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“働く人も幸せになれる”保育園をつくっていく

株式会社くうねあ

  • 医療・福祉
  • 広島市
  • 101~300人
長時間労働の是正育児・介護・治療と仕事の両立経営理念の浸透人材育成非正規雇用者の処遇改善

株式会社くうねあ_外観お写真

会社概要
所在地 〒731-0138 広島県広島市安佐南区祇園4-7-3
URL https://qoonea.com/
業務内容 保育園(認可保育所・事業所内保育所等)・認定こども園の運営の運営、子育てオープンスペースの運営、ベビーシッター事業、家事代行サービス 等
従業員数
135人(男性2人、女性133人)

(2024年9月時点)


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株式会社くうねあ_我が社のココが働きがい!イラスト

株式会社くうねあ_堀江宗巨氏お写真

取組の背景

―働きがいの向上に取り組もうと考えたきっかけを教えてください。

会社の経営目的とは何だろうと考えたときに、まず働く人が幸せになるために会社があるべきだという思いに至りました。従業員が幸せでないと、良いサービスは生まれません。
では、従業員に「ここで働いてよかったな」と思ってもらうためには、どうしたらよいか。そこに、働きがいの向上やワーク・ライフ・バランスの改善が関係してくると考えたのがきっかけです。

―そう考えるようになったのはいつですか。

2011年に会社を設立したときから、従業員満足度の高い会社にしたいと思っていましたが、本格的に考えるようになったのは2015年ぐらいですね。
経営が安定してきた頃で、初めて従業員に賞与を出すことができました。
少額ではありましたが、喜んでもらえると思っていたら、一部の従業員から「賞与が少ないのでくうねあを辞めたい」と言われました。
がっかりしましたが、そのおかげで経営者と従業員の感覚や価値観の違いがあることに気付きました。

―具体的にどんなことに気付いたのですか。

賞与を出すという結果のみを見ていた私に、従業員はその質を求めていたことから、他にも経営者として従業員の声に気が付けていないことがたくさんあるのではないか。ということに気が付きました。
保育事業にかかわる者として、大切なお子さまをお預かりして、その健全な成長・発達を保証する必要があります。そのためには、まず事業にかかわる人たちの健康や幸福が担保されていないといけない。
その実現は、経営者である私にしかできない役割なのではと気付き、「従業員の幸福度を上げる」ということを主眼として取り組むようになっていきました。

働きがい向上に向けた主な取組

―どのような取組を行ったのですか。

私たちは、「誰もが安心して子どもを育てられるような社会の構築」を目指しています。
お子さまと保護者の方と私たちのすべてが幸せになる「三方よし」を法人の理念に据え、日々活動しています。
こうした私の思いや理念を知ってもらうために、毎日、全従業員に私からメールを送っています。日々のできごとや、そこで感じたことなどを、時には写真や資料を付けて送信しています。もちろん、直接会って行うミーティングも大切にしています。

―研修も頻繁に行っているそうですね。

新人、若手、中堅、マネジメント層などに分けて年3回(新人は年7回)、研修を行っています。「くすの木のもと」という理念ブックを用いて、保育に携わるうえで必要な知識やマインドについて説明しています。

―地域の方や保護者の方からはどのように見られていますか。

株式会社くうねあ_保育園内お写真①​働きがいのある職場、自己成長が手応えとしても感じられる職場をつくってきたことが、地域の方から評価されているのを実感しています。
地域の方からも、「くうねあが経営する園に入れたい」という声が多く届いていると行政からも連絡いただいており、子育てオープンスペースの運営や古民家再生事業への取組などを通じて、地域とともに子育てを行うという思いが実を結びつつあるのを感じています。「地域が園舎・園庭」というコンセプトのもと、園児たちはたくさん地域での散歩をしています。この地域で生活する方々とさまざまな触れ合いが生まれ、地域とつながりながら子育てを行うという目的が達成できているのをうれしく感じています。

1 プラネット型の組織づくりを実践

―組織づくりで意識していることは何ですか。

くうねあでは、正社員とパートさんの区別をあまりしていません。歌が得意な人、ピアノが得意な人、保護者対応が得意な人など、個人の持つ能力を重視し、得意な人がリーダーとなって全体を引っ張ってもらうようにしています。「ピラミッド型」ではなく、その場、その場の場面に合わせリーダーが変わる「プラネット型」の組織づくりを意識しています。

2 シフトの細分化を実施

―勤務時間はどのように調整していますか。

株式会社くうねあ_園内お写真②

他の保育園に先駆けてシフトを細かく分け、早朝担当や延長保育担当、土曜日担当などを早くから導入しました。その結果、日中のコアタイムの保育をしっかり行うことができるようになりました。また、土曜日は姉妹園である、「くすのき」の複数園が集まって合同保育を行うことで、従業員が休日をきちんと取れるようにしています。​

3 育児休暇やリフレッシュ休暇の取得を推進

―特徴的な福利厚生制度はありますか。

5年勤務ごとに、1カ月連続で休むことができる「リフレッシュ休暇」制度を導入しています。もともとは従業員の声からできた制度ですが、経営者としても長年勤めてもらったことに感謝の思いを体現したい気持ちがあり導入しました。
休暇を利用して、普段行けない場所に旅行に行く、家の整理整頓をする、資格の取得に取り組むなど、使い方はさまざまです。

取組の中で感じた難しさや課題

―取組の中でどんなことに難しさを感じましたか。

キャリア採用の従業員の満足度向上は、今後の課題だと感じています。私は、もともと保育業界とかかわりがない仕事をしていたため、業界の常識にとらわれない提案が多く、保育業界で長年働いてきた方はストレスを感じられるのではと分析しています。
例えば、パソコンを使った報告書の作成は、手書きに慣れた方には大変だったのではないでしょうか。変化に対するメリットを丁寧に説明し、乗り越えてもらうようにしています。

「働きがいのある会社」に認定

―「働きがいのある会社」として認定されたそうですね。

GPTW※の働きがい調査を実施し、2023年2月に「働きがいのある会社」として認定していただきました。働きがいのポイントとして「福利厚生・メリットが充実している」「長期勤続意向がある」「楽しく働けると感じている」といった取組が、同規模の他社と比較し相対的に強みといえる特徴であると指摘されました。これまで力を入れてきた取組が評価されたと従業員一同ともに喜ぶとともに、自社のアピールポイントが増えたため、今年度の採用活動に期待しています。
※Great Place To Work(GPTW)は世界最大級の意識調査機関。世界約150ヶ国で、「働きがいのある会社」を調査・分析し、認定・ランキングとして発表している。
HP:https://hatarakigai.info/

今後のビジョン

―今後のビジョンを教えてください。

現在行っている取組を、より広く深く実行するのが目標です。
今年1月にくうねあWebマガジンというサイト(くうねあWebマガジン (qoonea-mag.com))を立ち上げ、そこで私たちの取組をオープンにしています。
保育業界全体の働く環境がよくなるように、情報を発信していきたいですね。


従業員の声

株式会社くうねあ_折居 真由香氏お写真

折居 真由香さん 主任 入社11年目

もともとは保育士として勤務していましたが、現在は園のマネジメント業務を担当しています。女性保育士は結婚や妊娠出産を機に退職する人が多いのが現状です。
当社では、離職防止の観点から、機会やタイミングをみて、育児休暇取得やその後の復職についても丁寧に説明します。私も、第一子出産後、約1年半の育児休暇を取得し、復職しています。
また、保育士の間には困ったときは互いに助け合う「お互いさまの精神」による信頼関係が築かれており、自分の子の発熱などによる急な休みを含め、育児休暇もリフレッシュ休暇も取得しやすいです。
職員と大園長や園長との距離が近いので、現場で気になることは、ミーティングの機会に言い合える関係であるのも、働きやすさの要因の一つになっていると思います。