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魚肉ねり製品の赤変防止法

印刷用ページを表示する掲載日2020年11月10日

食品工業技術センター > 企業のためになるQ&A >魚肉ねり製品の赤変防止法


Q 魚肉ねり製品の表面が赤くなり,著しく商品価値を損なう現象がありますが,その原因と防止法,また,赤変が出た場合の対策について教えてください。

A 魚肉ねり製品の表面が製造後2~3日で赤変する原因の一つとして,赤色色素を産生する細菌(Serratia marcescens)の増殖によるものが挙げられます 1)。この菌の生育最適温度は25~30℃で,4~6℃でも増殖しますから冷蔵庫に入れても防ぐことはできません。

 この細菌は比較的熱に弱く,密封包装後に殺菌(中心温度75℃以上)すると死滅しますが,簡易包装した魚肉ねり製品等においては,加熱から包装までの間の放冷中に表面に付着した細菌により,赤変現象が起こることがあります。したがって,放冷中に細菌が付着しない方法(放冷場を衛生的な状態にすること)とすることが最も大切です。また,酸素がなければ増殖しにくいので,酸素の少ない状態(真空包装やケーシング詰)にすると防止できます。

 さらに,この細菌は主に下水や土壌に広く存在しているため,作業場や放冷場の出入口は外部と遮蔽する手段を設け,土間等は土や泥,下水等に汚されないように常に清潔にすることも大切です。

 もし,赤変が出た場合には,工場の窓や壁,天井,床,工場内にあるすべての機械類,器具類,作業員が身に付けているすべての物(衣服や手袋,タオル等)を完全に殺菌しなければなりません。

 この細菌は非常に増殖力が強いので注意が必要です。殺菌剤としては次亜塩素酸ナトリウム溶液が一般的に用いられています。赤変が出なくなったら,その後は定期的に作業場(放冷場)や機械類,器具類等を殺菌します。こうすることによって,工場内が衛生的になり,赤変現象がなくなるとともに,魚肉ねり製品の日持ちがよくなることが期待されます。

引用文献

1)魚肉ねり製品の製造管理とHACCP(河端俊治,春田三佐夫 監,中法法規出版,1997,p31)


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