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令和5年度 イクボス同盟ひろしま備後部会の取組

2024年5月17日

R5備後部会 集合

 イクボス同盟ひろしまでは、県内にイクボスを増やすことを目的に、令和2年度からメンバー有志により組織(部会)を結成。部会で決定したテーマに基づき、活動を続けています。
 備後部会では「持続可能な企業・地域を育てる。備後イクボス同盟」をキャッチフレーズに9名が活動しています。
 令和5年度「備後部会」の取組をご紹介します。

部会の詳細についてはこちら⇒(イクボス同盟ひろしま「部会活動」状況)

 

令和5年度 備後部会 活動レポート​

■令和5年度備後部会 勉強会「持続可能な企業・地域を育てる事業承継の事例」

○日時:令和5年11月21日(火)

○場所:県民文化センターふくやま 地下1階 文化交流室

備後部会①

 「事業承継」をテーマとした勉強会を開催。備後地域の企業経営者等が集まり、参加者自身の経験談を交えた講義を行うなど、学び合いの場としました。

 

第1部「事業を継いだ側」講演/ペアコム株式会社

​ 第1部では、「会社を継いだ側」の立場として、ペアコム株式会社 梨木彩加氏が講演。父である前社長から会社を受け継いだ際に大切にしたポイントと、自身が社長に就任した後、アレンジしたポイントについてお話しいただきました。

​ペアコム株式会社 代表取締役 梨木 彩加 氏

ペアコム(株)梨木様ペアコム(株)スライド

受け継いだ“ペアコムの文化”と“お互い様の精神”

 当社は、漏電ブレーカーの電子回路やLED照明器具の製造、リード線加工、制御盤の組立などを行っている会社です。1985年に父が創業しました。現在、社員71名のうち64名が女性、管理職7名のうち6名が女性と、多くの女性社員に活躍していただいています。
 私は創業者の父から会社を受け継いだ際、「ペアコムの企業文化」を尊重しました。例を挙げると、「親としての務めを果たす精神」「お互い様の精神」などがあります。
 「親としての務めを果たす精神」は、お子さんがいる社員であれば、“子どもの参観日などの行事には必ず参加する”など、子育てをないがしろにせず、親としての立場を尊重する考え方のことです。
 また、「お互い様の精神」は、“以前、職場の同僚に助けてもらったから、今度は私が手助けする”といった、仲間との連帯感を大切にする考え方です。
 こうした企業文化を全社員が理解しており、その結果、多くの女性社員が、産休・育休を取得した後、職場復帰し、活躍してくれています。復帰した社員から「みんながサポートしてくれるから」「ペアコムだから妊娠・出産できた」などといった声が挙がることが、社長としてとても嬉しく思います。

 

バトンを受けてアレンジしたポイント

 社長に就任してまず私は、「土曜日出勤」を撤廃しました。
 父から事業承継されるまでは、パートの方は休みが取りやすいが、管理者は休みにくい現状がありました。管理職も休める組織づくりとして、採用活動を強化しました。ギリギリの人数では、「休め」といくら言われても、社員は休めません。また、属人化している業務も幾つかありましたので、誰が休んでも他のメンバーで業務をまわせるように、社員の育成に取り組みました。
 委員会制度の見直しにも力を入れています。当社の社員は、各自いずれかの委員会に参加してもらっています。見直し前は、所属している委員会に対して決定権もなく、給料も発生しない。いわゆる“ボランティアでやらされている感”が漂っていました。そこで、「会社(社長)からは活動に口出ししない」「必要なものには会社がお金を出す」といった、社員主体の活動を後押しする取組に向け、シフトチェンジを図ったのです。
 試行錯誤の末、現在は「体を動かす委員会」や「広報紙を出す委員会」「社員同士感謝を伝えるイベントを企画する委員会」など、社員たちが創意工夫し、部署の垣根を越えた活動をしてくれています。

 このような取組の結果、社内全体のコミュニケーションも増え、「ありがとう」が飛び交う会社になりました。ペアコムの経営判断の軸は「社員の幸福につながるか」どうかです。父から受け継いだ会社の理念を実現するために、これからも迷うことなく「イクボス」を体現し取り組んでいきます。

 備後部会②

参加者の声

  • 前社長からバトンを受け継がれた後、梨木さんが会社にアレンジを加えてきた事が分かりやすくまとまっており、「それ、自社でもやってみたい」と思わせる学び多い発表でした。特に社員の働きやすさを追求しておられ、社員さんから「ペアコムじゃなかったら、子供を産んでなかった」と言われたエピソードは良い会社であることの象徴だと感じました。
  • ​会社を良くするために学んだことを素直に実践されているというのが一番の印象でした。楽しくて働きやすい職場づくりに向け、様々なことを始められたいう行動力は素晴らしいと思います。私も「豊かさ両立の働き方改革」を進めたいと、改めて刺激を受けました。
  • ​女性経営者らしく社内のコミュニケーションを大事にして、社員の能力を生かして自分たちの会社を良くしていこうという取組が素晴らしいと感じました。
 
 

2部「継がせた側」講演/株式会社オーザック

 第2部では、「会社を継がせた側」として、株式会社オーザック 取締役崎会長 岡崎隆氏から事業継承の具体的な流れやポイントについてお話しいただきました。

株式会社オーザック 取締役会長 岡崎 隆 氏(崎の「大」の部分は「立」です)

オーザック(株)岡﨑様

「継がせる側」として、いかに事業承継をスムーズに行えるか

 当社はワイヤロープ端末金具や産業機械用吊り具などを製造販売する会社です。
 私は、副社長の妻と娘二人の四人家族で、事業承継は難しいのではないかと考えていましたが、縁があり、娘婿が会社を継いでくれました。実子ではないので、お互いに遠慮はありますが、いい距離感で意見を交わせているので、私にとっては、それが逆に良かったと思っています。
 現社長は6年半前に娘と共に当社に入社しましが、その際に私は「まず5年は経営の勉強に集中しなさい」と伝えました。私自身が社長の頃、社員に任せられる業務にも関わらず、つい自分でやってしまうことが多く、経営に上手く専念できなかった経験があったからです。

 

社員ファーストを共有

 当社は「顧客満足」より「社員満足」を大切にしています。
 社員が疲弊する仕事や、喜ばない仕事は断りなさいと、現社長には伝えています。会社は「全社員が幸せになるための道具」であり、主役は社員です。「社員が幸せになるためにお客様に満足していただく」この経営の判断基準は、守るべきものとして常々話しています。
 私からのアドバイスを踏まえ、現社長は頻繁に社員との面談を実施するなど、コミュニケーションの質の向上に力を入れています。社員たちも以前より、生き生きと働き、笑顔も増えた印象です。こうした様子を見る中で、私は、「経営に集中する」という事は、「社員とのコミュニケーションを増やし、社員の働きがいにもつながる」と実感しています。

備後部会③

参加者の声

  • 社員ファーストの考え方と信じて任せる(信じて待つ)ことの大切さを、豊富な経験談を含めてお話頂き、非常にわかりやすくイメージしやすかったです。
  • ​とても良い形での事業承継が完遂されていたのは、岡崎会長の気遣いや気配りがあってのことだと思います。つまり、現社長の能力が存分に発揮できる環境があるからだと感じました。「仕事以外のことでも人の役に立つことが自分の幸せに繋がる」というお話がとても印象に残っています。私も実践したいと思います。
  • ​​​後継者にバトンを渡す時に、とても強い思いを持ってバトンを渡された事がよくわかりました。私自身大いに参考になりました。ありがとうございました。
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