全て入っているわけですけれども,それが最終的にどういうところに繋がっていくかというと,先ほどのライフスタイルというところに繋がっていくのかと思っていまして,例えば,仕事の希望が叶うとか暮らしの希望が叶うといったときに,何か一つのことでそれが実現するわけではありませんから,非常に複雑な連関があるわけです。ですから,総合的に進めることによって,新しいライフスタイルを実現していこうと。先ほど,いろんなところから,レーザーをそこに当てていくというようなことを言いましたけれども,そういうイメージで地方創生というのを進めて行きたいなと考えています。
(HOME)
特に人に関すること,先ほど,婚活ということも言いましたけれども,農家への支援であるとか,そういういろいろ種類は違うと思うんですけど,そういうところに着目していって,予算をきちんとつけていくというようなことなのでしょうか。
(知事)
ここは基本やはり4つの分野ということだと思うんです。従来から申し上げているように,全ての活動を支えるのは人でありますし,決して定量的な証拠があるわけじゃありませんけれども,やはり人に対する投資というのが,リターンとして最も大きいものだと我々は信じています。ですから,人づくり,これは非常に重要なことですし,経済力がなければ絵に描いた餅になるというか,ない袖は振れないというような状況に陥りますから,経済力はやはりつけていかなければいけない。この2つをエンジンにしながら,豊かな地域であるとか,あるいは安心な暮らしをつくっていくというのは,基本方針でありまして,そういう進め方で進めていくと。もちろん相互に乗り入れているところもあるので,そういうところももちろんありますけれども,それが基本的な考え方です。
(HOME)
もう一つすみません,ガラっと変わるんですが。先ほどちょっとぶら下がりでもお聞きしたんですが,鞆に関すること。これに12億円の予算がついております。このことについて,予算のことについてお聞きしたいんですけども。
(知事)
詳しい内容は,書いてあるとおりで,別途説明をさせていただいたと思いますけれども。いよいよ,具体的な事業が進んでいくという段階になっておりますので,道路の問題であるとか,あるいは防災の問題であるとか,あるいは駐車場の整備といったようなこと,あるいは無電柱化に向けた取組。いずれもいわゆる足元の事業と言われているものですけれども,これはしっかりと進めて行きたいなと思っておりますし,そのための予算を確保した,確保というかそれを提案させていただいているというところです。
(事務局)
その他ありますか,よろしゅうございますか。
(RCC)
中国放送の柏原といいます。1点お伺いします。ページ4の施策のポイントの中の,「新たな経済成長」で担い手が生活設計を描ける農林水産業の確立というところなんですけど,第一次産業について〔記載されている部分は〕ここだけなのかなと思いまして,担い手が生活設計を描けるということからも,厳しい現状を認識されていると思うんですが,これをどのあたりまで底上げしたいというお考えなんでしょうか。そのあたり思いを聞かせていただければと。
(答)
これは思いというか,「農林水産業チャレンジプラン」というところで明確に打ち出しているところでありますけれども,世帯所得が500万円になるというところを目指していきたいと考えておりまして,そのために従来いろんな農地の集約であるとか,園芸〔作物〕の推進といったようなことも含めて取り組んでいるところでありますけれども,生活設計を描けるというのはそういう部分です。もう一つは,特に新規就農者にとってまだまだ課題が大きいと思うんですけれども,新規就農者が就農して安定的に農業が出来るようになるまでの道筋というのもしっかりと描いていくと。今既に農業をやっている方が「所得が500万円に上がっていくよ」というところを実現していくのもありますし,新規の就農者が安定的に農業を継続できるというところに,独り立ちするという,例えばわかりやすい言い方かもしれませんけれども,それが出来るような道筋を人づくりであるとか,あるいは資金面であるとか,あるいは事業計画面でしっかりとサポートしていくと,そんなことが生活設計を描けるというところに込められているというところです。
(事務局)
その他ご質問がありましたらお願いします。よろしいですかね。質問がないようなので,以上で発表を終わりたいと思います。ありがとうございました。
(知事)
ありがとうございました。
資料1(平成28年度 施策及び事業案の概要) (PDFファイル)(1.5MB)
資料2(平成28年度当初予算関係資料) (PDFファイル)(3.27MB)
参考資料(「ひろしま未来チャレンジビジョン」に基づくワーク一覧(平成28年度)) (PDFファイル)(559KB)
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