これから人の移動や飲食の機会が増える時期になります。
感染拡大の予兆を探知し、早めに感染の広がりを抑え込む対策を打つことが重要であることから、本県ではPCR検査体制を強化してまいります。
全国でもあまり例のない、全県モニタリング検査の実施と、薬剤師会と連携した検査体制の強化について、令和3年3月26日に広島市薬剤師会とともに会見を行いました。
4月からは県内に居住または就業されている方であれば、だれでも、どこのPCRセンターでも受検が可能となります。
さらに、広島市内に居住または就業する無症状の方については、対象薬局で検査キットの受け取り・検体提出ができるようになります(検査料無料、検体採取は自宅で行います)。
PCR検査体制の強化について[令和3月26日(金)]
報道機関との質疑応答
会見のスライド全体はこちら R3.3.26 PCR検査体制の強化~人の移動が多い時期の対策~ (PDFファイル)(2.08MB)
まずはじめに、全県モニタリング検査の実施について説明します。
年度末や年度初めは、就職、転勤、進学、歓送迎会、花見、卒業旅行、連休など、人の移動や飲食の機会が増える時期です。首都圏の1都3県では、緊急事態宣言が解除され、GoToトラベルも、早晩、段階的に再開されるかもしれません。
人の動きが活発になって、人と人の接触機会が増えれば、感染リスクも高くなります。
社会経済活動を継続しながら、感染を再拡大させないためには、感染拡大の予兆を探知して、早めに感染の広がりを抑え込む対策を打つことが重要です。
そこで、本県においては、モニタリング検査を全県に拡大します。
感染者と非感染者の接触を遮断することが、感染防止対策の基本です。
そのためには、
感染ステージに着目して言うと、
感染が散発的に発生している段階では、積極的疫学調査によって感染者を個別に特定することができますが、積極的疫学調査は、あくまで、感染者の周辺しか探知できません。
感染がある程度広がってしまった段階では、地域や対象を絞って、面的にPCR検査の集中実施を行い、市中に広がっている感染者を探知することで、感染の拡大を抑えるという方法が効果的であると考えています。
それでも感染を抑えることができずに、爆発的に感染が広がってしまった場合には、外出の自粛や時短・休業要請といった手段に踏み込むこととなります。
そういう状況にならないよう、モニタリングによって感染再拡大の予兆を捉えて早めの対策を講じる必要があります。
次の図は、検査体制の全体像を示しています。
有症状の場合は、かかりつけ医や積極ガードダイヤルを通じて、身近なクリニック(診療・検査医療機関)で検査を受けていただいています。
無症状の方は、PCRセンターを利用していただいていますが、
これとは別に、医療機関や高齢者施設の職員については、県の補助や委託により、検査を行っています。
次の図は、県内の感染者の判明経路別の人数の割合を示した円グラフです。
積極的疫学調査によって陽性とわかる方は約3割で、残り7割は、医療機関経由とPCRセンターによるものです。
つまり、医療機関や検査会場へのアクセスが良ければ、それだけ陽性者を早く、多く見つけることができるということになります。
これまで県内に設置したPCRセンターの一覧です。
令和2年12月に感染者が急増した際には、流川、観音、東広島、福山、三次に順次、PCRセンターを設置し、受検者はこれまで、合計4万人を超えています。
次の図は、令和2年12月以降のPCRセンターでの受検者数の推移です。
令和3年1月16日の958人をピークに、その後、減少傾向が続いています。
令和3年2月中旬から受検者数が増えているのは、広島市内の集中対策が令和3年2月21日に終了した翌日から広島市内でモニタリング検査を開始しているためです。
次に広島市内に注目してみていきます。
次の図は、流川と観音のPCRセンターの受検者数(黄色棒)と陽性率(青色線)の推移です。
広島市内においては、令和2年12月の陽性率が2.95%でしたが、令和3年3月には0.15%まで下がっています。
このように、PCRセンターを活用することで、地域の感染状況をモニタリングすることができ、次の感染再拡大の予兆を探知することができると考えています。
このため、PCRセンターの体制を少し変更します。
まず、対象者を拡大します。
これまでは、高齢者施設や医療機関、飲食店の従業員など、特定の業種に限定していましたが、4月からは、業種を限定せず、広島県内の居住者及び就業者であれば、どなたでも、どこのPCRセンターでも受検していただけます。
全県モニタリング体制を敷くことで、感染再拡大の予兆を広く、面的にキャッチしたいと考えています。
変更点の2点目は、福山PCRセンターの会場変更です。
これまで、旧新浜浄化センター跡地に設置していましたが、大雨が降ったときに浸水のおそれがあることから、4月からは、福山港の新涯地区に移転します。
新涯地区の旧福山港フェリーターミナルの駐車場の一角を利用してPCRセンターを開設します。
変更の3点目は、開設時間の変更です。
5か所のPCRセンターを効率的に運営するため、
4月から当面の間、東広島は、月、木、土曜日、三次は、水、金、日曜日に開設することとします。
流川、観音、福山のPCRセンターは、引き続き毎日開設します。
また、すべてのPCRセンターの開設時間を11時から15時に統一します。
4月以降のPCRセンターの体制は次のとおりです。
対象者:広島県内の居住者及び就業者
開設時間:11時から15時
これまで通り、予約制ですので、受検されるときは、予約センターに電話をお願いします。
予約受付 : 050-1741-6373
県内の居住者や就業者であれば、どこのPCRセンターでも受検できますので、ぜひ、モニタリング検査にご協力ください。
続いて、薬剤師会と連携した検査体制の強化について説明します。
次の内容は、2月に実施したPCR集中実施のトライアルの振り返りの総括として、先日発表したものです。
【関連リンク】PCR検査の集中実施・トライアルの振り返り
この中で、下線部の部分、
という課題を解決するため、広島市域の薬剤師会と連携して、PCR検査の強化について検討しました。
薬局を活用したPCR検査体制の強化についてまとめています。
目的は2点あり、
協力機関として、広島市薬剤師会の中野会長はじめ、安佐薬剤師会、安芸薬剤師会、広島佐伯薬剤師会の皆さんのご協力を得て、薬局で検査キットの受け渡しと回収を行っていただくことができるようになりました。
実施期間は、当面、4月1日から5月末まで、モニタリングを行いながら、感染再拡大の兆候がみられたときには、集中実施にスイッチする予定です。
検査対象者は、広島市内の居住者及び就業者で、検査料は無料です。受検方法については、後ほど説明します。
薬局を活用したPCR検査には、次のようなメリットがあります。
当面は、モニタリング機能を、感染再拡大時には、PCR検査集中実施の機能を担うこととしています。
薬局を活用したPCR検査の流れです。
受験者の方は、(1)薬局で検査キットを受け取り、(2)唾液を自分で採取、(3)指定日に検体を薬局に提出、という流れになっており、大変簡単な方法です。
提出された検体は、県の委託業者が、薬局を巡回して回収し、検査機関に搬送します。
対象となる薬局や詳しい受検方法は、こちらのサイトをご覧ください。
⇒ お近くの薬局でPCR検査受けられます(検査キットの受渡しができる薬局一覧も掲載されています)
検査キットの受け渡しができる薬局は、205か所あります(令和3年3月23日時点)。
検体を提出する曜日は決まっていますので注意してください。
【検体提出できる曜日】
※検体を提出した翌日には、検査結果が判明します。
木曜日と土・日曜日は、薬局で検体の受け取りは行っていません。これらの曜日で受検を希望される場合、流川や観音などのPCRセンターで検査を受けてください。
参加薬局は、こちらのページに掲載されています。
[参考:対象薬局一覧(R3.3.23時点) (PDFファイル)(670KB)]
また、参加薬局では、こうしたポスターや幟旗を掲げる予定ですので、お気軽にお立ち寄りください。
薬局でのPCR検査の予約方法から検査キットの内容、検体採取の方法など、薬局を活用したPCR検査について詳しく説明されています。
対象となる薬局や詳しい受検方法は、こちらのサイトをご覧ください。
⇒ お近くの薬局でPCR検査受けられます(検査キットの受渡しができる薬局一覧も掲載されています)
対象薬局一覧(R3.3.23時点) (PDFファイル)(670KB)
繰り返しになりますが、年度末・年度初めは、人の移動や飲食の機会が増えます。
感染を再拡大させないため、PCRセンターや、薬局のモニタリング検査にご協力ください。
気をつけていただきたいのは、PCRセンターや薬局を利用していただくのは、無症状の方に限ります。
発熱や鼻水など、風邪症状のある方は、まずは、かかりつけ医に電話で相談してください。
ここで診療・検査できない場合は、他の医療機関をご紹介します。
どこに相談したらよいかわからない方は、24時間対応の「積極ガードダイヤル」に電話していただければ、最寄りの医療機関をご案内します。
最後に改めて県民の皆さんにお願いがあります。
感染を再拡大・リバウンドさせないため、飲食店を選ぶときには、パーテーションなど飛沫予防がされているか、換気されているか、をチェックするとともに、
あなた自身も
感染予防の対策をして迷わず「広島積極ガード店」を選んで飲食を楽しんでいただきたいと思います。
そして、改めて「広島コロナお知らせQR」の読み込みをお願いします。
この春のおでかけは、「マスク」「消毒」「QR」でお願いします。
年度変わりの春は、いろんな行事がありますが、歓送迎会や花見では、飛沫予防を徹底していただくとともに、卒業旅行では、なるべく混雑しない平日に、いつもの仲間で、感染リスクの高い地域への旅行は控えていただきたいと思います。
一人一人が、感染予防の意識を持って行動すれば、感染が拡大することなく、日常の生活を続けることができます。
引き続き、油断することなく、ウイズ・コロナの生活様式の継続をお願いします。
まずは、今回このような機会をいただき、湯崎知事をはじめ県の関係者、並びに報道関係の方々、ありがとうございます。
広島県のPCR検査事業の取り組みを受けて、薬剤師会との関わり、経緯、連携の意義について少しお話させていただきます。
皆様もご存知のとおり、1月中旬に発表された大規模PCR検査について、広島県より広島市薬剤師会に協力依頼があり、この事業の協力に関して当会で協議しました。
中には、この事業を疑問視する意見等もありましたが、地域の住民の、最も身近な医療施設である薬局、薬剤師が、このコロナ感染対策事業を担うことは当然の責務ではないか、この一点で意見をとりまとめました。
最終的には、地域限定のトライアル検査に変更となりましたが、このトライアル検査は、現状把握としては大きな成果があったと思います。
また、我々、薬局のサイドから言えば、このトライアルが、PCR検査におけるファーストアクセスポイントとして、本当に薬局が機能することができるかの検証でもありました。
その結果として、通常かかりつけ薬局として利用いただいている地域の住民の皆さまにも、多数、検査に参加していただき、この事業に薬局が参加することは、かかりつけ機能という面からも、大きな意味があったと認識を新たにいたしました。
その事業を進めながら、広島市薬剤師会で、広島県民、市民、また協力をいただいている多くの薬剤師に理解の得られるPCR検査についていろいろ検討し、「PCR検査に関する感染対策事業(案)」広島市薬のモデルとして、2月の上旬に広島県にこれを提案いたしました。
その提案の内容の一部を紹介いたします。
広島県において、感染者数の状況が落ち着いている中、今後の感染拡大防止のため、地域住民に身近で、かつ、常設の無料PCR検査アクセスポイントを多数設置することが、広島県でステージ1を維持していくのに有効ではないかと考えられる。
そこで、地域住民が身近にアクセス可能、かつ、公衆衛生を担う薬局が、常設のアクセスポイントとして、感染再拡大防止の一助になれるものと考える。
【薬局を活用するメリット】
・地域住民が身近でアクセスしやすい
・単にアクセスしやすいだけでなく、公衆衛生の専門家である薬剤師に、感染対策、健康相談もでき、症状のある方には、早期の受診勧奨が可能である
以上の提案をいたしました。
その提案を参考にして、広島県と我々が協議しながら事業化したのが、今回の広島市内における薬局によるモニタリングです。
我々のPCR検査の基本的な考え方は、PCR検査は様々な目的があり、感染状況によっての使い分けが必要 と思います。
たとえば、医療的PCR検査、これは症状のある人を対象にした早期治療が目的です。
もう一方は、社会的PCR検査、これは無症状を対象にした、感染状況が落ち着いている時期の検査で、我々の提案はこちらに当たります。
感染者を根こそぎ洗い出すのではなく、地域住民の精神的な健康・安心・安全を担保するため、例えば、年末、県外のおばあちゃんの家に帰りたかったけど、なかなか帰れなかったという若い方の声をよく聞きます。
そういう時こそ、気軽にこの検査をうけていただき、陰性を確認し、安心して帰省していただく。
また、県外のイベント等に行き、広島に帰ってきて、どうだったかな、と不安を抱えながら仕事をする、そんな時こそ、検査を受けていただき、陰性を確認し、安心していただく。
今回のモニタリング事業がその安心の一翼を担えるのではないかと思っております。
このモニタリングのみで、感染防止がどこまで有効かは、まだ未知の部分もありますが、市民の皆様の安心、先ほど言った「精神的健康」の効果は、これを活用していただければ確実に効果があります。
最後に、広島市民の皆さま、特に10代、20代の若い皆さんに聞いていただきたいのですが、
これを機会に、地域に身近で便利な薬局で、気軽にPCR検査を受けていただき、広島県民みんなで、高齢者の方々を守る、持病を持っている方々を守る、大切な人を守る、みんなで守る、そのひとりひとりの「みんなで近くの誰かを守ろう」という思いの広がり、ウイルス拡散よりも、もっと早く、もっと大きく、この広がりが大切です。
この「守る」の拡散が感染拡大防止の最も有効な手段ではないかと思っています。
今回、日常業務に影響があるにも関わらず、たくさんの薬局がこの事業に参加していただきました。
そのたくさんの薬剤師の「みんなで守ろう」という思いが、広島県民、市民のみなさんに伝われば幸いです。
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