豊島大橋(とよしまおおはし)
諸元
路線 | 一般県道豊浜蒲刈線 |
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所在地 | 呉市豊浜町(豊島)~呉市蒲刈町(上蒲刈島) |
完成 | 平成20年11月18日(供用開始) |
橋長 | 903.2m |
最大支間長 | 540.0m |
設計荷重 | B活荷重 |
上部工形式 | 単径間吊橋 |
塔の高さ | 109.5m |
全幅員 | 9.85m |
車道幅員 | 6.0m |
歩道幅員 | 2.0m |
桁下高さ(航路) | 50.0m |
塗装色 | スカイミント |
管理者 | 広島県 |
愛称 | アビ大橋 |
「命の道」をつないだ21世紀唯一の長大吊橋
豊島大橋は,広島県南部の瀬戸内海地域の島々と本州を結ぶ「安芸灘諸島連絡架橋」のうち本州から3番目の橋,通称「安芸灘3号橋」である。
2000年に完成した安芸灘大橋以降では,国内で架けられた唯一の道路橋吊橋であることから,豊島大橋は「我が国唯一の21世紀の吊橋」となる。
これまで吊橋では,ケーブルを固定するためのアンカレイジ構築のため,地形を大きく改変する場合が多々あったが,比較的浅い層で良好な岩盤が分布したため,これを利用した岩盤定着式アンカレイジを国内の吊橋では初めて採用した。
主塔・補剛桁の架設ブロックの外面連結には,国内の吊橋では初となる全周溶接を採用することにより,添接板や接合ボルトの鋼重削減が図られ,コスト縮減はもちろんのこと,平滑で美しい外観を実現すると同時に,内面空間の密閉性が確保されることにより耐久性が向上した。
ケーブルを支える主塔の架設は,工場で一体組みした高さ約110m,重さ約1000tの大ブロックを,国内最大の4100t吊フローティングクレーン船で建て起こし,そのまま架設地点まで吊運搬して一括架設するという,国内の吊橋では初となるダイナミックなものであった。
補剛桁を吊り下げるケーブルには,これまで主流であったφ5mm級に代わって,強度の高いφ7mm級のワイヤを現場で張り渡すエアスピニング工法を採用し,また,ケーブル・補剛桁・主塔の内部を腐食環境から保護するための「送気乾燥システム」を設置したが,これらはいずれも吊橋では世界初となるものであった。
このほかにも多彩な新技術・新工法をふんだんに駆使し,工期短縮とコスト縮減を実現した豊島大橋は,21世紀の吊橋架設技術をリードする確かな足跡を残したのであった。
豊島大橋の完成により,安芸灘大橋から始まる連絡架橋は,県境を跨いだ愛媛県岡村島までつながることとなり,人々の交流や物流はもとより,24時間いつでも本州との行き来ができるようになったことで,円滑な救急救命活動が可能になるなど,安芸灘諸島の「命の道」としても大きな効果をもたらすのであった。
地元では,この豊島大橋をより一層身近で愛着のあるものにしようと,架橋海域に飛来し広島県の県鳥ともなっている「アビ」にちなみ,「アビ大橋」の愛称でも親しまれている。
受賞履歴
- 平成20年度 土木学会 田中賞(作品部門)
- 平成20年度 全建賞(道路部門)
パンフレット
位置図
アクセス情報
お車
- 東広島呉自動車道阿賀ICより,安芸灘大橋有料道路経由,約22km,約50分
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