5-4 育児時間は2回に分けて取らなければいけないのか|労働相談Q&A
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5-4 育児時間は2回に分けて取らなければいけないのか
質問
私は,今,産後休業中で,間もなく会社に復帰します。復帰後は,育児時間を取ろうと思うのですが,労働基準法を見ると「1日2回」となっています。私としては,まとめて取った方が都合が良いのですが,2回に分けなくてはならないのでしょうか。
回答
<ポイント!>
育児時間は必ずしも2回に分けなければならないものではなく,1回にまとめて1時間取るといった方法も可能です。
育児時間とは
生後満1年に達しない乳児を育てる女性は,一般の休憩時間とは別に,1日2回,それぞれ少なくとも30分の育児時間を請求することができます。使用者は,育児時間中は,その女性労働者を使用してはなりません(労基法第67条)。
請求の対象者
育児時間を請求できる労働者は,満1歳の誕生日の前日までの子どもを育てる女性で,子どもには養子も含まれます。
育児時間の取り方
1日のうちどの時間帯に育児時間を与えるかについては,基本的には当事者間の話し合いにまかされていますが,本人の請求した時間に与えるのが望ましいでしょう。
一般の休憩時間のように,労働時間の途中に与えなければならないという制約がありませんので,始業時刻から30分と終業時刻前30分というように請求することもできます。
また,必ずしも2回に分けて取らなければならないものでもなく,1回にまとめて1時間取ることも可能です。
パートタイム労働者の育児時間
事業主は,パートタイム労働者から請求があった場合でも,育児時間を与えなければなりません。ただし,労働基準法第66条は,1日の労働時間を8時間とする通常の勤務形態を予想したものですので,1日の労働時間が4時間以内であるような場合には,1日1回少なくとも30分の育児時間を付与することで足りるとされています(基収第8996号・昭和36年1月9日)。
育児・介護休業法による所定外労働の免除と短期間勤務制度との関係
育児・介護休業法は,3歳に満たない子を養育する労働者に対して,就業しつつその養育を容易にするため,所定外労働の免除及び短時間勤務制度の措置を講じることを事業主に義務づけています。
ア. 所定外労働の免除(同法第16条の8)
次のすべてに該当する労働者が請求した場合は,事業主は所定外労働をさせてはなりません。
- 日々雇用される者でないこと。
- 労使協定により適用除外とされた労働者でないこと。
ア.事業主に引き続き雇用された期間が1年に満たない労働者
イ.1週間の所定労働日数が2日以下の労働者
イ.短時間勤務制度(同法第23条第1項,第2項)
次のすべてに該当する労働者が希望すれば利用できる短時間勤務制度を,事業主は設けなければなりません。
- 1日の所定労働時間が6時間以下でないこと。
- 日々雇用される者でないこと。
- 短時間勤務制度が適用される期間に現に育児休業をしていないこと。
- 労使協定により適用除外とされた労働者でないこと。
ア.事業主に引き続き雇用された期間が1年に満たない労働者
イ.1週間の所定労働日数が2日以下の労働者
ウ.短時間勤務制度については,業務の性質又は業務の実施体制に照らして,短時間勤務制度を講ずることが困難と認められる業務に従事する労働者
なお,上記4-ウに該当する労働者に関しては,事業主は,育児休業に関する制度に準ずる措置または次の措置を講じなければなりません。
- フレックスタイム制
- 始業・終業の時刻の繰り上げ・繰り下げ
- 託児施設の設置運営その他これに準ずる便宜の供与
育児時間は,女性労働者に授乳その他母親として行う世話のための時間を確保するものですから,育児・介護休業法が規定する短時間勤務制度とはその趣旨,目的が異なります。したがって,短時間勤務制度の適用を受けている女性労働者でも,育児時間を請求できます。
こんな対応を!
1回にまとめて取ることもできますので,その旨,事業主に請求してください。