広島県産小豆の生産振興及び使用による「ひろしま地産地消菓子」の開発
広島県菓子工業組合は,地域特産物を活用した新しい菓子の開発と普及に向けた取り組みとして,2017年から「広島県産小豆の生産振興及び使用による「ひろしま地産地消菓子」の開発」を実施しています。菓子業界からの要望を受け, JAひろしま,地域農協,県市農政が連携した新たな小豆生産も開始され,各地に広がっています。
食品工業技術センターではこの取り組みに賛同し,技術支援を目的に広島県産小豆の栄養成分や加工適性等に関する調査研究※を実施し,一般に流通している北海道産の小豆とその性質や成分を比較しました。以下,その概要をご紹介します。
(※:H30年度基盤研究,R01年度豆類振興事業調査研究(雑豆需要促進研究)で実施)
調査材料
2018年,2019年産の県産小豆と,全国菓子組合からの奨励品種を試料としました(表参照)。広島県の栽培品種は,京都丹波地方で入手した丹波産大納言(三次産,世羅産)と,地元産の在来種で少量生産されている,普通小豆の「御器ねぶり」です。
調査項目
・百粒重:小豆の大きさ(百粒重が大きいほど,豆の粒が大きいことを示す)
・吸水率:小豆の性質(吸水率の高いものほど,餡にするときに「焚きやすい」)
・栄養成分:熱量,炭水化物,水分,たんぱく質,脂質,灰分,ポリフェノール
分析結果
菓子業界で広く利用されている北海道産と,広島県産小豆の分析結果(いずれも2018年,2019年産の2年分)は次の一覧表のとおりでした。ポリフェノールは乾燥子実ではいずれも小豆の一般的な含有量(300~600mg/100g;加藤淳著「小豆の力」)とほぼ同様の値でした。また,広島県産小豆を使った餡の試作を依頼した組合員企業からは,小豆の粒の大きさや色の濃さ,餡にした時の光沢などが高評価でした。
広島県産小豆の成分特性などの評価結果については,今後も県内の皆様に向けて情報発信し,広島県で生産された小豆の,魅力的な菓子素材としての今後の積極的な活用推進と,新たな地産地消菓子の商品化の実現に向けて,食品工業技術センターでも引き続き技術支援を行っていきます。
調査対象小豆(左上から順に)
大納言奨励品種:北海道産「とよみ大納言」,
広島県栽培品種:丹波産大納言
普通小豆奨励品種:北海道産「エリモ小豆」,
広島県在来種:普通小豆「御器ねぶり」