凍結含浸法とは
印刷用ページを表示する掲載日2019年11月27日
凍結含浸法は,食材に酵素等の物質を急速に導入する技術です。凍結・解凍と減圧の2つの処理を組合せる新たな発想により,食材を細断することなく,中心部へ短時間かつ均一に物質を導入できます。
通常,食材に調味液などの物質をしみ込ませる場合,漬物のように食材を調味液につけ込む,煮物のように調味液中で加熱する,あるいは圧力鍋を使って調味液とともに加圧するなどの方法が一般的です。
しかし,熱に弱い栄養成分や酵素などのタンパク質をしみ込ませる場合,加熱処理は利用しにくいという問題があります。また,長時間の浸漬処理は,連続工程では生産性に欠けるという問題があります。凍結含浸法はこれらの問題を解決しました。
凍結含浸法の基本工程
凍結含浸法による食材への物質含浸工程は,次のとおりです。
STEP1 事前加熱
事前に食材を加熱して、食材内のアク成分を除去したり、褐変などの色調変化を防止します。
STEP2 凍結・解凍
食材を凍結して食材内に氷結晶を生成させたあと解凍します。氷結晶の生成は食材の組織間を押し広げる効果があり、解凍すると含浸溶液の浸透経路となるわずかな隙間が生じます。
STEP3 減圧(含浸)
解凍食材を含浸溶液に入れて減圧します。食材内の空気と食材外の含浸溶液を置換します。減圧時間は5~10分程度です。
STEP4 酵素反応
やわらか食を作製する場合は、STEP3で酵素を含浸して酵素反応を行います。
STEP5 加熱酵素失活
最後に加熱して、酵素反応停止と殺菌を行います。