知事と同盟メンバーが対談「イクボス推進トーク@備後」を開催しました[平成30年10月19日]
本年度も「イクボス同盟ひろしま」の活動の一環として,湯崎知事と同盟メンバーがより良い働き方について熱いディスカッションを繰り広げる「イクボス推進トーク」が開催されました。
過去2年間で同盟メンバーが代表を務める5社を訪問しましたが,3年目となる今年はさらにパワーアップ。備後エリアに拠点を置く3社が一同に会して行われることになりました。またトークの模様は後日FMふくやまで放送されることに!
≫過去のイクボス推進トークの様子
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イベントレポート
当日の出席者は総合建設業を営む平和建設株式会社から岡田吉弘代表取締役社長,広告代理店・株式会社第一エージェンシーから山本隆文専務取締役,船舶などの検査を請け負うテクノス三原株式会社・向田尊俊代表取締役というイクボス同盟メンバー企業からの3名。もちろん湯崎知事も参加。司会はNPO法人ひろしまジン大学代表理事の平尾順平氏とフリーライター・清水浩司氏で10月19日(金),福山商工会議所会議室にて「イクボス推進トーク@備後」を開催しました。
イクボスの重要性について説明する湯崎知事
トークはまず知事が「広島県が考えるイクボスの重要性」について説明した後,各社が順番にイクボスに取り組むことになったきっかけと事例について発表しました。
平和建設・岡田社長は「今年わが社は創立136年目を迎えますが,創業200年を目指したとき本気で変わらなければいけないと思った」と発言。そのために意識したのは社員の多様性を認めることだったといいます。子育て中の女性,そして広汎性発達障害の学生を採用したことで社内にお互い支え合う空気が広がり,会社の幅が増したと実感しています。
取組を紹介する岡田吉弘代表取締役(平和建設株式会社)
第一エージェンシーが働き方改革に踏み切ったのは,広告をめぐる情勢の変化からでした。製品の性能や価格をアピールすればモノが売れていた時代から,ユーザーの心に訴えかけなければモノが売れない時代へ。そのために創業以来初の経営基本方針の発表会を行うと共に,経営理念も一新。残業を減らし,社内の助け合い風土を高めることで社員個々の力をアップさせることを意識したとのことです。
取組を紹介する山本隆文専務取締役(株式会社第一エージェンシー)
テクノス三原・向田社長にとって働き方改革を始める原動力になったのは,将来の労働人口に対する危機感でした。「わが社は三原にありますが,三原は福山や広島ほど大きな街ではありません。魅力的な会社に変わっていかないと事業継続困難に陥る可能性が高い」。今は残業代を従業員に還元したり権限を各部署に委譲するなど,従業員が「働いてよかった」と思える会社を目指しているとのことです。
取組を紹介する向田尊俊代表取締役(テクノス三原株式会社)
3社の発表を受けて知事からは「これまでメディアで働き方改革の重要性を訴えても,実際の現場は『そうはいっても……』という空気が強かったと思うんです。しかし今は人材不足などの影響により,取り組みが着実に進んでいる実感がありますね」とのコメントがありました。
登壇者に質問する平尾順平氏(奥中央)と清水浩司氏(奥左)
その後はディスカッションパートに突入。イクボスを推進してよかったこと,難しかったことなど本音の部分を伺いました。
よかったことに関して,岡田社長は「自分の考え方が変わったこと」を挙げました。「創業200年を目指すということは,いまから65年先の自分がもういない社会を思い描くということ。そのためにいま何をやるべきか」と長期的視野への転換を語ります。
山本専務が感じた変化は「社員に自主性が出てきた」こと。第一エージェンシーは会社の本気度をアピールするため全クライアントに「社員は18時以降なるべく早く帰宅させることにしました。ご理解をお願いします」という旨の手紙を送付。競争の激しい業界で働き方改革を実施することには不安の声も多いですが,会社が率先してアナウンスし,かつ売り上げは減らなかったという報告に会場から驚きの声が上がりました。
向田社長にとっての転換点は,まず行動を起こしたこと。「本来は業務改善した後に休みが増えるのが理想ですが,それだと実行されない場合が多い。ならば先に休みをとって,それを実現するためにどうすればいいか社員に考えてもらうことにした」と逆転の発想で改革を進めたとのことです。
途中,話は備後エリアの社風の話になり,一般聴講者から「製造業中心で個性的企業が多い。一国一城の主という自負が強いので,経営者が意識を変えると会社も変わりやすいのでは?」という意見も。これには多くの方が納得した表情を浮かべていました。
最後は各自が今後の目標をパネルに記入。岡田社長は「週休2日現場の試行」「SDGs in 川口町(=国連で策定された「持続可能な開発目標」を地元密着で行うこと)」,山本専務は「気になるお店潜入ルポ(=広告マンとして商売に関心を持ってもらうため,店に足を運ぶ費用を経費で負担)」,向田社長は「楽しい会社(自立型組織人による高生産性企業)」を宣言しました。
この日のトークを振り返り,知事は「『楽しく働く,よくばりに働く=ラクに働く』ということではない。生産性を上げるには各自の努力が必要で,そこには必ず達成感があるはず。多くの人がそれを実践して,よくばりな広島県になってほしい」とコメント。そしてイクボスの実践が想像以上に進んでいることに感謝を述べました。
人材不足が進むからこそ働き方改革の導入は切実で,経営者の個性が反映されやすい企業では,大胆な施策も可能なのかもしれません。備後地方がイクボス先進エリアとなる予感を感じつつ2018年度最初の「イクボス推進トーク」は終了となりました。
イベント概要
名称 | イクボス推進トーク@備後 |
日時 | 平成30年10月19日(金) 14時20分~15時50分(14時00分開場) |
会場 | 福山商工会議所101会議室 広島県福山市西町2-10-1 (アクセス)※外部サイトにリンクしています。 |
対象 | 県内企業の方(経営者,管理職,人事労務担当者等) |
定員 | 30名(参加費無料,申し込み先着順) |
主催 | 広島県(働き方改革推進・働く女性応援課) |
登壇者紹介
イクボス同盟ひろしまメンバー(パネラー)
岡田 吉弘(おかだ よしひろ) 氏(平和建設(株) 代表取締役,総合建設・設計業,福山市)
鈴木 毅(すずき たけし)氏((株)第一エージェンシー 代表取締役,広告業,福山市)
(代理出席:山本 隆文専務取締役)
向田 尊俊(むかいだ たかとし)氏(テクノス三原(株) 代表取締役社長,専門サービス業(破壊検査他),三原市)
司会者
平尾 順平(ひらお じゅんぺい)氏 (NPO 法人ひろしまジン大学代表理事)
1976 年広島県生まれ。広島市立大学国際学部卒業。財団法人日本国際協力センターに入団。JICA(国際協力機構)への出向も含め、各種人材育成、教育案件を担当。平和祈念資料館を管理する広島平和文化センターに2年間勤務。2010 年5 月にひろしまジン大学を立ち上げ。一昨年度より「イクボス同盟ひろしま」勉強会のファシリテーションを担った同氏が今年度も継続して担う。
清水 浩司(しみず こうじ)氏 (フリーライター)
1971年広島県出身。一橋大学社会学部卒業。雑誌編集者を経てフリーランスのライター・編集者として独立。2011年に川崎フーフ名義で発表した書籍『がんフーフー日記』が話題となり,2015年『夫婦フーフー日記』として公開。2011年より故郷・広島に拠点を移し,執筆活動を行う。2018年6月に最新作『愛と勇気を,分けてくれないか』を刊行。昨年度よりイクボス推進トークのファシリテーターを担う。
平成29年度のイクボス推進トークの様子はこちらから
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