安芸灘大橋(あきなだおおはし)
諸元
路線 | 主要地方道下蒲刈川尻線(安芸灘大橋有料道路) |
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所在地 | 呉市下蒲刈町~呉市川尻町(女猫瀬戸) |
完成 | 平成12年1月18日(供用開始) |
橋長 | 1175.0m |
最大支間長 | 750.0m(吊橋では国内第9位) |
設計荷重 | B活荷重 |
上部工形式 | 3径間連続2ヒンジ補剛箱桁吊橋 |
塔の高さ | 119.45m |
全幅員 | 12.7m |
車道幅員 | 6.0m |
歩道幅員 | 4.0m |
桁下高さ(航路) | 40.0m |
塗装色 | ライトブルー |
管理者 | 広島県道路公社 |
安芸灘諸島の「ゲートブリッジ」は我が国最大の県道橋
安芸灘大橋は,広島県南部の瀬戸内海地域に位置する8つの島々と本州を結ぶ「安芸灘諸島連絡架橋」のうち,本州と下蒲刈島を結ぶ最も重要な橋,通称「安芸灘1号橋」である。
中央径間750mは,吊橋として国内第9位の規模であり,本州四国連絡橋群を除き,都道府県道に架かる橋の中では我が国最大の橋である。
架橋地点となる女猫瀬戸は良好な漁場であることから,海上への基礎設置を避け,女猫島及び下蒲刈島の水際線に主塔を配置した結果,中央径間750mに対して側径間は本州側が255m,下蒲刈側が170mと非対称構造となっている。
また,中央径間に比べ桁幅16mと非常にスレンダーであるため,耐風安定性が特に重要となることから,1/20の大型の桁模型や1/120の全橋模型を用いた風洞試験を行なった。
その結果,フェアリング形状などの最適化に始まり,主塔の外側コーナーの隅切り,主塔内部への制振装置(TMD)の設置や高欄形状の改良にいたるまで,徹底した対策を行なうことで十分な耐風安定性を確保している。
下部工では,ケーブルをつなぎとめる「アンカレイジ」に打設する,大量のコンクリートが発生させる発熱ひび割れを抑制するため,アンカレイジに「スロット」と呼ばれる溝を設けて4分割に打設し,発熱が収束したのちスロット部を打設する方法を採用した。
また,巨大構造物が船舶のレーダーに及ぼす影響の低減と,景観への配慮を兼ねて,アンカレイジ外壁に多段斜面のテクスチャーを施している。
上部工では,ハンガーロープの桁側定着構造に対する工夫や,主塔の水平現場継手を全て溶接継手としたこと,桁架設時に橋体となるハンガーロープも利用した「スイング架設」など,我が国で初めてとなる技術を複数採用したほか,厳しい気象海象条件下での耐久性向上のため,多くの新たな試みにも積極的に取り組んだ。
こうして安芸灘大橋は,これまでにない優雅で近代的な形態美と機能性を兼ね備え,多島美に見事に調和した,安芸灘諸島の玄関口にふさわしい長大吊橋となったのである。
受賞履歴
- 平成11年度 土木学会 田中賞(作品部門)
- 平成11年度 全建賞(道路部門)
位置図
アクセス情報
バス
- JR呉線仁方駅より広電バスにて,天応川尻線小用入口行き「小仁方」バス停下車,徒歩約1km
- 広島バスセンターより蒲刈・豊浜・豊方面高速バスにて「小仁方」バス停下車,徒歩1km
お車
- 東広島呉自動車道阿賀ICより,約9km,約20分