第18回広島県「減らそう犯罪」推進会議発言要録
湯崎会長(広島県知事)(注)湯崎の『崎』の右側は「大」が「立」
委員の皆様方には,御多用中にもかかわらず,第18回広島県「減らそう犯罪」推進会議に御出席を賜りまして,誠にありがとうございます。
また,平素から,県行政,また「減らそう犯罪」広島県民総ぐるみ運動の推進に御理解と御協力を賜っておるところでございまして,重ねてお礼申し上げます。
さて,平成15年に本運動が開始されましたけれども,現在,第4期行動計画「めざそう!安全・安心・日本一」ひろしまアクション・プランに基づいて取組を進めているところでございます。
運動開始以降,「安全・安心なまちづくり」と「安全・安心をもたらす警察活動」を両輪とします継続的な取組によりまして,第4期行動計画の3年目にあたります昨年は,刑法犯の認知件数が1万4,311件となりまして,これはピーク時の約4分の1でございます。そこまで減少して,戦後最少も8年連続で更新しており,大変大きな成果を上げているところでございます。
しかしながら,いまだに子供や女性が被害に遭う犯罪,或いは高齢者をねらった特殊詐欺は後を絶たない状況でございます。
県といたしましては,こういった情勢を踏まえまして,県民の皆様,事業者,関係団体,市町等と連携して,「日本一安全・安心な広島県の実現」に向けて,県民の安心感の醸成に努めてまいる所存でございます。
本日の会議におきましては,本年の状況を踏まえて来年の取り組むべき方向性のほか,令和2年末で第4期アクション・プランが終了することから次期アクション・プランの策定について,御審議いただくこととしております。
委員の皆様には,忌憚のない御意見を賜りますようお願い申し上げまして,開会にあたってのあいさつとさせていただきます。
どうぞよろしくお願い致します。
《議事》
湯崎会長
議題(1)の「広島県内における犯罪情勢」につきまして,説明をお願いします。
事務局(藤田減らそう犯罪情報官)
(資料1 により県内の犯罪情勢について説明)
「めざそう!安全・安心・日本一」ひろしまアクション・プランについて,令和元年10月末現在の推進状況を説明した。
○ 推進指標の刑法犯認知件数17,000件以下への推進状況12,013件(前年同期比148件増加)
○ 取組指標3項目への推進状況
・ 身近な犯罪認知件数(8,500件以下)6,057件(前年同期比229件増加)
増加要因は,自動販売機ねらいが140件,侵入窃盗が87件の増加となったため
・ 子供・女性・高齢者被害の認知件数(7,000件以下)4,911件(前年同期比24件増加)
・ 特殊詐欺の認知状況(年間被害総額5億円以下)150件,被害総額約2億3,070万円 (前年同期比16件減少,被害総額約1億233万円減少)
湯崎会長
事務局からの説明につきまして,御意見・御質問等はございましたら,お願いします。
≪意見等なし≫
議題(2)の「県民の安心感に関するアンケート調査の結果」について,説明をお願いいたします。
事務局(三戸田管理官)
(資料2 により県民の安心感に関するアンケート調査の結果について説明)
推進指標の県民の体感治安,「治安良好と感じる人の割合90%以上」の目標達成状況を把握するため実施したもの。
主な調査結果について,体感治安の現状について,「あなたが住んでいる地域は,治安が良く,安全で安心して暮らせる地域だと思いますか。」との質問に対し,「そう思う」「どちらかといえばそう思う」を合わせた割合は,93.8%であり,昨年度に比べ1.1%の微増となった。
「体感治安の向上に向けて重点的に抑止対策を行うべき犯罪」として調査結果をとりまとめ,本年も「空き巣などの侵入犯罪」,「子供を狙った声かけや性犯罪」,「ひったくりや路上強盗などの路上犯罪」,「痴漢,盗撮や強制わいせつなどの性犯罪」が犯罪脅威度,リスク認知度とも平均値より高く,犯罪脅威度,リスク認知度が昨年度に比べいずれも上昇したものが,「振り込め詐欺などの特殊詐欺」,「インターネットを利用した犯罪」となるなどアンケート調査結果に基づく説明を行った。
湯崎会長
この件につきまして,御意見・御質問等がございましたらお願いいたします。
≪意見等なし≫
議題(3)の「めざそう!安全・安心・日本一」ひろしまアクション・プランに基づく令和元年の取組状況及び令和2年の取組方向についての説明をお願いします。
事務局(小出生活安全総務課長)
(資料3により「めざそう!安全・安心・日本一」ひろしあアクション・プランに基づく令和元年の取組状況及び令和2年の取組方向について説明)
令和元年の取組状況について,アクション・プランの基本的方向である「安全・安心なまちづくり」の「意識づくり」「地域づくり」「環境づくり」の3本柱に沿って,県民や事業者,行政など多様な主体の取組状況を報告した後,県内の犯罪情勢を踏まえた現状と課題の5点を説明した。
1 侵入窃盗や自動販売機ねらいが頻発し,刑法犯認知件数が増加に転じている
2 防犯カメラについては,補助金制度を整備した市町が一部にとどまっている
3 子供の安全確保に関しては,防犯ボランティアが減少傾向にあるため,見守り対策が急務となっている
4 特殊詐欺被害の件数や額は減少しているものの,新たな被害が発生するなど,被害か ら守るための体制づくりが必要になっている
5 インターネットを利用した犯罪は,特殊性や専門性が高く,被害に遭わないための対 策が必要になっている
こうした課題に対処するため,令和2年における基本的な取組方向は,「身近な犯罪被害の抑止」,「子供・女性・高齢者等の安全確保」,「新たな犯罪脅威への対応」の3つを重点に取り組むこととする。
具体的には,身近な犯罪被害の抑止については,「身近な犯罪の発生に関する効果的な情報発信」,「施錠意識の浸透と防犯性能の高い住宅・製品等の普及」, 「ガイドラインの普及による防犯カメラの設置促進」,子供・女性・高齢者等の安全確保については「防犯リーダーの育成及び「登下校防犯プラン」の推進」,「事業者による「ながら見守り」の推進など防犯Csr活動の促進」,「高齢者等を犯罪から守る環境の構築と取組の強化」,新たな犯罪脅威への対応については,「サイバー犯罪への抵抗力の強化」,「多様な主体による特殊詐欺被害防止対策の推進」に取り組んでいくことを説明した。
湯崎会長
本件につきまして,御意見・御質問等がございましたらお願いします。
徳田副会長(公益社団法人広島消費者協会会長)
サイバー防犯ボランティアの育成をされていらっしゃるということですが,これはどのぐらい今は活動されているのでしょうか。私が所属する広島消費者協会(の講演)でもお願いして,非常に評判が良かったものですから,教えていただければと思っております。
事務局(小出生活安全総務課長)
資料3 の「安全なサイバー空間の確保」の取組状況に「県内大学生等へのサイバーボランティア委嘱」に記載しているとおり,令和元年9月末現在187名の方,前年対比で24名増の方にボランティアとして活動してもらっています。
徳田副会長
力強いことでございます。
事務局(小出参事官)
引き続き頑張っていきたいと思います。
湯崎会長
他には何か,御意見・御質問等はございませんでしょうか。よろしいですか。
続きまして,議題(4)の「減らそう犯罪」広島県民総ぐるみ運動「第5期アクション・プラン」の策定について,説明をお願いします。
事務局(小出生活安全総務課長)
(資料4 により「減らそう犯罪」広島県民総ぐるみ運動「第5期アクション・プラン」の策定について説明)
現行の第4期アクション・プランの計画期間が,令和2年末で終了することから,令和3年から令和7年の5年間を計画期間とする第5期アクション・プランを策定することとする。
策定方針は,「第4期アクション・プランを検証した上で,これまで着実に成果を挙げてきた取組を継承」,「県民が安全安心を体感できるよう,これまで以上に,県民,行政,事業者等と協働・連携し,犯罪の起きにくい安全で安心なまちづくりを推進」,「防犯ボランティアの減少やストーカーやDV,児童虐待,特殊詐欺など,社会情勢の変化や変容していく犯罪情勢に対する的確な対応を図る」,「県の総合計画である「ひろしま未来チャレンジビジョン」と連動させ,効果的な推進を図る」ことについて説明した。
湯崎会長
本件につきまして,御意見・御質問等はございませんでしょうか。
《意見等なし》
只今事務局からの説明のありました内容につきまして,よろしければ,拍手をもって御承認をお願いしたいと思います。
≪拍手≫
その他意見等
部谷副会長(公益社団法人広島県防犯連合会会長)
広島県防犯連合会会長の部谷でございます。 この春,就任させていただきました。一つよろしくお願いいたします。
広島県防犯連合会におきましては,県下で4万人弱の防犯ボランティアを抱える各地区防犯連合会の活動に支えられまして,御出席の関係機関,団体の皆様との各種施策にも関与させていただいております。この場をお借りしまして厚くお礼申し上げます。
先ほどの事務局説明にもありますように,第4期アクション・プランは来年が最終年ということであります。本年の犯罪情勢等をお聞きしました刑法犯認知件数につきましても,若干増加傾向にあるということでございまして,課題が新たに出てきているのではないかと思っております。第4期アクション・プランの集大成という意味合いからも,来年に向けて各施策を強力に推進し,目標に向かって頑張っていかなければいけないと思っております。
ところで,防犯ボランティアの高齢化による減少,担い手不足というものが深刻な地区が多く出てきているというのも現実でございます。これまでお聞きした説明の中に体感治安に関するアン ケートがございましたが,その中で防犯行動に影響を及ぼす犯罪情報の注意喚起形態について,町内会役員や防犯ボランティアからの注意喚起は10パーセント程度ということでございました。防犯ボランティアが,これまで以上に地域住民の身近な存在として,防犯行動に影響を与えるような活動を推進するためにも,防犯ボランティアの担い手の育成並びに積極参加を促すような活動形態の工夫などが必要ではないかと考えております。
終わりに,防犯ボランティアの方々が更に活動しやすい環境づくりのためにも,本日御出席の関係機関,団体の皆様と協働して参りたいと考えておりますので,今後とも御理解,御支援の程,お願い申し上げまして,私のあいさつとさせていただきます。
小川委員(福岡大学大学院教授)
資料2の別添アンケートの調査結果3ページ,「治安良好と思わないと回答した理由」で「人のモラルが低下した(交通違反・マナー違反・迷惑行為が増加した)」という意見が一番多くなっている点が気になりました。
これは直接犯罪には繋がらないのですけれども,いわゆる規範意識が低下していることが表れているのだと思われます。
資料1 の最初のところで,大幅に増えている自動車盗,自動販売機ねらい,強制性交等といったような,どちらかというと重大な犯罪が増えているように思われます。この理由が何かは難しい問題ですが,規範意識の低下が大きな犯罪につながるという一番根本的なところなので,プラン体系の「意識づくり」として「規範意識の向上」を今後の課題として考えていただけたらありがたいと思いました。
次期プランに関して,現行のプランを継承・発展ということがございましたけれども,もう一つ「初心に返って」という事も今後の取組の考え方に取り入れていただければと思いました。
徳田副会長
副会長の徳田でございます。所属は公益社団法人広島消費者協会でございます。
皆様方には,日ごろより大変お世話になっております。先ほど小川先生からもお話がございましたけれども,規範の低下,モラルの問題も含めまして,私たちは対策を行っていかなければいけないのではないかと思います。特に,特殊詐欺の問題,一番最初に活動状況等をお話しして頂きましたけれども,私ども広島消費者協会では出前講座,講演会,それからシンポジウム等を行っておりますが,これらを通じて,お互いに地域で声かけなり,いろいろ事例等をお互いに話し合う,そういう地域活動っていうものがすごく大切ではないかと感じています。
是非,地域でいろいろ声かけなどしていただきながら,安全で安心な日本一の広島県にしていかなければいけないかと思います。引き続きまして,どうかよろしくお願いいたします。
鈴木副会長(広島県警察本部長)
副会長の鈴木でございます。広島県の警察本部長をこの8月に着任しましてちょうど3か月経ったところでございます。よろしくお願いいたします。
この減らそう犯罪分野も含めまして,警察行政各般にわたりまして,大変深い御理解・御協力を承っておりますことに,まずこの場をお借りしてお礼を申し上げたいと思います。
新しく広島に着任した者として,広島県警が過去に取り組んできました施策とか治安上の課題を勉強しているところでありますが,気づいたことがありまして,暴力団対策しかり,暴走族対策しかり,そしてこの減らそう犯罪運動など県民総ぐるみで様々な対策に取り組んで,全国にも誇れるすばらしい成果をあげてきたということが非常によく分かりました。
こうした県民総ぐるみでいろいろな課題に取り組んでいく「伝統」,これを大切に思いまして,これからも是非継承していきたいと考えております。
今日は貴重な御意見をいただきました。警察といたしましては,関係機関・団体,そして県民の皆様との連携・協力というものを非常に大切にしながら取組を着実に進めていきたいと思っておりますので,どうかよろしくお願いいたします。
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