合せ酢の殺菌効果
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Q 食酢には殺菌効果があるといわれていますが,これを合せ酢とした場合の殺菌効果を教えてください。
A 食酢の主成分は,酢酸です。酢酸は,強力な殺菌力があり,微生物が増殖できる限界pHは,他の酸よりかなり高いようです。例をあげますと,サルモネラ菌に対してはクエン酸を使うとpH4.05以下,また,酢酸を使うとpH5.40以下では増殖できません。しかし,酢酸=食酢ではありませんし,また,食酢を単独で食品の調味に使わず,合せ酢として使うことが一般的です。
その場合,殺菌力が変化することが十分に考えられ,モデル実験によるものですが,表1に示したようなことが分っています 1) 。
区分 | ブドウ糖 | 食塩 |
---|---|---|
バクテリア | 弱められる | 強められる |
カビ類 | 強められる | 弱められる |
酵母類 | 弱められる | 弱められる |
実際に合せ酢を使用して,バクテリアに対する殺菌効果を求めた実験では,砂糖を加えて甘酢にすると殺菌力が弱くなり,食塩を加えて二杯酢にすると強くなり,砂糖と食塩を加えた三杯酢にすると,甘酢と二杯酢の中間位の殺菌力になることが分っています。また,醤油を使った二杯酢,三杯酢は,食塩を使った場合より殺菌力が弱くなったそうです。それは,醤油を使った場合,合せ酢のpHが約1.0上昇することに原因があるようです。このように,食酢の殺菌力は,他の調味料を加えることにより大きく変化します。
加工しようとする食品の成分は,多種多様なものですから企業でこの知見を応用する場合には,対象とする食品を使って予備実験を繰り返す必要があります。
引用文献
1)日本食品工業学会誌Vol.28(7)(円谷 悦造, 柴田 邦彦, 川村 吉也, 正井 博之,日本食品工業学会,1981,p 387-392)
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