13-1 結婚したら遠距離通勤の職場に転勤させられる|労働相談Q&A
13-1 結婚したら遠距離通勤の職場に転勤させられる
質問
最近,職場結婚することになりました。これまで,結婚したら退職することが慣例となっていましたが,働き続けたいと思い,会社に申し出たところ,遠くの支店に転勤することを承諾すれば退職しなくてもよいと言われました。その支店に通勤することは,通勤不便なためとても無理です。退職せざるを得ないのでしょうか。
回答
<ポイント!>
事業主は,労働者の配置について,性別を理由として,差別的取扱いをしてはなりません。
男女の均等取扱い
雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律第6条第1号は,労働者の配置(業務の配分及び権限の付与を含む。)等について,性別を理由として差別的な取り扱いをしてはいけない旨を定めています。
差別禁止指針
労働者の配置について禁止されている事項については,「労働者に対する性別を理由とする差別の禁止等に関する規定に定める事項に関し,事業主が適切に対処するための指針」(平成18年10月11日厚労省告示614号)第2の3に具体的に定められています。
労働者に対する性別を理由とする差別の禁止等に関する規定に定める事項に関し,事業主が適切に対処するための指針(PDF文書 177KB)
- 一定の職務への配置に当たって,その対象から男女のいずれかを排除すること。
営業の職務,秘書の職務,海外で勤務する職務等,一定の職務への配置に当たって,その対象者を男女いずれかのみとすることなどがこれに当たります。 - 一定の職務への配置に当たっての条件を男女で異なるものとすること。
女性労働者についてのみ,婚姻したこと,一定の年齢に達したこと又は子を有していることを理由として,企画立案業務を内容とする職務への配置の対象から排除することなどがこれに当たります。 - 一定の職務への配置に当たり,能力及び資質の有無等を判断する場合に,その方法や基準について男女で異なる取扱いをすること。
一定の職務への配置に当たり,人事考課を考慮する場合において,男性労働者には平均的な評価がなされている場合にはその対象とするが,女性労働者は特に優秀という評価がなされている場合にのみその対象とすることなどがこれに当たります。 - 一定の職務への配置に当たり,男女のいずれかを優先すること。
営業部門への配置の基準を満たす労働者が複数いる場合に,男性労働者を優先して配置することなどがこれに当たります。 - 配置における業務の配分に当たって,男女で異なる取扱いをすること。
男性労働者には通常の業務のみに従事させるが,女性労働者については通常の業務に加え,会議の庶務,お茶くみ,そうじ当番等の雑務を行わせることなどがこれに当たります。 - 配置における権限の付与に当たって,男女で異なる取扱いをすること。
男性労働者には一定金額まで自己の責任で買い付けできる権限を与えるが,女性労働者には当該金額よりも低い金額までの権限しか与えないことなどがこれに当たります。 - 配置転換に当たって,男女で異なる取扱いをすること。
合理化のための出向を女性労働者のみに限ったり,女性労働者についてのみ,婚姻又は子を有していることを理由として,通勤が不便な事業場に配転することなどがこれに当たります。
こんな対応を!
結婚を理由として,女性にのみ退職を強要したり,不利益な配置転換をすることは禁止されています。会社にこの趣旨をよく理解してもらい,不利益な配置転換を行わないよう,要請しましょう。
更に詳しく
御質問にある労働者の配置のほかに,昇進・教育訓練などについても,男女で差別的な取扱いをすることは禁止されています。詳しくは,上記の指針(PDF文書 177KB)を参照してください。