出前講座とは,「Teamがん対策ひろしま」登録企業に,県から講師を無料で派遣し,社員の方に1時間程度の講座を受講いただき,がんの予防や検診に関する正しい知識を身に付けてもらう取組です。
この度,第8期(令和3年度)登録企業の武田薬品工業様がオンラインで出前講座を実施されましたので,その様子をご報告します。
令和4年2月24日(木曜日) 15時30分~16時30分
がん検診を受ける前に知っておきたいこと
公益財団法人 広島県地域保健医療推進機構 健康推進課 松田 景子 保健師
Zoomミーティングを使用して,10名の社員の方にご参加いただきました。
講座のテーマは,「がん検診を受ける前に知っておきたいこと」です。
がんとは何なのか,なぜがん検診が必要なのか,また国が推奨するがん検診の種類や方法について幅広く解説いただきました。
▲国の推奨する5つのがん検診(肺がん,胃がん,大腸がん,乳がん,子宮頸がん)
また,講義の中で,大腸がんの方の事例について紹介がありました。
大腸がん検診は,便の中に血液が混ざっていないかを確認する検診ですが,その方は何年も連続で,大腸がん検診において要精密検査の判定を受けたにもかかわらず,「自分には痔があるからだろう…」と言って精密検査を受けなかったそうです。
数年後にようやく精密検査を受けに行ったときには,既に進行した状態で大腸がんが発見され,のちにお亡くなりになられたというお話でした。
ご自身の身体の事であっても,思い込みや勘違いで誤った判断をすることもあります。がん検診で要精密検査と判定された場合は,必ず受診するように心がけてください。
▲要精密検査と判定された場合は,必ず検査を!
インターネットの普及などにより,誰でも手軽にがんに関する情報を手に入れることができるようになってきました。その一方で,科学的根拠のない治療法などの情報に触れる機会が多くなり,場合によっては,がんの病状が進行してしまい治療が難しくなるケースや,後から高額な治療費を請求されるケースなどが生じています。
あなたやあなたの大切な人ががんだと分かったとき,「少しでも可能性があるならどんな治療でも試したい」「この治療法が良いみたいだから,紹介してあげて力になりたい」との思いで,インターネットや新聞に掲載されている情報に飛びつきたくなることもあると思います。
その時,少しだけ落ち着いて,もう一度その情報を見つめてみてください。その情報は,あなたやあなたの大切な人の健康,そして命に関わるものです。がんに対する情報を見聞きしたときには,次に示す3つのポイントを確認し,正しい情報であるかどうかを判断しましょう。
医療に関する情報は,研究が進められるにつれて進歩しています。これまで信じられていた情報が,研究が進んだことで,間違っていたことが明らかになることもあります。 古い情報や,いつのものであるかが不明な情報は,そのまま信じない方がよいでしょう。
薬や食品などの企業による販売目的の広告ではないか確認しましょう。効果が確認されていない治療法や食品などの宣伝を目的としている場合には,信頼できる情報とは言えません。
また,著名な先生であったとしても,その先生個人の意見の場合には,必ずしも科学的に正しいとは言えない場合があります。
ある物質が多くの人のがんに有効であると科学的に確認されるためには,試験管での実験から始まって,動物,少数の人,何十人,何百人,場合によっては何万人の人を対象とした何段階にも及ぶ研究が必要です。ネズミで効果があったという研究結果があっても,人での効果がきちんと確認されていない場合はまだ信頼できる情報ではありません。
Teamがん対策ひろしま出前講座では,予防や検診,両立支援など幅広いテーマの中から,企業のニーズにあわせて受講していただく事が可能です。(※その他にも希望するテーマがあればご相談ください。)
受講を希望する登録企業の方は,広島県健康づくり推進課(082-513-3093)までお問い合わせください。