かんきつ類果皮の利用
食品工業技術センター > 企業のためになるQ&A > かんきつ類果皮の利用
Q かんきつ類の加工の際に排出される皮などの廃棄物の利用方法について教えてください。
A かんきつ類果実の果皮の占める割合は、温州ミカンで約25%、夏ミカンは約38%ですから、果汁や缶詰などの加工によって排出される果皮や搾汁粕はばく大な量になります。
かんきつ類の豊富なアメリカでは、オレンジ類の加工廃棄物は有効に活用されて、ほぼ完全利用に近い処理が行われています。即ち、オレンジやグレープフルーツから精油やナリンジン、ペクチンなどの成分を抽出して、食用のほか様々な用途に利用されています。
わが国では、僅かに香辛料(七味に加える陳皮)や漢方薬として利用されていますが、大部分は乾燥させて家畜の飼料や肥料としての利用です。
当センターでは、かつて果皮の食料化に当たって問題となる油胞部分を分離して、果皮のアルベド部(内側の海綿状の部分)とフラベド部(外側の油胞部)を分別し、それぞれ食品素材として活用する技術を開発しました。この方法は、物理的にアルベドとフラベドを分別し、油胞部を分離するもので、それぞれの特性を活用して各種の菓子や佃煮、ねり製品等に利用しようとしたものです。
高知県では柑橘果皮を飼料に添加して生育させた柑橘系養殖魚(フルーツ魚)がひと時話題になりました。広島県も同様にレモン果皮を飼料に添加したレモンハマチなどを養殖しています。
その他の利用法として、以前は酵素を用いて、果皮から甘味料を製造する方法が開発されていました。この方法は、温州ミカンの果皮に含まれるヘスペリジンを抽出し、酵素を作用させ、化学的に糖の結合を切断して、アルカリ性で還元することにより強い甘味を有する成分が得られます 1)。なお、同様にネオヘスペリジンを化学処理して製造されるネオヘスペリジンジヒドロカルコンは砂糖の1500から1800倍の甘味度を示し、欧州連合(EU)、米国、オーストラリア、ニュージーランドでは甘味料としての使用が可能ですが、日本では「類指定の香料に関する具体的品目の改正について」(食安基発第1001001号、食安監発第1001001号)により、香料としての使用のみ可能となっています。
最近では、愛媛県が柑橘搾汁残渣を微細化し、セルロースナノファイバーとすることで、添加した果汁飲料の分散性を高めたり、練り製品の食感を改善する研究なども行われています。
搾汁粕に含まれる内果皮には、ペクチン質やフラボノイド、リモノイド類が多く含まれており、その機能性についても研究がなされています。最近では愛媛県でノビレチンやオーラプテンについて、沖縄県ではノビレチンを含むポリメトキシフラボノイドの保健機能などの研究や製品化を進めています。
引用文献
1)日本食品工業学会誌 第23巻 第9号( 日本食品工業学会、1976年9月、p.432-443)
本情報の利用にあたっては、閲覧者の責任と判断において行って下さい。
本情報の利用により生じた損害については一切の責任を負いません。