「ひろしま『ひと・夢』未来塾」の第2回講座を開催しました。
今回は一泊二日の宿泊研修で島根県雲南市で先行して活動されている方の講義や
地域活動の拠点の現地視察を通じて,知見を広げました。
雲南市では2011年4月より幸雲南塾を開講しており,
その卒業生が「想いを実現するためのプラットフォーム」として設立したのが「NPO法人おっちラボ」です。
今回は雲南市木次町にある三日市ラボにて「NPO法人おっちラボ」の平井さんに講義をしていただきました。
「おっちラボ」は地域と活動人材,専門家等の間を取り持つコーディネートや人材発掘,育成などをされており,幸雲南塾の業務も受託されています。
今後は現状と将来予測などから地域のニーズや課題を分析し,
地域にとってより有効な取組をしていくことを考えられているそうです。
全国的にも先進的な取組をされている「おっちラボ」の今後の活動に期待が大きいです。
マイプランコースとマネタイズコースでグループに分かれ,個別事例の視察を行いました。
マイプランコースでは講義1に引き続き,三日市ラボにて(株)メデュアクトの糸原さんにお話しをしていただきました。
(株)メデュアクトは平成26年4月に設立され,医療機関,中小企業のコンサルティングサービスの他,
事業承継ツアーなど,主に中山間地域での創業,起業の支援をされています。
糸原さんからは「今の仕事は自分のしたいことを続けられていて,とてもやりがいがある」というお話をいただきました。
塾生の皆さんも今のプランが「自分が本当にしたいこと」なのか振り返る良いきっかけになったようです。
続いて雲南市三刀屋町の「来人家(ライトハウス)」で,施設を管理している多賀さんにお話をききました。
多賀さんは幸雲南塾の卒塾生で現在は交流センターの生涯学習推進員や小学校の地域コーディネーターをされています。
多賀さんからは幸雲南塾を契機として,本当の自分を見つめ,他者にさらすことができるようになったことと
それによって,志を同じくする仲間ができ,地域イベントの実行につながったことをお話しいただきました。
マネタイズコースでは,大東町東阿用に移動し,合同会社宮内舎の小倉さんにお話しをしていただきました。
小倉さんは島根県の出身ですが,一度,都会に出た後,島根県に戻り,現在は玄米麺を中心とする農産品の販売を行っておられます。
都会にいるときは,自分には「消費者という役割」しかないと感じており,「手にタコをつくる仕事」をしたいと思い,島根に戻ることにされたそうです。
農業に就く若者が減り,耕作放棄地が増加する中で,農家さんに良い米を作ってもらい,高い値段で買い取るなど「農の魅力化」にも積極的に取り組んでおられます。
苦労や失敗も含め,これまでの取組をとても楽しそうに話す小倉さんに塾生は積極的に質問していました。
次に,雲南市勤労青少年ホームへ移動し,多文化共生活動に取り組む芝さんにお話しをしていただきました。
芝さんは韓国で日本語教師をしていましたが,韓国人の夫が雲南市で国際交流員として働くことになり,5年前に雲南市へ移住しました。
雲南市では人口約4万人のうち,約200人が外国人ですが,日本語が話せないために周囲とのコミュニケーションが取れず,
家に引きこもったり,学校の勉強についていけない子供がいるなど様々な問題があり,なんとかしなければと思われたそうです。
芝さんは幸雲南塾3期生の時にプランをつくった「UNNAN多文化まちづくりカフェ」を実際に立ち上げ,異文化交流会の開催や外国人サポート,日本語教育支援などを行われています。
関係機関に外国人への支援を何度も働きかけ,支援内容を充実させていく行動力は塾生にも参考になったようです。
マイプラン,マネタイズ両コースが合流し,
みとや世代間交流施設「ほほ笑み」にて三刀屋地区まつづくり協議会会長の上代さんに講義をしていただきました。
三刀屋地区の旧市街地は以前は三刀屋町の中心でしたが,
現在は人口減少の影響で商店の閉鎖等,地域の活力が失われてきている状況だということです。
そうした中,地域の課題を把握するため,住民アンケートを実施したところ,
「交流の場づくり」「健康長寿で暮らせる環境づくり」の2つが重要な課題として挙がりました。
「交流の場」として空き家店舗兼住宅の提供の申し出がありましたが,
協議会での維持管理は困難であったため,「合同会社エコカレッジ」に協力を依頼したそうです。
また,「健康長寿で暮らせる環境づくり」のために訪問看護ステーション「(株)Community Care(コミケア)」にも協力していただけることになり,
交流の場づくりは「三刀屋まちづくり協議会」,看護サービスや健康情報提供は「コミケア」,
施設維持管理・就業支援は「エコカレッジ」,この3者の共同で「ほほ笑み」は運営されることになりました。
こういった3者での取組は全国的にも珍しいものだとお話しいただきました。
続いて,コミケアの古津さんに講義をしていただきました。
コミケアは在宅医療の環境が不十分である雲南市で訪問看護をされております。
日本では病院で亡くなる方が多く,在宅死の希望がかなえられにくい状況ですが,
訪問看護により,雲南市内でも希望を実現しやすい環境が整ってきているとのことです。
またコミケアは20代の若手看護師3名で立ち上げられたとのことで
全国的な訪問看護師の平均年齢である48.5歳よりもはるかに若い方が運営しています。
今ではスタッフも8名に増え,活動の幅を広げられているとのことでした。
若い方が事業を立ち上げて経営していることは塾生にも大きな刺激となりました。
2日目に入り,波多交流センターにて波多コミュニティ協議会の山中会長 本間副会長に講義をしていただきました。
雲南市では地域の活動拠点として交流センターを整備しており,
波多地区では旧波多小学校を交流センターとして活用しています。
波多交流センターでは手ごろな価格で食品,日用品を販売する「はたマーケット」を経営されています。
このスーパーは周辺の商店が無くなり,交流センター内にお店を求める地元の声と,
全日本食品(株)からのマイクロスーパーの提案を受けてオープンしたものです。
交流センターには職員が5名在籍しており,普段の事務仕事に加えて,
「はたマーケット」の店員(配達含),地域内交通の運転手,その他地域イベント等の活動をされています。
すでにある施設や人員を活かして地域の皆さんの困りごとに対応しており,
経費を抑えながらもきめ細やかな取組ができている素晴らしい事例を学ぶことができました。
宿泊研修の取りまとめとして入間交流センターにて振り返りのワークを行いました。
入間交流センターは合宿,研修,会食ができるように旧入間小学校を改修した施設です。
古い建物のいいところを残しつつ,利用者が快適に利用できるようにされていました。
振り返りのワークでは「自分ゴト」「ワクワク」「行動をおこす人」等,
自分が地域に興味を持って積極的に活動することが大事であるという意見と
「組み合わせる」「ひとりではできない」等,
周りの方に協力してもらったり,他の様々な活動と組み合わせて取組んでいくことが大事であるという意見が挙がり,
優れた地域活動には素晴らしい実践者,協力者が必要であることを再確認しました。
先進的な地域活動にじかに触れ,その実践者とネットワークができた最高の現地実習になりました。
この経験がどのように塾生のプランに反映されていくのかとても楽しみです。
講座概要については,次のパンフレットをご覧ください。
平成29年度「ひろしま『ひと・夢』未来塾」塾生募集パンフレット (PDFファイル)(1.45MB)
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