文化芸術で地域とつながる おたすけBOOK|住民とともに取り組む文化拠点の魅力活力UP
<地域の文化施設や文化芸術振興に携わる方向け>
文化施設が地域住民と一緒に企画し、実施する事業の進め方を進めるうえでのポイントをまとめた冊子です。
令和4~5年に実施した広島県地域住民参画型モデル事業の実施をもとにまとめています。
※住民の皆さん向けにまとめたパンフレットはこちらのページをご覧ください。
目次
1.住民参画型事業って?
住民参画型事業とは、文化施設が行う自主事業のなかで地域住民と一緒に企画し、実施する事業のことです。地域の文化や伝統行事、暮らしを豊かにする音楽・演劇・映像・デザイン・アートなど、地域住民がやってみたいテーマで企画をつくり、実現に向けて一緒に取り組みます。
その手法も、施設を使った発表や鑑賞から展示、体験ワークショップなど、多岐にわたります。文化施設の可能性を広げ、芸術文化の力で人や地域を元気にすることできる事業です。
地域住民と一緒に事業を取り組む効果
近年、コンサート等のオンライン配信等、ライフスタイルの変化などにより文化施設の利用も変化してきており、利用者数の低下や文化芸術活動の担い手不足などの悩みが聞かれるようになってきました。実は住民と一緒に事業に取り組むことで、文化施設が抱える課題の解決につながるかもしれません。
このほかにも、「地域団体や教育団体とのつながりができた」「地域の伝統芸能を再開することができた」などの感想も。自分たちだけで行う既存の自主事業より、大変に感じるかもしれません。しかし、得られるものも多いので、ぜひ挑戦してみませんか?
いま、地域や住民とのつながりが重要な理由
これまで、文化施設の役割は、住民の文化芸術活動(鑑賞・参加・創造)を支援するために、鑑賞事業や貸館事業などの「文化芸術振興」だと考えられてきました。しかし、近年の文化施設に求められる役割は拡大しており、「文化芸術を通じた地域振興」も求められています。
住民との協働関係とは
住民との協働で事業を進める場合は、住民は「お客さま」ではありませんし、事業を進める上では主従関係はありません。住民は施設と一緒に企画し、準備をするパートナーです。そのため、対等な関係で話し合いを進めるようこころがけましょう。これは、住民と共創するためのとても重要なポイントです。
さまざまなスタイルの参画事業
住民がどう参画するかもさまざまなパターンがあります。施設側のビジョンや、地域の現状・ニーズに対応し変化させることが可能です。
次で紹介するモデル事業の実際の実例を参考に、自分の施設にはどのパターンがいいか検討してみましょう。
2.事例から学ぼう!ケーススタディ
令和4~5年の2年にわたって、広島県内の3つの文化施設で、住民参画型事業を行いました。施設の課題や、住民参画の方法、参加住民の違いから三者三様の自主事業と効果が生まれています。
広島県地域住民参画型モデル事業でうまれた地域住民参画型事業の紹介
- 各施設の事業の詳細、および事業実施までのプロセスに興味がある方は、ぜひ広島県公立文化施設ネットワーク「ひろぶんネット」から事業報告書をご覧ください。
※ひろぶんネットはIDとパスワードを持つネットワーク構成員のみが閲覧できます。
住民参画型事業を実践してみよう
上記3つの事例だけでも、進め方や事業内容、成果がさまざまであることがわかります。住民参画事業を通して何を達成したいか施設側の将来像(ビジョン)を持ちながら、事業に取り組むことが大切です。
では具体的にどのようにスタートし、住民集まってもらい会議を開くか。また、企画したアイデアを事業として実施、ふりかえりするときどういったことに注意すべきか。次ページ以降では、実際に住民参画型事業を進めていくプロセスを紹介します。それぞれのステップでは、活用できるワークシートやチェック項目などが掲載されています。ぜひ同梱されているワークシートなどを活用しながら、自身の施設にあわせて実践してみましょう。
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3.7つのステップではじめる、住民参画型事業
地域住民と一緒に事業をやってみよう!そんな思いを実現する方法を、7つのステップでご紹介。自分の地域の現状にあわせて変化させながら実践してみてください。
各ステップではモデル事業の時どうだったかもポイントとしてお伝えします。
「企画シート」様式 ※ダミー (PDFファイル)(1.43MB)
「事前チェックシート」様式 ※ダミー (PDFファイル)(1.43MB)
スピンオフ
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4.困った時のQ&A集
ここでは実際住民参画型事業を進める際に不安に感じたこと、
悩んだ点などを一問一答形式で紹介します。
ふだんお客様として接しているので、会議でもつい全て受け入れようとしてしまいます。どのように接するのがよいでしょう?
市民が活動を開始していくためには、雑談と対話が必要です。雑談とは、日常や暮らしの匂いを切り捨てることなく、それぞれの固有の体験や実存に根ざしたさまざまな意味が込められています。そこには単なることばや文字を超える「暮らし」の思想や経験が基盤となっています。積極的に雑談を取り入れてください。
また対話は、次の3つが満たされていないとできません。(1)共通の目標(未来像)を持つ、(2)のびのびと自由に発言できる(否定されない)、(3)どんな人も知恵や経験を共有しあえる、この対等な対話が市民活動の場ではもっとも必要です。そこから市民自身が自分の中に力があることを発見し、活動していくことができますよ。
会議で話は盛り上がるんですが、なかなか一つに決まりません。どのように進めたらいいでしょう?
一つに決まらないほど企画が出てくるのは、すばらしいことです。企画がたくさん出てきた時は、理想の未来を話し合い、理想の未来に近づけるために、みんながもっともわくわくするものはどれかを問うといいでしょう。
また企画を実施するには、人手や実施までの期間、実現しやすさなどの制約があります。紙とペンを使って、縦軸をわくわく度、横軸を人手の数にするなど、2 つの軸を使いながら、実現可能性を探るのも手ですよ。
市民のアイデアは費用がかかるものが多く、実現が難しいものばかりです…。
市民の周囲には、企画を実現するための資源となる素材やもの、つながりが必ずあります。「あなたの力を借りたい」と声に出すことが、予算の壁を乗り越える第一歩です。人によって報酬と感じるものは異なります。頼られることが報酬である人もいれば、感謝されることが報酬である人もいます。多様な報酬があることを念頭に、周囲の協力者を募りましょう。お互いさまの気持ちで感謝し合う関係性をつくると、お金では実現できない温かな活動(企画)がうまれてきます。
その他の方法としては、不用品の販売などを実施して資金を集める方法、寄付で集める方法、必要なものを借りる方法、無料で使える素材を活用する方法などがあります。継続的な活動になれば、助成金などに応募するのもアリですね。
せっかく市民が考えた企画。たくさんの人に来て欲しいと思うんですが、何かヒントを!
ポイントは2つあります。
一つ目は、企画を考えた市民がわくわくしているかどうか。
わくわくするような企画であれば、友達、家族、同僚、ご近所さんなど、出会った人にどんどん話したくなるものです。また、そのわくわくが伝わるようなイベント名やチラシのデザインを心がけます。近年は、スマートフォンの無料のアプリでチラシ等を作れるものがたくさんあります。こうしたネーミングやデザインのセンスは、日ころからこつこつと「これいいな」と思ったチラシやネーミングを1 箇所に集めておくことが大切です。日々の積み重ねからわくわくを可視化することができます。また予算と似ているのですが、多様な人の力を借りることが、口コミにもなり、結果として集客にもつながっていきます。
二つ目は、告知期間を十分にとったスケジュールで準備を進めること。
チラシや告知情報が決まってから最低1か月、可能なら2か月ほどイベント当日まであいていることが理想です。告知期間が十分にあれば、まちの広報誌に掲載したり、ラジオに取り上げてもらったり告知の幅が広がります。
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【ダウンロード一覧】
おたすけBook|冊子ファイル (PDFファイル)(7.35MB)
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問合せ先
広島県では、文化施設が地域の拠点となり、地域とつながった自主事業づくりを応援しています。
広島県庁ホームページでのモデル事業の紹介のほか、事業実施にむけて相談したいことなどがあればぜひご連絡ください。
広島県環境県民局文化芸術課
創造グループ
kanbunka@pref.hiroshima.lg.jp
082-513-2722
関連情報
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