「ひろしま『ひと・夢』未来塾」の第6回講座(プラン発表会・講義)と卒塾式を,合人社ウェンディひと・まちプラザ(広島市
中区袋町6-36)で開催しました。
区分 | 時間 | 内容 |
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プラン発表会 | 13時00分~16時45分 | ・はじめの一歩コース 塾生が自らが取り組んでみたい活動をまとめたマイプランを1人ずつ発表 ・プロフェッショナルコース 塾生のグループが所属する組織の基盤強化につながるプランを発表 |
講義 | 16時55分~17時35分 | ・~自分の思いをカタチにする力~ 人材×組織×マーケティングによる地域活性化 講師 井手修身氏(イデアパートナーズ株式会社 代表取締役) |
審査結果発表 | 17時45分~18時20分 | ・コース別に,最優秀賞,優秀賞,来場者賞の発表 ・メイン講師による全体講評 |
卒塾式 | 18時20分~18時30分 | ・塾長メッセージ ・修了証書授与 |
今回は,塾生間の交流を図るため,はじめの一歩コース,プロフェッショナルコースの両コース合同で実施しました。これ
までの研修成果の発表の場であったため,OB・OGや共に活動している方など,多くの方が聴講に来てくださいました。
はじめの一歩コースでは,農山村での暮らし体験,音楽会や法律教室など,都市との交流を促進するプランや,野花や
鹿革など,地域の資源を活用するプランなどが発表されました。プロフェッショナルコースでは,地域づくり活動に携わる
人たちの交流の場の運営や森林資源の活用,鳥獣被害対策に関するプランなどが発表されました。
審査員からは,プランの実践に当たってのアドバイスなどをコメントしていただきました。
(審査員)
・井手修身氏 (イデアパートナーズ株式会社 代表取締役)
・庄子佳宏氏 (一般社団法人広島青年会議所 2016年度未来運動室室長)
・中村隆行氏 (特定非営利活動法人ひろしまNPOセンター代表理事)
・新舎 篤氏 (第1期塾生 はじめの一歩コース最優秀賞受賞者)
・竹中正博氏 (県地域政策局長)
・~自分の思いをカタチにする力~ 人材×組織×マーケティングによる地域活性化
講師 井手修身氏(イデアパートナーズ株式会社 代表取締役)
現在の会社を起業するまでの経緯や,商品・サービスのマーケティング手法について,説明していただきました。
井手さんは大学卒業後,リクルート株式会社に入社されました。入社3年目に,「リクルート事件」が起こり,担当していた
プロジェクトが全て中止となり,社内で無業状態になってしまったそうです。そのときに先輩に,「これは時間を有効に使える
チャンス!」とアドバイスをいただき,いろいろな人の話を聞いて回ろうと思い,実行に移されたそうです。
実際に人と話をしていく中で,「自分の取り組んでみたいことは,地域の活性化である」と確信され,入社10年目には社内
で地域活性化事業部を設立されました。この事業部は5年で廃止となりましたが,九州支社でこの事業に携わっていた
井手さんは,事業を存続させるべく,社内の制度を活用して経営陣のトップに直接自身の企画を提案活用されました。
内容はリクルートOB・OGの人材ネットワークを活用して地域活性化を行う手法についての提案でしたが,見事にスピン
アウトの適用対象となったそうです。
これで,独立して自分の取り組みたいことが出来ると思われたそうですが,話が具体化していく中で,制約が増えてきて,
このままでは会社の代理店のような形態になってしまう状況に追い込まれたそうです。
そんな中,相談相手となった友人から,「ピンで立て」とアドバイスをされます。また,「独立したときが,あなたのピークの
ときだから,応援してくれる人たちを集めて,新会社設立のパーティーを自作自演でやりなさい」と激励を受けます。そこで
井手さんは自らの想いを広く周囲に訴えて回ります。この結果,地域の錚々たる方々にも発起人として名を連ねていただき,
会社設立のパーティーでは,数多くの方に集まっていただいたそうです。「人と人との信頼関係が事業での基盤」と実感され
たそうです。
独立後は,九州を中心に地域活性化のプランニングに携われています。様々な地域で地域活性化に取り組まれています
が,一人の人間の善意に頼っていると事業が継続できないと痛感されています。行政の補助金と同時に終了してしまう
事業も少なくありません。
継続して事業を行うには,安定した収入源をつくり,そのためには商品・サービスに価値を感じる顧客からの対価を得る
しくみづくりが必要となります。地域活性化ビジネスにおける新たな価値の創造には,「一人称マーケティング」と「フォロワー
の力」が重要だそうです。「私が行ってみたい」,「私がいいと思う」ことを積極的に発信し,共感の輪を広げ,新たな価値を
創造していきます。企画したプランを,ホームページで公開したまま,あるいはチラシを置きっぱなしにしてしまうことがよく
ありますが,積極的に売り込む営業活動を展開することが,新たな価値の創造に欠かせない第一歩と言えそうです。
各コースのメイン講師から,最優秀賞,優秀賞,来場者賞が発表され,賞状の授与が行われました。
はじめの一歩コースは,「目標・目的が明確で自分ゴトとして捉えられているか」,「適切な地域課題をマイプランに反映
できているか」,「分かりやすいプレゼンテーションであったか」などの基準により,審査が行われました。
受賞者 | プランの内容 | |
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最優秀賞 | 徳岡真紀 | 耕作放棄地を活用した和綿の栽培と商品化・販売など,里山の資源を活用した「衣・食・住・医」の楽しい |
優秀賞 | 山田良和 | パンフレットなど特産品のPRツールを作成し,道の駅たかの(直売所)を通じて生産者の声を届けることで, 生産者と消費者をつなげ,中山間地域での暮らしの理解者を増やす取組を提案 |
来場者賞 | 山根弘和 | 閉校した地元小学校(廿日市市浅原)の同窓会ネットワークを構築し,週末に地元に帰り,自分の強みや スキルを地域に無理なく役立てる暮らしをする人が増えるまちづくりを提案 |
プロフェッショナルコースは,「事業の受益者にとって,意義・緊急性があり,課題解決につながるものであったか」,「実施
する事業に必要な経営リソースの有無,充実度が図られているか」,「分かりやすいプレゼンテーションであったか」などの
基準により,審査が行われました。
受賞団体 | プランの内容 | |
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最優秀賞 | Hello! Hiroshima Project | JR広島駅構内で外国人観光者に対して外国語(主に英語)で中山間地域などを含めた広島の案内を 行う,市民参加によるボランティア活動を企画 |
優秀賞 | PiNECoNeS LLP | これまで取り組んでいる「まちあそびプロジェクト」の活動拠点となる大竹市内外の“人と情報”を結ぶ ハブ「98base」を整備し,今後,活動を継続していけるよう,資金確保も含めた事業展開を提案 |
来場者賞 | チームはつかいち | 市民スタッフによるまちづくり団体の活動を継続させるため,一部のメンバーに負担が偏る現状 から,役割と責任,目的意識,現実に合った活動計画を立て,自分たちのサイズに合った運営に 見直すことと提案 |
終わりに,各コースのメイン講師から,塾生,グループのプランについて,ふりかえり,コメントをいただきました。
(左) はじめの一歩コース最優秀賞の徳岡さん,(右)プロフェッショナルコース最優秀賞のHello! Hiroshima Project
塾長である湯崎知事から,卒塾のお祝いと今後の活動に向けた激励の動画メッセージが届けられました。
その後,各コースの代表者が副知事から修了証書を受け取りました。
卒塾式終了後,副知事,メイン講師,塾生などで記念撮影を行いました。会場を移して開催された交流会では,塾生間の
交流を継続させるため,定期的に集うことが約束されました。