研究員ブログ「ななつかのひとりごと」(過去の記事)
家畜のこと(センターの歴史も紹介します)
・ベテラン乳牛の引退(2019年2月26日)
・フィステル装着手術(2018年10月1日)
・難産子牛も元気に(2018年7月5日)
・雨の日も放牧(2018年7月5日)
・センターの歴史(2017年8月16日)
・若雄牛の調教(2017年5月15日)
ベテラン乳牛の引退(2019年2月26日)
当センターには,試験研究のために,乳牛と和牛合わせて100頭以上の牛を飼育しています。
その中で最高齢の牛は,マラソンドミノサターン(R24号)です。2004年生まれなので,14才です。乳牛は一般的に6才程度で引退するので,かなり長寿です。R24号は,足腰が強く,病気にかかりにくく,温順な性格です。
温順な性格のため,小学生の搾乳体験では大活躍し,みなから愛されていました。
しかし,産業動物であるため,いつまでも飼育しておくことはできません。乳量が減ったので,残念ながら引退しなければならなくなりました。生涯乳量は,110,000kgにもなりました。
これまで試験研究や教育のために,大きな貢献をしてくれました。
私たちの命は動物の犠牲の上に成り立っている,生き物への感謝の気持ちは忘れてはいけない,と改めて思いました。
フィステル装着手術(2018年10月1日)
牛は4つの胃を持っています。食べた草を吐き戻し噛み直して再び飲み込むという反芻という動作により,食べた草を効率的に消化することができます。第一胃には微生物が生息し草を分解してくれます。第二胃は反芻,第三胃は養分の吸収などを行います。第四胃は人間と同じ機能を持っており,胃酸を分泌します。
牛にとって最も重要な胃は,微生物による草の分解を行う第一胃です。容積は150~200リットルにもなります。
この第一胃の中で何が起こっているのか,どのように草が分解されるかを知ることは,生産性を上げるために重要です。これを知るためには,第一胃にフィステルというカテーテルのような物を装着する必要があります。
当センターにはフィステル装着牛が3頭いますが,高齢になってきたため,新たにフィステルを装着する手術を行いました。部分麻酔をし,第一胃に穴を開け,傷口を縫合し,フィステルを装着しました。約3時間で手術は無事に終了しました。フィステルを装着しても日常生活に問題はなく,以前と同じように飼料を食べることができます。
難産子牛も元気に(2018年7月5日)
子牛は生まれた後,約1週間は哺乳瓶とバケツで哺乳し,その後は省力化のため,乳牛は約1か月半,和牛は約3か月間,哺乳ロボットで哺乳します。
初めの数回はロボットまで誘導しなければなりませんが,その後は自分から飲みに行くようになります。
左の写真の子牛は,母牛の子宮捻転のため難産でした。捻転を整復後,産道拡張剤により産道を広げ,慎重にけん引しました。母子ともに無事に出産を終えることができました。
雨の日も放牧(2018年7月5日)
和牛雌牛は,放牧地の草の生育が盛んな春から夏にかけて,放牧をします。
今年は4月から開始し,10月ごろまで行います。昼も夜も雨の日も牧草地で過ごします。
飼料は基本的には牧草地の牧草のみです。ノシバをメインに,イタリアンライグラス,
スズメノカタビラ,カヤツリグサなどが生えています。
1週間ごとに牧区を移動させ,牧草の再生を促します。
センターの歴史(2017年8月16日)
若雄牛の調教(2017年5月15日)
飼料のこと(飼料作物の生育状況など)
・トウモロコシの食べごろは?(2018年8月)
・ミニ水田生育旺盛(2018年8月)
・ミニ水田(2018年6月)
・イタリアンライグラス収穫(2018年5月)
・トウモロコシ播種(2018年5月)
トウモロコシの食べごろは?(2018年8月)
飼料用トウモロコシが収穫適期に達したため,収穫を8月下旬に行いました。コーンハーベスタが故障中のため,
西日本農業研究センターの汎用型微細断飼料収穫機(切断長11mm)で収穫しました。
ロールベーラで梱包,フィルムで密封し,サイレージ(貯蔵飼料)になります。
平均収量は,およそ2,200kg/10aでした。イノシシ対策のために電気柵を設置しましたが,イノシシが侵入した圃場があったため例年より収量が少なくなりました。イノシシ被害に遭った圃場を除いた収量は,2,700kg/10aと平年並みでした。
私たち人間は,トウモロコシを焼いたり茹でたり,スープにしたりして食べる時,実が柔らかい乳熟から糊熟期の実を用います。
しかし,サイレージにするためには水分が少ない方がよく,また栄養収量を最大にするために,
黄熟期(実が粉っぽくなる頃)に収穫します。
ミニ水田生育旺盛(2018年8月)
5月末にミニ水田に移植した飼料稲は,分げつ(株分かれ)も進み順調に生育しています。7月上旬には中干し(地表の乾燥)を2日間行いました。
この時期,コシヒカリは既に出穂していますが,この飼料稲(写真左からつきすずか,たちすずか)は晩生品種(成熟が遅い)のためまだ出穂していません。極短穂型品種(穂が少なく茎葉に多くの栄養を蓄積)なので,穂肥(籾を充実させるための肥料)は施用しませんでした。極短穂型品種でも穂肥が多過ぎると籾が多く付き,消化性が悪くなってしまいます。
出穂は9月初めごろ,収穫期は10月を見込んでいます。
左から 飼料稲「つきすずか」,飼料稲「たちすずか」,飼料米「中生新千本」
ミニ水田(2018年6月)
県内の水田では今年も飼料稲,飼料米が栽培されています。
当センター玄関横に,バケツで作ったミニ水田を設置しました。
バケツに畑の土を入れ,入水,代かき(塊を手でほぐす)をしてミニ水田を作りました。
5月末に移植し,緩効性肥料(一発剤)を施用しました。しかし,葉色が落ちてきたため,
窒素不足だと判断し,硫安を施用しました。
現在は,分げつが進み順調に生育しています。
センターに来られる際は,稲の生育もチェックしてみてください。
左から 飼料稲「つきすずか」,飼料稲「たちすずか」,飼料米「中生新千本」
イタリアンライグラス収穫(2018年5月)
春を迎え牧草の収穫,種まきの季節となりました。
今年は例年より暖かかったため,出穂が早く,4月下旬に穂を出し始めました。
モアで刈り取り,2日程度予乾し水分を半分以下まで低下させます。
ロールベーラで梱包,フィルムで密封(8層巻き)し,貯蔵 飼料=サイレージになります。
サイレージは順番に開封し,1年間飼料として使います。
5月上旬~6月中旬まで一番草の収穫を行います。
一番草の収穫量は,倒伏のため例年より少なく,17haで約200tを見込んでいます。
トウモロコシ播種(2018年5月)
イタリアンライグラスの収穫後,二番草を収穫しない圃場には,トウモロコシを栽培します。
堆肥2t/10aを散布し,プラウ耕,砕土, 整地を行い,播種,鎮圧します。化学肥料は硫安30kg/10aです。
播種量は,7,000粒/10aです。
5月中旬から5月末まで播種を行いました。播種後10日ほどで出芽しました。
その他(季節の話題など)
・CNコーダ(炭素・窒素測定装置)の更新(2019年1月31日)
・マンサク開花(2018年2月)
・秋咲く桜(2017年10月)
CNコーダ(炭素・窒素測定装置)の更新(2019年1月31日)
当センターには,外部の方でも有料で使用できる分析機器があります。
CNコーダは,堆肥や土壌,飼料に含まれる炭素と窒素量を測定する機械です。炭素と窒素の測定は,堆肥の成分や,飼料の栄養価を評価するために必要です。
従来使用していた機器は老朽化が激しかったため,今年度新しい機器に更新しました。新しい機器は従来機器と比較して,ランニングコストが安価で,分析後の処理が簡便です。詳しくは,設備利用機器のページをご覧ください。ご利用の際は,当センターにお問い合わせください。
マンサク開花(2018年2月)
秋咲く桜(2017年10月)