このページの本文へ
ページの先頭です。

合せ酢の殺菌効果

印刷用ページを表示する掲載日2020年10月6日

食品工業技術センター > 企業のためになるQ&A > 合せ酢の殺菌効果


Q 食酢には殺菌効果があるといわれていますが,これを合せ酢とした場合の殺菌効果を教えてください。

A 食酢の主成分は,酢酸です。酢酸は,強力な殺菌力があり,微生物が増殖できる限界pHは,他の酸よりかなり高いようです。例をあげますと,サルモネラ菌に対してはクエン酸を使うとpH4.05以下,また,酢酸を使うとpH5.40以下では増殖できません。しかし,酢酸=食酢ではありませんし,また,食酢を単独で食品の調味に使わず,合せ酢として使うことが一般的です。

 その場合,殺菌力が変化することが十分に考えられ,モデル実験によるものですが,表1に示したようなことが分っています 1) 。

表1 食酢の殺菌力に及ぼすブドウ糖と食塩の効果
区分 ブドウ糖 食塩
バクテリア 弱められる 強められる
カビ類 強められる 弱められる
酵母類 弱められる 弱められる

 実際に合せ酢を使用して,バクテリアに対する殺菌効果を求めた実験では,砂糖を加えて甘酢にすると殺菌力が弱くなり,食塩を加えて二杯酢にすると強くなり,砂糖と食塩を加えた三杯酢にすると,甘酢と二杯酢の中間位の殺菌力になることが分っています。また,醤油を使った二杯酢,三杯酢は,食塩を使った場合より殺菌力が弱くなったそうです。それは,醤油を使った場合,合せ酢のpHが約1.0上昇することに原因があるようです。このように,食酢の殺菌力は,他の調味料を加えることにより大きく変化します。

 加工しようとする食品の成分は,多種多様なものですから企業でこの知見を応用する場合には,対象とする食品を使って予備実験を繰り返す必要があります。

引用文献

1)日本食品工業学会誌Vol.28(7)(円谷 悦造, 柴田 邦彦, 川村 吉也, 正井 博之,日本食品工業学会,1981,p 387-392)


本情報の利用にあたっては,閲覧者の責任と判断において行って下さい。
本情報の利用により生じた損害については一切の責任を負いません。

おすすめコンテンツ

みなさんの声を聞かせてください

満足度 この記事の内容に満足はできましたか? 
容易度 この記事は容易に見つけられましたか?