このページの本文へ
ページの先頭です。

4-1 賃金についての最低基準はどのようになっているのか|労働相談Q&A

印刷用ページを表示する掲載日2018年7月31日

 労働相談Q&Aに戻る

4-1 賃金についての最低基準はどのようになっているのか

質問

私は,パートとして,近所の自動車付属品の製造を行っている中小企業で働いています。法律では,最低賃金額が決まっており,それを下回る賃金は無効であると聞きました。私の場合,最低賃金額を下回らないでしょうか。

回答

<ポイント!>

  1. 最低賃金制度とは,国が法的強制力をもって賃金の最低額を定め,使用者は労働者にその金額以上の賃金を支払わなければならない制度です。
  2. 最低賃金制度は,年齢,性別,雇用形態(常用,臨時,パート,アルバイト等)の別を問いません。

最低賃金の効力と履行確保の仕組み

使用者は,最低賃金額以上の賃金を支払う必要があります。また,最低賃金の定めに違反する労働契約の賃金の定めは無効であり,無効となった部分は最低賃金と同様の定めをしたものとみなされます(最低賃金法第4条)。 
このような最低賃金規制の対象となる労働契約の賃金は,毎月支払われる通常の労働時間に対する賃金です。一方,最低賃金に算入しない賃金としては,

  1. 精・皆勤手当,通勤手当,家族手当
  2. 時間外割増手当,休日割増手当,深夜割増手当
  3. 臨時に支払われる賃金及び1か月を超える期間ごとに支払われる賃金

があります。

最低賃金の減額の特例

従業員のうち,精神又は身体の障害により著しく労働することに困難が伴う人,試用期間中の人,認定養成訓練中の人,軽易な業務に従事する人,断続的な労働に従事する人については,使用者が都道府県労働局長の許可を受ければ,最低賃金は減額して適用されます。

最低賃金の種類

ア.地域別最低賃金

産業や職種に関わりなく,当該都道府県内の事業場で働くすべての雇用形態(常用・臨時・パート,アルバイト等)の労働者に適用される時間額です。なお,派遣労働者には派遣先の最低賃金が採用されます。

イ. 特定(産業別)最低賃金

県内の特定の産業に従事するものと,全国を適用地域とした特定の産業について適用されるものと2種類あり,特定の産業に該当する事業所で働く労働者には,それぞれの特定(産業別)最低賃金が適用されます。なお,広島県では,自動車・同附属品製造業などで産業別最低賃金が定められています。
ただし,このうち,次の方については,地域別最低賃金が適用されます。

  1. 年齢18歳未満又は65歳以上の方
  2. 技能習得中で雇入後6月未満の者であって,技能習得中の者
  3. 一定の軽易業務に従事する方

こんな対応を!

今回の御質問のケースについては,「産業別最低賃金(自動車・同附属品製造業に関するもの)」が適用されると思われますが,軽易な業務(主として「清掃又は片付けの業務」又は「卓上において手工具又は小型電動工具を用いて行うばり取り又ははんだ付けの業務」)を行う場合は,「地域別最低賃金」が適用されることとなります。
労働契約を締結する場合,地域別最低賃金ないし特定(産業別)最低賃金と比較し,これを下回る場合は,賃金額の改善に向けた就業規則等の改訂を働きかける必要があります。 
また,事業主の方も,従業員の賃金について,最低賃金制度に違反しないよう注意してください。
制度の詳細については,厚生労働省のホームページをご覧ください。