4-14 会社が倒産しそうなとき,どのような対応をすればよいか|労働相談Q&A
4-14 会社が倒産しそうなとき,どのような対応をすればよいか
質問
私の勤務先の会社は,最近不渡り手形を出してしまい,従業員の間では倒産は避けられないとの噂が広まっています。先月,先々月の賃金も未払いとなっていますが,賃金や退職金を確保するために,どのような対処をすればよいのでしょうか。
回答
<ポイント!>
- 倒産という,いわば「非常事態」において,労働者が個人で会社と交渉するには限界があります。労働組合がなければ結成するなどして,みんなで協力して,早いうちに会社と話し合いましょう。
- 賃金の立替払い制度を利用するのも,ひとつの方法です。
倒産とは
倒産とは,会社が経済的に破綻した状態のことをいい,その典型は,半年以内に手形や小切手の不渡りを2度出して,銀行取引の停止処分を受けた場合です。
倒産手続は,企業の存続を断念して清算させるものと,企業の再建を目指すものとの2種類に大別されます。清算を目的とする手続は「破産」,「特別清算」であり,再建を目指す手続は「会社更正」や「民事再生」です。
こんな対応を!
団結して話し合いを!
会社が倒産しそうな雲行きのとき,何よりも大切なのは,みんなで団結して使用者との話し合いを持ち,倒産という最悪の事態を避けるために行動するとともに,倒産した場合に備えて,早めに事前の対応をとっていくことでしょう。
会社との話し合いの場においては,次のことについて,使用者側と確認等を行い,できるだけ関係書類を集めましょう。
- 経営状態や資産内容(動産,不動産,売掛金債権など)を把握しましょう。このため,貸借対照表や財産目録,売掛金台帳などの財務関係書類をチェックしましょう。また,法務局に行って,不動産の登記簿謄本の交付・閲覧を受け,所有権の移動や抵当権の設定状況などについて調べましょう。
- 退職金積立の状況を,財務諸表を入手したりして把握しましょう。
- 賃金・退職金などの労働債権の額の裏付けとなる資料を収集しましょう。給料明細書,賃金台帳,賃金規程・退職金規程の書かれた就業規則,労働協約・労働契約書,従業員名簿,労働時間管理記録などがこれに当たります。
- 関係資料により把握した労働債権について,従業員ごとに労働債権の内容(賃金,退職金等)と金額を記載した証明書(あるいは確認書)を会社側に作成してもらいましょう。
労働債権の確保の方法
会社の経営状態からみて,倒産はもはや避けられそうにないと考えられる場合は,倒産に至る前の段階で,債権譲渡協定を締結して会社の売掛金債権等の譲渡を受け,早めに未払賃金や退職金などに充当するといった方法も考えられます。
また,会社が倒産した場合又は事実上の倒産状態に陥った場合は,「賃金の支払の確保等に関する法律」に基づいて,国が未払賃金のうちの一定額を立て替えてくれる制度があります。(詳しくは,「会社が倒産したときの未払い賃金は確保できるか。」の項を参照してください。)」