高齢者のための住宅改修ポイント【ポイント3】
ポイント3 安全で使いやすいトイレ
失敗しない手すりの選び方・取り付け方についてご紹介しています。
トイレの自立はプライドと生きがい《建築士からのメッセージ》
狭い空間での衣服の着脱、身体の向きを変えたり上下移動するなど複雑な動きが多く、ケガが多い箇所です。
安全で使いやすいトイレにすることは人生最後まで自立の心を養い尊厳を保つ事にもなるのです。
お困りトイレを解決して自立
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トイレの出入り口に段差,ドアが開けにくい
出入り口の段差を無くす。ドアより引き戸が動作が楽に開けやすい。
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トイレの室内動作の不安定
便器に座ったり立ち上がる動作は転倒の危険が多いので適切な手すりが必要です。
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冬期トイレ内外の温度差が大きい
急激な温度差は健康に悪く、最悪の場合は死亡事故につながります。
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床材が滑りやすく,足元がふらつく
手洗いの水こぼれは滑りやすい。トイレマットなども足を引っかけて転倒の原因になります。
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照明が暗く足元が見えにくい
狭いトイレは足元が見えにくいため危険です。照明の付け方も工夫が必要です。
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もしトイレで倒れたら‐緊急事態
トイレで倒れたとき救出できるようにしておきましょう(外開き戸、引き戸)。
トイレの改修工事で多いもの
なぜ高齢になるほどトイレの改修が多くなるのでしょうか
今までの調査から,お困りトイレの具体的な不安や要求をまとめました。
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トイレの出入り口に段差、ドアが開けにくい
出入り口の段差を無くす。ドアより引き戸が動作が楽に開けやすい。
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狭くて転倒したときに起きあがれない
急に身体のバランスを失い、とっさにタオル掛けに捕まったが、取付が弱く役に立たなかった。
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ドアを開けるとき身体が不安定になる
丸形ドアノブは指先に力が入りにくい。またドアを開けるとき自分の身体をよけなければならないので身体が不安定になります。引き戸か3枚戸が良い。
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頻尿のため夜間数回使用するがトイレが遠くて危険
高齢になると排泄の我慢が出来にくくなりますのでトイレに行く回数も増えます。 寝室と隣接させるか、可能な限り近くに持ってくるべきです。
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トイレ室内の横幅が狭くて手すりが付けられない
日本の住宅は畳寸法を基準にしているので、トイレも横幅が80cm以下が多いために手すりを付けると狭くて身動きできない事態が出てきます。
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トイレ内が狭くて転んだとき介助しにくい
とりわけ片麻痺パーキンソン病など筋力が弱いと転倒しやすくなります。介助者の空間が必要です。
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トイレ内に車いすで十分中まで入れない
手すりの取付位置によっては、車いすを使うのに支障を来す場合があります。じゅうぶんな広さの確保が必要です
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トイレが和式で,手すりがないので立ち上がり不安定
転倒事故が最も多いのは、しゃがんだり立ち上がる時に身体のバランスを崩して起こるものです。腰掛け式か、据え置きカバー腰掛けにし、手すりをつけることが急がれます。
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トイレの水を自分で流すのが困難
温水洗浄便座にして、便器洗浄付壁掛けリモコンにすると楽です。
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ポータブルトイレを使用していたが転倒しやすく、重なる骨折でおむつになった
便座の高さを身体の寸法にあわせて座りやすくし、肘掛けを兼ねた手すり等を付ける。 ポータブルトイレ自体の安定性にも配慮が必要です。
- 便座の高さは床に足のかかとが届く
- 安定したポータブルトイレ
- 立ち上り手すり
- タテの手すり
安全で使いやすいトイレのチェックポイント
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立つ・座る動作をしやすく安全に
身体を上下する動作は、転倒事故が最も多く発生します。腰掛け式便器は動作を楽にし手すりが身体を支えてくれます。
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床材は滑りにくく掃除のし易いものに
手洗いの水がこぼれたり汚したりすることが多いので、滑りにくく汚れが付きにくい床材にしましょう。
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トイレ内は暖かくして温度差を少なくする
急激な温度差は健康に良くありません。トイレの暖房には特に気配りが大切です。
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トイレは寝室に隣接させるのが最善
昼夜を問わず使用頻度が多くなり我慢し難くなります。トイレがすぐ近くにあることは安心ですし心強いものです。
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照明を明るく足元を見えやすく
照明機器は明るめのものを足元が見えやすい位置に取り付けます。消し忘れのことも考えてセンサーライトが良いでしす。
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操作機器は見やすく簡単なもの
温水洗浄リモコンは簡単で表示が大きく見やすいもの、置き場所は操作し易いところに。
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緊急事態が起こった時の通報
転倒したり健康状態の急変にそなえて緊急通報装置などを備えておく。
- 出入口の有効幅員は750mm以上とする
- L型手すりを設置する
- 暖房便器や温風ヒーターなどの暖房装置を設ける
- 便器の側方に500mm以上の介助スペースを確保する
- 出入口には段差を設けない
- 将来のことを考えた間取り
- トイレ足元灯で明るく
- 緊急事態に備える
事例紹介/安心して使いやすいトイレにしたい
事例1
老夫婦2人で自立
トイレの出入りに段差がある,幅が狭い和風式便器で立ち上がりや座る動作が困難
改修工事内容
- 沓ずりとドアを撤去
- 床段差を無くして,引き戸にする
- 和式便器を腰掛け式に取り替える
- 手すりを取り付ける
- 床段差なし
事例2
介助スペースを確保
トイレの横幅が狭く介助ができなかった
改修工事内容
- 隣接する洗面所,廊下,ホール等の
壁を撤去してトイレを拡張した - トイレスペースは将来のことを考えて,
介助スペースを確保した - 出入り口を拡幅し,外開きドアにする
- トイレの介助を考えたスペース
事例3
寝室の押入をトイレに
寝室から便所が離れていて,夜間危ない
改修工事内容
- 給排水工事をして水洗便所を設置
- 押入のふすまを板戸に変更
- 寝室のベッドから直面しないようにカーテンを付けた
- 寝室の押入を
トイレに改造