12-4 会社を退職すると出産育児一時金,出産手当金は支給されないのか|労働相談Q&A
印刷用ページを表示する掲載日2024年7月18日
12-4 会社を退職すると出産育児一時金,出産手当金は支給されないのか
質問
私は、3か月後に出産を控えていますが、出産予定日までに会社を辞めたいと考えています。会社を辞めたら出産育児一時金、出産手当金は支給されないのでしょうか。
回答
<ポイント!>
- 出産育児一時金は、1年以上被保険者であった人が、退職後6か月以内に出産をしたときは、支給されます。
- 出産手当金は、1年以上被保険者であった人が、資格を喪失した際に出産手当金を受けているか、または受ける条件を満たしている場合は,支給されます。
給付条件・給付額
- 被保険者の資格喪失後の出産育児一時金の給付は、健康保険法第106条により、
ア)1年以上の被保険者期間があることを条件に、
イ)資格喪失日から起算して6か月以内の出産であれば、
1児につき50万円(同法第101条,健保令第36条)が支給されます。(ただし,在胎週が22週に達していないなど,産科医療保障制度加算対象出産でない場合は48万8千円)
- 出産手当金の給付は、同法第104条により、
ア)1年以上の被保険者期間があることを条件に、
イ)資格を喪失した際に出産手当金を受けているか、または受ける条件を満たしている場合,
引き続き受けることができます。
出産手当金は、出産の日(出産の日が出産の予定日後の場合、出産の予定日)以前42日(多胎妊娠の場合、98日)より出産の日後56日までの間労務に服さなかった期間について、1日につき『支給開始日の以前12か月間の各標準報酬月額を平均した額÷30日×2/3』に相当する金額を受給できます(同法第102条)。
健康保険とは
健康保険とは、社会保険の一つであり、分娩に際し給付される出産育児一時金、出産手当金の他に健康保険法で定められる保険給付としては、労働者の業務外の事由による疾病、負傷、死亡の保険事故に対して行う療養給付、療養費、傷病手当金、埋葬費、高額療養費、特定療養費などの給付があります。
労働者は、強制適用事業所(常時5人以上の従業員を使用する製造業、土木建築業、鉱業、運輸業、販売業、金融保険業等及び常時1人以上の従業員を使用する法人など)に雇用されれば、必ず健康保険に加入しなければなりません(同法第3条第1項)。ただし、次の方は、日雇特例被保険者となる場合を除き、被保険者となることができません。
- 船員保険の被保険者(疾病任意継続被保険者を除く)
- 日々雇い入れられる者(1か月を超え引き続き使用されるに至った場合を除く)
- 2か月以内の期間を定めて使用される者であって、当該定めた期間を超えて使用されることが見込まれないもの(定めた期間を超え、引き続き使用されるに至った場合を除く)
- 事業所又は事務所で所在地が一定しないものに使用される者
- 季節的業務に使用される者(継続して4か月を超えて使用されるべき場合を除く)
- 臨時的事業の事業所に使用される者(継続して6か月を超えて使用されるべき場合を除く)
- 国民健康保険組合の事業所に使用される者
- 後期高齢者医療の被保険者
- 厚生労働大臣、健康保険組合又は共済組合の承認を受けた者 など
こんな対応を!
お尋ねのケースでは、資格喪失日の前日まで継続して1年以上被保険者であったかどうかが明らかではありませんが、被保険者期間が1年以上あれば、出産育児一時金は支給されますが、出産手当金は他に一定の要件を満たした場合のみ支給されます。
なお、健康保険の給付の詳細や手続きについては、全国健康保険協会にお問い合わせください。