6-5 仕事がなく休業になったが給与はもらえるか|労働相談Q&A
6-5 仕事がなく休業になったが給与はもらえるか
質問
自動車部品の工場で働いています。いわゆる下請工場で親会社の不振により,生産調整のため,1か月休むように言われました。また,その間は働いていないのだから給与はないといわれました。
仕事もないので,休まざるをえないと思いますが,1か月も給与がないと生活に困るのですが。
回答
<ポイント!>
- 使用者側の都合により休業した場合,使用者は労働者に平均賃金の6割以上の休業手当てを支払わなければなりません。
- また,民法においては,使用者の責めに帰すべき事由により休業した場合,労働者は賃金全額を受ける権利を失わないとしています。
使用者都合による休業には賃金請求権がある
民法では,債務者(労働者)が債務(労働提供)の履行ができなかった場合でも,それが債権者(使用者)の責めに帰すべき事由であるときは,債務者は反対給付を受ける権利(賃金請求権)を失わないとしています(同法第536条2項)。
しかし,この規定は,当事者の合意によってその適用を排除することができる任意規定であり,労働関係においては,適用を排除する特約が結ばれる可能性が強く,また,経済的変動などで起きる経営難(使用者に故意・過失がない場合)によって休業が生じた場合には,労働者の保護ができない可能性があります。
使用者都合による休業には休業手当がもらえる
そこで,労働基準法は労働者の生活を保護するため,使用者の都合による休業の場合には,平均賃金の100分の60以上の手当の支払いを罰則付きで義務づけています(同法第26条,120条)。同条は,お尋ねの中にあります親会社の生産調整による休業,資材・設備等の欠陥に起因する休業など,使用者に故意過失がない場合でも,不可抗力または労働者の責めによる休業でない限り,適用になります(ノースウエスト航空事件・最二小判昭和62年7月17日参照)。ここに「不可抗力」というのは,その原因が使用者の支配圏外にあり(「外部起因性」という。),かつ使用者が通常の使用者として最大の注意を尽くしてもその発生を防止できない(「防止不可能性」という。)事故をいうものと解されています。台風など自然災害による工場の倒壊,戦争による原材料の供給途絶で操業不能となった場合がその代表的な例です。
なお,休業手当も賃金と解されており,労基法第24条の適用を受け,したがって,定められた支払期日に支払わなければなりません。
こんな対応を!
1か月分の給与を請求し,最低でも6割の支給を受けるよう使用者と話し合いましょう。