農地の売買・貸借に関する制度について
印刷用ページを表示する掲載日2019年8月6日
農地の権利(買ったり・借りたり)を取得しようとする場合には,原則,農地法の許可,農業経営基盤強化促進法または農地中間管理法の手続きが必要です。この許可を受けず,また手続きをしないで売買や貸借した場合は,農地法違反となります。
農地はそれ自体が生産力を持つ限られた資源であり,農地法では農地を農地以外のものにすることを規制するとともに,不耕作目的での農地の取得など望ましくない権利移動を制限し,農地の利用の効率化を図ることを目的としています。
また,農業経営基盤強化促進法や農地中間管理法では効率的かつ安定的な農業経営を目標としている農業者に対する農用地の利用の集積を図ることとしており,原則としてこれらの要件を満たす者が,農地の所有権・利用権を得ることができるようになっています。
農地法,農業経営基盤強化促進法(利用権設定),農地中間管理事業の主な特徴
農地法
- 農地の売り手(貸し手)と買い手(借り手)の当事者間で農地の権利の設定または移転を行う方法です。
- 農地の売り手(貸し手)と買い手(借り手)の両者が農業委員会に農地の権利の設定または移転の申請を行い許可を得る必要があります。
- 売り手(貸し手)の農地が共有名義である場合は,共有者全員の同意が必要です。
- 農業委員会許可を得ていない場合は,耕作権を主張することはできません。
- 農地の買い手(借り手)は,農業委員会が定める下限面積以上の農地を耕作する必要があります。
- 契約期間満了前の一定の時期に地主が解約の意向を伝えない場合は,契約が自動的に更新されます。
- 賃料の不払いや耕作放棄などの事由がない限り契約を更新しなければなりません。
- (注)無償の貸し借り(使用貸借)には,耕作権の保護はありません。
農業経営基盤強化促進法(利用権設定)
- 市町が農地の売り手(貸し手)と買い手(借り手)の情報を公告することで農地の権利の設定または移転を行う方法です(利用権の設定・移転といいます)。
- この方法では,農地法第3条の許可が不要です。
- 売り手(貸し手)の農地が共有名義である場合であっても,共有者全員の同意は不要です。
- 農地の買い手(借り手)は,農業委員会が定める下限面積の適用がありません。
- 利用権設定は,期間満了によって終了します(再設定により更新することもできます)。
- 利用権は,期間満了によって終了するため,中途解約の場合を除いて耕作権の保護は問題になりません。
中間管理事業
- 農地を借りる人が多数の農地所有者と交渉しなくても,規模拡大・面的集積ができます。
- 公的機関が調整するので,貸し手の心理的抵抗感や軋轢を緩和することができます。
- 自ら借り手を探せない方の農地を耕作放棄化させず,借り手へつなげることができます。
農地法による農地の権利の取得は「解説2 農地法第3条許可」へ
農業経営基盤強化促進法による農地の権利の取得は「農地の流動化(農地の貸借・売買)」へ
農地中間管理事業による農地の権利取得は「農地中間管理機構」へ