油脂食品(フライ食品)の劣化と酸化指標について
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Q 油脂食品(フライ食品)の品質はどのように管理されているか教えてください。
A 他の食品と同様の品質管理も行われていますが,ここでは,油脂及び油脂食品で一般的に使用されている油脂の酸化指標である酸価と過酸化物価について説明します。
食用油脂の多くは,グリセロールに3つの脂肪酸がつながったトリアシルグリセロールです。
トリアシルグリセロールは,揚げ処理中に食品(揚げ種)から出る水分によって徐々に加水分解され,遊離脂肪酸などが生成されます。また,空気中の酸素と反応する酸化,光による劣化,高温による油脂の熱重合及び熱分解が起こります。また,油脂食品では,空気中の酸素や陳列時に浴びる光によって酸化が進み,ヒドロペルオキシドを生成します。これらにより,油脂及び油脂食品は劣化していきます。
図1 トリアシルグリセロールの模式図
図2 加熱中の油に起こる変化
そのため,油脂及び油脂食品の品質管理には,酸化状態の指標も必要となり,規格・基準により酸価や過酸化物価の上限が規定されています。実際,食品企業においては,さらに厳しい社内基準を設定して管理しています。
- 酸価(AV;Acid Value)
主に油脂(揚げ油)の酸化状態を管理する際に用いられ,油脂中の遊離脂肪酸を滴定で測定します。酸価は,油脂1g中に含まれている遊離脂肪酸を中和するのに要する水酸化カリウムのmg数と定義されています。 - 過酸化物価(PV;Peroxide Value)
主に油脂食品の酸化状態を管理することに用いられ,油脂食品から抽出した油脂の酸化一次生成物(脂質ヒドロペルオキシド)を滴定で測定します。 過酸化物価は,試料にヨウ化カリウムを加えた場合に遊離されるヨウ素を試料1kgに対するミリ当量数で表したものと定義されています。
酸価や過酸化物価の分析方法については,基準油脂分析試験法や各規定等を参考にしてください。
参考文献
油脂・脂質の基礎と応用 改訂第2版((社)日本油化学会,2009,p.130-141,154-155,163-164)
基準油脂分析試験法((社)日本油化学会,2013,2.3.1酸価,2.5.2過酸化物価,参1.4-2013過酸化物価)
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