4-15 会社が倒産したときの未払い賃金は確保できるか|労働相談Q&A
印刷用ページを表示する掲載日2018年7月31日
4-15 会社が倒産したときの未払い賃金は確保できるか
質問
私の勤めている会社が突然倒産してしまいました。未払いとなっている賃金や退職金は,どうなってしまうのでしょうか。
回答
<ポイント!>
会社が倒産して賃金が支払われない場合には,立替払い制度があります。
立替払いを受けられる要件
会社が倒産して労働者の賃金が未払いになったときには,「賃金の支払の確保等に関する法律」(略して「賃確法」といいます。)の規定によって,政府(独立行政法人労働者健康福祉機構)が会社に代わって賃金を立替払いする制度が設けられています。
立替払いを受けられる要件は,次のとおりです。
- 労災保険の適用事業で1年以上事業活動を行ってきた会社が倒産した場合(賃確法第7条,同法施行規則第7条)
ここでいう「倒産」とは,法律上の倒産手続が取られている場合と,事実上倒産の状態にあることを労働基準監督署長が認定した場合の2つがあります。(賃確法施行令第2条)
「事実上倒産の状態」とは,事業活動が停止し,再開する見込みがなく,かつ,賃金支払能力がない状態をいい(賃確法施行規則第8条),中小企業事業主である場合に限られます(賃確法施行令第2条)。 - 倒産について,裁判所への申立て(法律上の倒産の場合)や労働基準監督署への申請(事実上の倒産の場合)がなされた日の6か月前の日から2年間の期間内に退職した労働者であること(賃確法第7条,同法施行令第3条)。
立替払いの対象となる未払い賃金
立替払される賃金の額は,退職日の6ヶ月前の日からの未払賃金総額の8割です。ただし,未払賃金総額には,退職日の年齢に応じて限度額が設けられており,未払賃金総額が限度額を超えるときはその限度額の8割となります。
退職日における年齢 | 未払賃金総額の限度額 | 立替払上限額 |
---|---|---|
45歳以上 | 370万円 | 296万円 |
30歳以上45歳未満 | 220万円 | 176万円 |
30歳未満 | 110万円 | 88万円 |
こんな対応を!
詳しいことは,事業場の所在地を管轄する労働基準監督署に問い合わせてみましょう。労働基準監督署の所在地,連絡先等は,「広島労働局」のホームページに記載されています(「労働相談Q&A」のトップページにリンクが張ってあります)。
もっと詳しく
立替払いの請求の手続は,次のとおりです。
- 事実上の倒産の場合は,労働基準監督署長に倒産の認定の申請書を提出します(賃確法施行令第2条,同法施行規則第9条)。認定があった後に,未払い賃金の額などについて,労働基準監督署長の確認を申請します(賃確法第7条,同法施行規則第12条~第14条)。
- 法律上の倒産の場合は,裁判所や管財人などの証明書を交付してもらいます(賃確法施行規則第12条)。証明書の交付を受けることができなかった事項については,労働基準監督署長の確認を申請します(賃確法第7条,同法施行規則第12条~第14条)。
- 以上の手続によって証明書,確認通知書の交付を受けたら,立替払い請求書にこれらの書類を添付して,独立行政法人労働者健康福祉機構に提出します(賃確法第7条,同法施行規則第17条)。
制度の詳細については,厚生労働省のホームページをご覧ください。