ジャムをゲル化させる方法
Q ジャムがうまく固まりません。製造上の注意を教えてください。
A 通常のジャムは,ペクチン(0.7~1.5%),糖(60~65%)及び酸(pH2.8~3.2)の相互作用で固まり,どれか一つの条件でも欠けると固まりが悪くなります。このうち,糖はグラニュー糖や上白糖を添加しますが,添加量は以下の計算で求めます。
砂糖の添加は,原料果実を加熱しながら,数回に分けて行い,焦げないようによく撹拌します。もともと果実中に含まれるペクチンのみで不足する場合は,精製された粉末ペクチンを加えます。この添加量は使用する果実によって異なりますが,ダマになりやすいので,砂糖にまぶして少量ずつ添加します。
ペクチンと砂糖を加えた後,糖度計で確認しながら,糖度60%以上になるまで煮詰めます。糖度60%以上になったらpH2.8~3.2になるまで,少量の水で溶かしたクエン酸を添加します。この時,pHが低い状態で長く加熱すると,ペクチンが分解しジャムが固まらなくなるので加熱終了の直前に添加します。酸味を抑えるため,酸の添加量を減らすと固まりが悪くなったり,色が悪くなったりすることがあるので注意が必要です。
その他に注意する点として,原料果実中に含まれるペクチン(高メトキシペクチン)を使用した場合,低糖度ジャム(日本ジャム工業組合によると,低糖度ジャムとは糖度40%以上55%未満のものをいいます。)を作ることはできません。低糖度ジャムでは糖度が不足するために固まらず,ゆるくなったり,ムラができたりするためです。
低糖度ジャムをつくる場合は,低メトキシペクチンを使用してください。このペクチンはカルシウムやマグネシウムの存在下で凝固する性質があるため,糖度が低くても固いジャムをつくることができます。
参考文献
農産加工ガイドブック-基礎知識と応用-(企画:日本農業新聞社,編著:真部孝明)
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