記者会見などにおける知事の発表や質疑応答を広報課でとりまとめ,掲載しています。
なお,〔 〕内は注釈を加えたものです。
会見日:平成30年7月26日(木曜日)
・平成30年7月豪雨災害に係る応急復旧及び今後の取組について
・平成30年7月豪雨災害に係る応急復旧及び今後の取組について
(司会)
大変お待たせいたしました。ただ今から会見を開催します。本日の内容は,「平成30年7月豪雨災害に係る応急復旧及び今後の取組について」でございます。終了時刻は14時45分を予定しております。これより,知事及び蒲原土木整備部長,宮崎建築技術部長,來山地域振興部長から発表させていただきます。ご質問は発表が終了して後に,まとめてお願いいたします。それでは知事からよろしくお願いいたします。
(知事)
それでは,「平成30年7月豪雨災害の生活再建に向けたロードマップ」について発表させていただきます。改めまして,この度の災害により,お亡くなりになられました方々のご冥福を心からお祈り申し上げますとともに,被災された多くの皆さまに対し,心よりお見舞い申し上げます。また,災害の発生時からこれまで,昼夜を問わず,救助活動にご尽力いただいた自衛隊,警察,消防,海上保安庁の皆さま,生活支援物資の提供,避難所での生活の支援,土砂の撤去,家屋の片付けなど,さまざまな面で,被災者の生活支援に取り組んでいただいているボランティア,企業,団体,個人,事業者の皆さまに対し,厚くお礼申し上げます。災害発生後,約3週間が経とうとしていますが,残念なことに,7名の方の行方が分からず,依然として,多数の方々が,避難所での生活を余儀なくされている状況でございます。避難勧告が解除され,自宅に戻られた方にあっても,降雨の際の二次災害や,今後の生活再建など,さまざまな不安を抱えていらっしゃることと思います。このため,国や県・市町が一体となり, 被災された皆さまが1日も早く元の生活に戻れるよう,全力で取り組んでいるところでございます。今後は,被災者お一人お一人の生活再建を支援していくことが大事であり,市町を中心として,県もサポートしながら,引き続き,被災者の支援に取り組んで参ります。今回の豪雨災害では,記録的な豪雨により,土石流や河川の氾濫など,県内の広い範囲において多大な被害が生じております。とりわけ,数多くの土砂崩れにより,大量の土砂が,道路や河川,住民の皆さまの家々に流れ込んでおり,発生箇所の多さ,被災範囲の広域性,交通網の寸断などにより,復旧作業に多大な困難をもたらしております。県では,これまで,行方不明者の捜索に全力で取り組みますとともに,被災者の皆さまの生活を支えるよう,市町が設置した避難所等に対し,必要な物資や被災者支援情報の提供に取り組んで参りました。また,国や市町と力を合わせながら,復旧作業に全力で取り組んでいるところであり,主要な交通路線の回復など,一定の成果も生じてきているところですが,被災規模の大きな地域では,まだまだ復旧の見通しについて,不安を感じておられる方が多いと感じております。このため,県では,特に被災規模が大きな地域について,応急復旧から生活再建に至るまでのロードマップを,地元の市や町と共に検討して参りました。本日は,そうした取組の一つの事例として,呉市天応地区をモデルに,この地域の復旧プランや,今後の生活再建に向けた取組の工程をお示ししたいと思います。天応地区でのこうした取組をパイロットケースとして,今後,県内の他の重篤な被災地においても,県と地元の市町が一緒になりながら,復旧・復興に取り組んで参りたいと考えております。こうした復旧プランをそれぞれ提示することで,住民の皆さまの不安感を少しでも拭うとともに,生活再建に向けた準備の一助としていただきたい,という思いから,この場を設けさせていただきました。それでは,具体的な内容につきましては,各担当の方からご説明させていただきます。
(蒲原土木整備部長)
土木建築局土木整備部長の蒲原です。私からは,主にインフラ系の復旧計画と土砂撤去プランについて,ご説明させていただきます。始めに,平成30年7月豪雨災害天応地区生活再建ロードマップ(インフラ編)と書かれた資料について,モニターを使ってご説明させていただきます。お手元にも同じものをお配りしておりますので,参照いただければと思います。こちらは,被災地の被災状況の写真に,応急復旧対策の位置及び進捗状況をお示ししたものでございます。対策の内容といたしましては,道路上や河道内に堆積した土砂の撤去を実施いたします。あわせて,工事期間中などにおける二次災害防止を目的に,ワイヤーセンサーや大型土のうを設置することとしております。こちら〔の資料〕の方には,赤いのがワイヤーセンサーで,紫色の丸を大型土のうでお示ししているところでございます。次に,応急復旧工事の工程表をお示ししておりますが,8月末には土砂の撤去を含む,応急復旧工事を終えたいと考えております。こちらは,本格的な復旧工事に向けた工事の概略工程をお示ししております。被災箇所については,現在復旧に向けた調査・設計を行っており,災害査定を受けた箇所から,順次工事に着手して参りたいと考えております。最後のページでございます。こちらは,この度の応急復旧工事のイメージ図をお示ししております。ワイヤーセンサーの設置,大型土のうの設置,また上流から流れてくる水に対しまして水路の確保でありますとか,地域内の道路,そういったものの土砂撤去,また,河川内の土砂撤去,そういったものをイメージとしてお示ししております。続いて,土砂撤去プランについてご説明いたします。当天応地区におきましては,土石流の発生により,地域の中心部を流れる大屋大川が閉塞し,大屋大川と並行する県道呉環状線や地域内の市道などに土石流が流れて,カーブミラーや標識から推察すると,道路上には約1m以上の土砂が堆積している状況でございます。こういった中,現在,国土交通省などの支援もお借りし,下流域から順次,土砂の搬出を進めているところでございます。国,県,市の役割分担をこちらでお示ししております。まず(1),(2)でございます。(1)は大屋大川の土砂撤去,(2)は〔県道〕呉環状〔線〕の道路啓開でございます。こちらは県において,8月中旬を目標に撤去を行う予定としております。また,(3)の市道の啓開及び宅地内土砂撤去につきましては,呉市において,8月末を目標に撤去を進める予定としております。続きまして,(5),(6)でございます。こちらは大屋大川の支川になりますけれども背戸ノ川の土砂撤去並びにそれに隣接いたします市道の道路啓開につきましては,国土交通省などの支援をいただきながら8月末を目標に土砂撤去を進めて参ります。いずれに致しましても県としては,国土交通省などのお力もお借りしながら,一日も早く,地域内の土砂撤去が完了するよう努めて参ります。私からの説明は,以上でございます。
(來山地域振興部長)
地域政策局地域振興部長の來山でございます。私の方からは,生活支援編ということで,生活支援,生活再建のロードマップについてご説明させていただきます。はじめに,この表の見方ですけれども,矢印で取組を描いておりますが,矢印の付け根の部分が着手時期,それから矢印の先端の部分がおおむね想定されるゴールの時期となります。既に着手している事項につきましては,その具体的な日付を記載しております。また,既に着手して,おおむね円滑に進んでいるものにつきましては青色で表示しております。それから,今後,着手していくべき事項につきましては,薄い黄色で表示しております。まず,避難所の開設,運営についてですけれども,多くの団体と同様,天応地区におきましても,7月6日に避難所が開設されたところでございます。避難所の運営につきましては,デイリーニーズの把握と供給といったような避難所を安定的に運営する仕組みにつきましては,現時点でおおむね確保されているところでございます。現在取組中の事項としましては,(3)として表示していますが,罹災証明の申請受付を天応地区につきましては,7月11日から開始しておりまして,18日からは被害状況の調査ですとか,罹災証明書の発行業務に取り組んでいるところでございます。(5)となっておりますが,ボランティアの関係でございますけれども,7月10日にボランティアセンターを開設いたしまして,11日以降は,多くのボランティアの方に,宅地内土砂の撤去ですとか,廃棄物の仕分け,搬出等に取り組んでいただいているところでございます。また,避難者の皆さまの心身のケアを行う取組といたしまして,7月9日の広島県災害時公衆衛生チームの派遣を皮切りといたしまして,各種チームを順次派遣しております。引き続き,避難所での心身のケアを行いますとともに,今後,生活の場が避難所から,自宅や応急仮設住宅などに移っていくということが考えられますが,戸別訪問による健康支援や精神保健活動など,被災された方々への長期にわたる手厚い支援を行ってまいります。次に,宅地内土砂・土石等の撤去についてでございますが,現在,道路に堆積した土砂等の除去に取り組んでいるところでございますが,幹線部分から順次,重機や車両等が進入できるエリアの拡大を図っております。7月下旬からは,こうした道路啓開作業の進展に併せまして,家庭内の土砂等で人力等では運搬が困難なものなどにつきまして,市による撤去を順次実施していく予定でございます。また,既に個人で業者に費用を払って撤去された場合には,市が費用を負担する取組を行う予定でございますけれども,こちらにつきましては,制度の詳細が定まり次第,別途お知らせしていくということを予定しています。次に災害廃棄物の関係ですけれども,広,多賀谷に集積場を用意しておりまして,7月11日以降,家庭から出た災害廃棄物や土砂等の受入れを行っております。次に上下水道の関係ですけれども,7月14日に給水を再開しておりまして,まだ現在,水圧不足の応急対策工事に取り組んでおるというようなところがございます。また,下水道につきましては,本管の応急復旧〔対策〕工事を7月18日に着手し,25日の完成をめざし仮配管による応急工事を実施していたところでございますが,接続部からの漏水が見つかりまして,その追加工事が必要となったため,今後,数日間,完了時期が延びることとなりました。今後,枝管の調査,応急復旧に取り組み,おおむね8月下旬を目途に,応急復旧を完了すると〔しております〕。その後,道路の本復旧にあわせて下水道管の本復旧を行う予定でございます。住宅提供の取組につきましては,後ほど,別の担当の方からご説明させていただきます。11番目でございますが,国内外の皆さまからいただきました「義援金」につきましては,第1次配分としまして,8月上旬に義援金配分委員会を開催の上,市や町に配分することとしております。その後,呉市から被災者の皆さまに義援金をお配りするということになります。次に(12)でございますが,被災者の皆さまの生活の安定に向けまして,災害見舞金や被災者生活再建支援金等の支援制度も設けております。呉市では7月23日から受付が始まっておりまして,順次支給されることとなっております。それから,税金や保険料等につきましては,減免措置等について,順次情報提供させていただきます。交通機関の関係でございますが,JR呉線につきましては,海田市までは7月9日に運行再開,また海田市から坂間につきましては8月中旬に運行再開見込となっております。また,坂から広間につきましては11月の再開見込となっております。この間,広島から呉間,あるいは呉駅から広駅間の代行バスが運行されております。国道31号線につきましては,水尻の土砂崩れ部分で迂回路を設けておりまして,暫定的に復旧,クレアラインにつきましては,7月13日に坂北IC まで開通しておりまして,全面復旧は11月となる見込みでございます。私からの説明は以上でございます。
(宮崎建築技術部長)
土木建築局建築技術部長の宮崎でございます。私の方からは,平成30年7月豪雨災害に係る住まいの再建等総合フローについてご説明申し上げます。なお,天応地区に限った取組ということではなく,呉市全体ということで整理させていただいております。発災直後,避難所へ避難された方,自宅の2階等での自主避難された方への対応といたしましては,「公営住宅等の提供」,「民間賃貸住宅の借り上げによるみなし仮設住宅の提供」,「応急仮設住宅の建設」,「応急修理の実施」の4つの項目で対応させていただいております。まず,県営住宅,市営住宅など公営住宅等につきましては,7月10日から呉市において県営,市営等あわせて37戸の受入募集を行っております。また,20日から22日までの3日間で民間賃貸住宅借上げによるみなし仮設住宅の申込みの集中受付を行いました。これらの取組については,今後も継続していくこととしております。さらに,これらの取組を行ってもなお,大幅な不足が見込まれることから,天応地区及び安浦地区において,それぞれ約40戸の応急仮設住宅の建設を行うことを決定し,8月末の完成,9月上旬の入居開始に向けて,現在着工に向けた準備を行っているところでございます。自宅の再建を目指す皆さまに対しては,呉市において応急修理を実施することとし,修理に係る経費を一定額まで負担することとしており,7月17日から受付を行っているところでございます。説明は以上でございます。
(司会)
では,これより質疑に移りたいと思います。ご質問のある方は社名とお名前を名乗ってからお願いいたします。また,誰に対するご質問かもあわせてお願いいたします。それでは挙手をお願いいたします。
(中国新聞)
知事によろしいですか。さっきの土砂のモニターがあったと思うのですけれども,台風の接近が週末に見込まれる中,二次災害に対する懸念というものがかなり,一番悩ましい問題だと思うのですけれども,今回,個々の対策について知事の方からあらためて図を説明していただいて良いですか。
(知事)
二次災害防止というか,今回の〔週末の〕台風については,これは全く間に合いませんので,これは応急的に行って,これの進捗が,いつまででしたか応急復旧が,8月中にここまで行くということで,台風シーズンまでに進めるということです。〔週末の〕台風については,またちょっとあらためて,明日にでもお話させていただきたいと思っています。
(中国新聞)
今日のお話の冒頭で,この天応地区を最初にして,他の地区でも順次出していかれたいというお話があったのですけれども,現段階で市町さんと協議しているところが何箇所くらいあるのか,それから具体的な場所について教えていただけるのかわかりませんけれど,
教えていただければと。
(知事)
やはり今,こういう規模で被災している〔地区〕ということで,呉市と坂町です。小屋浦,それから坂,そして呉市の安浦地区が,安浦の市原というの野呂川ダムの上部のところです。こういったところについて検討しているということです。
(中国新聞)
確認ですけれど,そうすると呉と坂で2箇所ずつという理解でよろしいですか。
(知事)
はい。市原の方は,ちょっとまだこれからですけれども,基本そういうことです。
(中国新聞)
今回ピックアップしている地点について,どういう基準というか,他にも各地で被害が出ているわけですけれど,こういうロードマップを作っていこうという地区をどうやって選んでいるかについてよろしいですか。
(知事)
これは土砂が街全体というか,市街地全体を覆っていることによって,宅地の復旧がなかなか難しいとか,あるいは河川もあわせて総合的に進めていかなければ難しいといったような,少し被害が甚大で総合的な対応策を進めていく必要があるところについて,今,選んでいるということです。これは今,策定に向けて協議を行っているという,その他の地区については,段階なので,さらにその他の地区についても必要があれば進めたいと思っています。
(中国新聞)
もう1点だけ。広島市は政令市ということになりますけれども,2014年の土砂災害の時は県と市で一緒に〔プランを〕作られたと思いますが,広島市の計画を予定されているかどうかと,もう1点,前回の2014年の時は,プランを基に避難所などで住民説明会を開いていらっしゃるんじゃないかと思うのですけれど,そういった説明会を県として,あるいは市で連携して開いていかれるご予定があるかについて教えてください。
(知事)
取り急ぎ,天応についてはこういう発表もさせていただいていますので,今日,呉市の方で天応の避難所において,説明会というのはちょっと物理的になかなか難しいことがあるものですから,資料等を配布させていただいて,対応させていただくという予定にしています。いずれ必要に応じて,必要に応じてというか,いろんなご質問等もあると思いますので,説明会は必要ではないかと思っています。それから広島市については,広島市が基本的にいろんなプランを作っておられますので,必要があれば我々としても対応したいと考えているところでありますが,現時点においては,前回の経験を含めて広島市の方で対応いただいているという状況です。
(中国新聞)
ありがとうございました。
(司会)
その他ございますでしょうか。
(朝日新聞)
朝日新聞です。今回,これは土砂災害が非常にひどかった地域だと思うのですけれども,今回のケースで先ほど,最初におっしゃったように,広範囲にいろんな被害が出ている中で,同じように例えば三原の本郷の辺りであるとか,あの辺りのロードマップを作るまでではないのかもしれませんけれど,他の対応として,何パターンかこういったロードマップというのは検討されていらっしゃるのかという点を〔お伺いします〕。
(知事)
例えば,天応,小屋浦,坂というのは,実は一連の地域ですし,被害も非常に似ているところがあります。一方で先ほど申し上げた市原というところは,農地と宅地が中心に被害を受けているところですので,これは農地をどう再建していくかという観点が大きく入るものですから,少し違ったものになると考えています。また本郷も非常に大きな浸水がありましたけれども,本郷についてもどうするかというのは検討しているところですが,ただ,こういった土砂撤去とか河川の,河川は若干これとは違う意味での掘削等が一部必要かも知れませんけれども,そういった大きな土砂撤去的な,あるいは家屋内の土砂撤去といったようなものはあまりないものですから,少し違うものになると,生活支援が中心になっていくのではないかと考えています。
(中国新聞)
本郷〔地区のロードマップを〕作るようになるのですか。
(知事)
これは三原市との相談だと思います。生活支援については,大体,各地域共通しているところがあって,ただ,今ここであげたような地域は,土砂撤去との相関関係が非常に大きいものですから,こういう形で特出しになっていますけれども,その部分を除けば,後は他の地域でも共通してご覧いただけるというか活用できるものだと考えています。
(NHK)
NHKの秦です。先ほど,台風についてはまた明日とおっしゃったと思うのですけれども,できれば住民の皆さんの危機感というか気持ち的に危ないのかなというような感触も持っていただいた方が良いのかなと思うのですけれども,今の時点で,日曜日にもしかしたら雨が降るかもしれないということなのですけれども,知事というか県から呼びかけるとしたら,今日の時点ではまだあまり呼びかけるような感じではないのですか。
(知事)
これは,このプランについてのご説明の機会なので,ちょっと今申し上げられていないのですけれども,今日の〔災害対策〕本部員会議の後でももちろん,その注意喚起は行う予定としております。それから今,県としては気象台と情報交換していますけれども,最も早い場合には土曜日の未明から雨が降り始める可能性があると考えていますので,その進行具合を見ながら,明日ないしは明後日,どういう対応をするのかというのを今考えているところです。いずれにしても早めの注意喚起は始めるというか,今日の本部員会議を含めて,それは行う予定にしています。
(NHK)
天応などでは土砂がすごく多くて,撤去しようにもダンプが足らないとかいう話も地元で聞くのですけれども,その辺について,このマップに基づいて台数を増やすとか,どこかから借りてくるとかということはされるのでしょうか。
(知事)
これは国と県と市が調整しながら入っていきますので,そういった必要なキャパシティというか,そういうことはもちろん確保して進めていくということです。
(司会)
その他ございますでしょうか。
(HTV)
広島テレビです。冒頭の部分とちょっと重なる部分があるかもしれませんが,このロードマップなのですけれども,8月末を目指していくというところで,これは完成した場合には,生活の段階で言うと,そこから生活再建が始まるという考え方なのか,それともどういう段階まで持っていきたいと知事はお考えでしょうか。
(知事)
もちろんこれが完成した時点というか順次進んでいくところもあるので,場所によっては早く始まるということもあると思いますけれども,地域全体で見た場合に,ここまで進めば一定の,例えば軽い雨が降った場合に対する防御だとか,そういうこともできると。そして宅地の土砂も撤去されているということで,そこから自宅の再建なりといったようなことも含めた生活再建が進んでいくと。もちろん家が大きな被害がないところは,もう既に土砂も撤去してきれいにして,一定元の生活に近いものができると思うのですが,とりあえず例えばワイヤーセンサーであるとか,あるいは大型土のうを置いて水の路を作っていくとか,そういうことがないと非常に不安定な土砂が多いものですから,避難上の課題があるということです。それがある程度できれば,避難勧告であるとか避難指示等の運営は,これは従来よりも厳しく,少ない雨量基準で運用していくということになりますけれども,ただ一定の運営ができていくということになるということです。
(司会)
その他ございますでしょうか。
(中国新聞)
途中であった生活再建が,基本的に共通しているというお話があったと思うのですけれど,今回の個別の箇所についてのロードマップとは別に,何か県全体で進捗度を分かりやすく示すものを作られるご予定というのはあるのでしょうか。
(知事)
県全体としては,ある意味もっと大きな流れというのを作っていく必要があると思っていまして,今後,今の応急復旧から,本格的な災害復旧へと転換していくフェーズが切り替わっていくということになると考えています。ただ,災害復旧についても,非常に社会インフラに対する被害というのは大きいものですから,非常に時間がかかるだろうなと受け止めているところでありまして,今の道路,あるいは鉄道の通行の支障,障害であるとか,あるいは観光,水道はだいぶ回復してきましたけれども,そういった被害がまだまだありますので,県はもちろんですけれども,県民の皆さまや,あるいは関係者の皆さまが一体となって,あるいは一丸となって集中的に復旧に取り組む必要があると考えています。そのために中長期的な視点による基本的な方針となるような復旧・復興プラン,これを大体9月上旬〔を〕目途に,発災から2か月くらいだと思いますが,このころには一定の形を示していきたいと考えています。その策定にあたっては,基本的な考え方として,まずは,県全体の経済活動や県民生活が日常に戻って,安心して暮らせる広島県を取り戻すということと,単に災害の復旧に留まるということではなくて,本県の更なる発展に資する基盤づくり,そのスタートとなることを中心に考えたいと思っています。またあわせて,こういった異常気象,全国どこでも起こりうるという状況だと,そういう可能性があると認識していますので,こういった被災体験をしっかりと検証して,本県だけではなくて,日本全体の防災減災対策をより深めていくような取組を進めていきたいと考えています。そういう中で,今の生活再建のもの,その時点までには一定に進んでいると思いますけれども,取り込んだ形でお示しすることになろうかと思っています。
(中国新聞)
確認ですけれど,例えば,ここにある道路啓開だとか,鉄道の話もありましたけれども,土砂の撤去であるとか河川の復旧とか,そういったものも含めてお示ししたいということですか。
(知事)
はい。
(中国新聞)
ありがとうございました。
(NHK)
今回マップを作るにあたって,一番ご苦労された点というか,ネックになった点というか,何が一番問題であったと思われますか。
(知事)
ロードマップ全体についてですか。それぞれあると思うのですけれど。
(蒲原土木整備部長)
発災直後ということもありまして,各市町とも,非常に混乱とか大変お忙しい状況の中で,特に土砂撤去につきましては,三者〔国,県,市町〕といろいろ調整が多くて,そういった中でより効率的に,より速やかに土砂撤去を進める上での,現場での実行性のある計画にするために,現場での調整,そういったものに時間を,労力を要したところでございます。
(來山地域振興部長)
重なるところもありますけれども,生活再建につきましても,発災から取り組んでいくこととか,ある程度落ち着いてから取り組んでいくことというのは,大体やるべきことというのは見えてくるのですけれども,それぞれ市や町がどういう状況にあるのか,ある程度道路が通るようにならないと次のステップにいけないとか,罹災証明が出ないと次の義援金等の関係も難しいとかいうようなステップ感がありまして,それぞれの市や町でどこまでできるのかというところをしっかり落とし込むというところが,市町毎の取組の状況をしっかり押さえるというところがなかなか難しかったところでございます。
(宮崎建築技術部長)
9市4町ではございますけれども,被災の程度の多い少ないというのもありまして,被災の程度の大きいところについては,町の判断をいただかないといけない部分が多々あったのですが,なかなかその辺が,町としてもまさに〔大変お忙しい状況,〕戦闘状態にあるので,意思決定をいただくのに難しい部分があり,調整に時間を要した部分がありました。
(知事)
いずれにしても,今回,あくまでも天応を一つの事例として,取り上げさせていただきましたけれども,濃淡はあるにしろ被災地全体については,大きなプランなのか,それぞれ地域を区切ったプランなのか,それぞれあるとして,しっかりと計画的に進めていきたいと考えているところです。特に,例えば,熊野町の川角だとか,三原,尾道重なってますけれども木原であるとか,そういったエリアは限定的ですけれども大きな被害を受けているところもありますので,そういったところもどういう形で,サポートしていけばいいのか,目配りもしながらしっかりと進めていきたい。各地が全体として,復旧・復興していかなければいけないので,特にこういった重篤なところは,遅れがちになってしまうので,そういったことがないように,我々としてもしっかりと後押ししていきたいと考えているところです。
(中国新聞)
ロードマップは,どれくらいの期間が反映されるのでしょうか。先ほどの全県的な復興計画が何年くらいかかるのかというのは現時点で〔見込みは〕ないでしょうか。
(知事)
それは,現時点では何とも言えませんが,あまり先のことを言ってもしょうがないので,当面の復旧,それから次のステップに行くために必要な更なる復興というか,次のステップに繋がるような部分まで含めていこうと考えています。後は,それが元に戻ってチャレンジビジョンであるとか,チャレンジビジョンも改定を迎えますけれども,その中でまた取り込みながら,チャレンジビジョンの中で更なる長期の発展計画というのは,作っていきたいと考えているところです。
(司会)
では,以上をもちまして,会見を終了させていただきます。ありがとうございました。
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