12-2 事業主が雇用保険に加入していなかった場合,給付を受けることはできないのか|労働相談Q&A
12-2 事業主が雇用保険に加入していなかった場合,給付を受けることはできないのか
質問
私は、先日、10年間勤めた会社を退職しましたが、退職して初めて会社が雇用保険に加入していないことがわかりました。このままでは、雇用保険の給付を受けることはできないのでしょうか。
回答
<ポイント!>
退職時に事業主が雇用保険に加入していなくても、2年間分については、さかのぼって加入することができます。
雇用保険は強制加入
雇用保険は、任意で加入すればよいものではなく、労働者が雇用される事業については、原則としてすべて対象とされます(雇用保険法第5条)。ただし、農林、畜産・養蚕・水産の事業で、常用労働者が5人未満の個人事業主については、当分の間、任意適用とされています(同法附則第2条)。
適用除外となる者
事業所に「雇用される労働者」(同法第4条)であっても、次のいずれかに該当する者については、被保険者にはなりません(同条第6条)。逆にいうと、これらに該当しない労働者は、本人の意思に関係なく、必ず被保険者となります。
- 1週間の所定労働時間が20時間未満の者(令和10年10月1日から「20時間未満」→「10時間未満」)
- 同一の事業主の適用事業に継続して31日以上雇用されることが見込まれない者
- 季節的事業に雇用される者で、雇用期間が4か月以内であるか、所定労働時間が週20時間以上30時間未満の者
- 昼間学生など
- 船員法に規定する船員であって、漁船に乗り組むために雇用される者(1年を通じて船員として適用事業に雇用される場合を除く。)
- 国、都道府県、市町村その他これらに準ずるものの事業に雇用される者(会計年度任用職員を除く。)
- 日雇労働被保険者に該当しない日雇労働者
- 取締役(ただし、実態として雇用関係が存在している場合は、被保険者となります。)
- 家事使用人 など
2年間は、さかのぼって加入ができる
退職したあとになって初めて雇用保険に加入していなかったことが判明した場合には、さかのぼって加入するという方法があります。ただし、雇用保険に係る権利は、2年を経過したときは時効によって消滅しますので(同法第74条)、さかのぼり加入ができるのは、2年間に限ってということになります。(雇用保険料が控除されていたことが確認された者については、2年を超えて遡及することができます(同法第14条、第22条)。)
なお、雇用保険料は、労使双方が納付することとされていますので、労働者も過去の保険料について納付しなければなりません。
こんな対応を!
上に述べたように、原則、過去2年間分については、さかのぼって加入することが可能ですので、会社側に対して、雇用保険の加入を要求しましょう。要求が聞き入れられなかった場合は、会社の所在地を管轄するハローワークに相談してください。
なお、労働者の方が、自ら雇用保険の加入手続が適正に行われているか、ハローワークで確認することができます。(同法第8条)