安全で楽しい登山のために(冬期)
山岳遭難対策の必要性
広島県には、瀬戸内海から中国山地まで、さまざまな風景が楽しめる魅力的な山がたくさんあり、県内外から多くの登山者が訪れています。
それらの山々は、いずれも標高が1,500メートル以下で、比較的簡単に登ることができると思われがちですが、実際は、道迷いや滑落により遭難したり、尊い命が失われるような山岳遭難も発生しています。
年間山岳遭難発生件数(件)
区 分 |
令和3年 |
令和4年 | 令和5年 |
増減 |
---|---|---|---|---|
発生件数 | 42 | 29 |
34 |
+5 |
年間山岳遭難者数(人)
区 分 | 令和3年 | 令和4年 | 令和5年 |
増減 |
---|---|---|---|---|
死者 |
3 |
2 | 4 | +2 |
行方不明者 |
0 |
0 | 0 | ±0 |
負傷者 | 10 | 15 | 7 | -8 |
無事救出 | 44 | 22 | 34 | +12 |
合 計 | 57 | 39 | 45 | +6 |
令和5年12月~令和6年2月(冬期)は、4件の山岳遭難が発生し、1人が重症、3人は無事救出されています。
冬山登山の遭難事故防止
広島県の雪山は、西方「芸北エリア」、東方「比婆エリア」に分かれ、両エリアとも冬季は最高気温が−0℃以下となり、山中では1mを超える積雪を観測する時もあります。
体力・技術・経験に応じて登山する山を選び、現地の気象状況や登山ルートなどをよく確認して入山することが大切です。
少しでも不安を感じたら、無理な行動は避けて「引き返す勇気」を持つことが必要です。
そこで、冬山登山をされる際は、次の点に留意してください。
無理のない登山計画を立てましょう
参加者全員で、ゆとりのある行程で無理のない登山計画を立てましょう。
登山届(登山計画書)を作成し、事前に登山する山岳を管轄する警察署や広島県警察本部地域課に提出しておくことで、万が一の際、捜索活動をスムーズに行うことができます。
また、登山計画を家族や職場にも知らせておきましょう。
十分な装備品、服装、食料等を整えましょう
装備品や携行品を入山前に十分点検し、取扱い方法をよく確認しておきましょう。
ラジオ・携帯電話機(無線機)は、登山の必需品ですので、充電状態を確認し、予備電源(電池、モバイルバッテリー等)を用意しましょう。
服装は、冬山の気象に順応した、防水性、防寒性、保温性に優れたものを準備しましょう。
また、飲料水・食料等も十分準備しておきましよう。
現地の気象や山の状況をしっかり把握しましょう
入山前に、現地の気象状況(降雪)や、登山ルートの状態(積雪)などについて情報を入手し、場合によっては計画の変更や中止を検討してください。
降雪があると、視界不良により道に迷ったり、登山道を見失うなどして転落・滑落事故が発生する可能性が高くなります。
積雪も同様に、迂回を余儀なくされ道に迷ったり、足元が滑りやすくなるなどして転落や滑落の原因となることがあります。
必ず事前に気象状況や登山ルートの状態を確認しましょう。
複数人で登山しましょう
単独登山は大変危険です。
万が一の際、動けなくなったり携帯電話が圏外の場合は、自分で救助要請ができないことがあります。
転落や滑落などにより登山道から外れてしまった場合でも、他の登山者に気づいてもらうことができません。
可能な限り、経験豊富な信頼できるリーダーを中心とした、複数人でパーティを組んで登山しましょう。
山岳遭難防止のための注意事項
山岳遭難の多くは、天候に関する不適切な判断や、不十分な装備、体力的に無理な計画を立てるなど、知識・経験・体力の不足などが原因で発生しています。
山岳遭難を防ぐために次の点に注意しましょう。
安全な登山計画
冬山は天候が変わりやすく、気温の低下で体力を激しく消耗するなど、不測の事態が発生するケースも多いため、体力、体調、登山の経験などに見合った山を選択し、登山コース、日程、十分な装備・食料などに配意し、余裕ある安全な登山計画を立てましょう。
また、地域によっては山小屋が休業したり、登山道を閉鎖している場合があります。
事前に山小屋や登山道の状況を確認して、安全な登山計画を立てましょう。
山小屋の休業や登山道の閉鎖を知った場合は、無理をせず、登山する山の変更や、計画の中止も検討しましょう。
道迷い防止
地図、コンパス、登山アプリ、地図アプリなどを有効に活用して、常に自分の位置を確認するよう心がけましょう。
また、道に迷うなどして自分の位置がわからなくなった場合は、闇雲に移動せず、通報するなどして助けを求めましょう。
闇雲に移動すると、さらに複雑な場所に迷い込んだり、滑落や転落をするおそれがあります。
滑落・転落防止
滑りにくい登山靴、ストックなどの装備を有効に使用するとともに、気を緩めることなく常に慎重な行動を心がけましょう。
特に、雪山では、冬用の登山靴やアイゼンなど専用の装備品が必要とされています。
天候や積雪に応じた装備を使用することで、滑落や転落事故を防止しましょう。
悪天候などにより視界不良となった場合は、滑落や転落を防止するため、闇雲に移動しないようにしましょう。
的確な状況判断
登山中の視界不良や体調不良時には、道に迷ったり、転落・滑落などの事故に遭うおそれが高くなるため、状況を的確に判断して、早めに登山を中止するよう努めましょう。
視界不良となった場合や体調不良時には,無理をして移動せず,通報するなどしてすぐに助けを求めましょう。
また、天候や健康状態に少しでも不安な要素があれば、登山を別の日に延期しましょう。
登山届(登山計画書)の作成
登山届(登山計画書)は、登山者の氏名、年齢、連絡先、緊急連絡先、目的山域・山名、登山の予定、ルート、携行する食料の量、装備品などを記載します。
山岳遭難や行方不明時に捜索の手がかりになるだけでなく、他の入山者からの目撃情報など、捜索に有効な情報を得るための助けになります。
作成した登山届(登山計画書)の写しを、家族や職場など身近な人に渡しておきましょう。
登山届(登山計画書)は、特に決められた様式はありません。
下記様式は、公益社団法人日本山岳協会のホームページに掲載されている参考書式例です。
必要であれば、プリントアウトまたは修正してお使いください。
登山届(登山計画書)の提出
登山届(登山計画書)を作成したら、広島県警察本部地域部地域課指導係又は登山する山を管轄する警察署地域課に、郵送またはFAX送信等で提出してください。
県外の山に登山する場合は、お手数ですが、登山する山を管轄する警察本部地域課または警察署地域課にご確認ください。
- 広島県警察本部地域部地域課指導係
- 登山する山を管轄する警察署地域課(警察署地域課に提出する場合は、登山する山の地域を確認し、事前に連絡してください)
登山アプリで登山届を作成する
登山届(登山計画書)は、登山アプリでも作成することができます。
広島県警察は、令和5年11月6日に、
- 山岳安全対策ネットワーク協議会(登山届受理システム「コンパス」)
- 株式会社ヤマップ(YAMAP)
と協定を締結しました。
山岳遭難等の事故が発生した場合、協定に基づいて、アプリ上に登録された情報を確認し、捜索や救助活動に活用することとしています。
オトモポリスの活用(現在地送信機能)
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外部リンク
内閣官房及び内閣府オフィシャルサイト 政府インターネットテレビ
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