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6-4 未消化の年休を買上げることは問題ないか|労働相談Q&A

印刷用ページを表示する掲載日2018年8月1日

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6-4 未消化の年休を買上げることは問題ないか

質問

我が社の従業員には,年次有給休暇を完全に消化する者がほとんどいないため,有給休暇を買い上げる制度を設けようかと考えています。年休の買上げ制度を導入することは,問題ないでしょうか。

回答

<ポイント!>

年休の買取りは,労働者が安心して休養をとり,心身の疲労を回復させることなどを目的とする年休制度の趣旨に反するため,原則として認められません。

年休とは

年次有給休暇(年休)とは,労働者の健康で文化的な生活の実現に資するため,定められた休日以外に,有給で休める休暇をいいます。
労働基準法は,継続勤務年数ごとに付与日数を定めていますが(第39条),これは,あくまで最低の基準を示したものですから,法を上回る日数の年休を与えることは,構いません。

買上げの可否

上に述べた年休の趣旨・目的に照らせば,年休の買上げ制度は,原則として認められません。金銭を給付するのと引き換えに,年休を与えたものとすることは,結果として法定日数を付与していないこととなるからです。
行政解釈でも,「年次有給休暇の買上げの予約をし, これに基づいて法第39条の規定により請求し得る年次有給休暇の日数を減じ,ないし請求された日数を与えないことは,法第39条の違反である」 (昭和30年11月30日 基収第4718号)としています。

例外的に買取りが認められる場合

例外的に,買取りが認められるのは,法定日数を超える部分の年休を買い上げる制度を設ける場合のほか,結果的に未消化となった日数について手当を支給することになる次の2つのケースが考えられます。

1 退職時に未消化で残っている年休

定年や辞職などによって退職する人について,退職時に未消化である年休を買い上げることは,差し支えありません。退職後には,年休の権利を行使することは,そもそもできないからです。

2 時効によって権利の消滅した年休

年休の権利は翌年に繰り越すことができますが,2年間で時効により消滅します(労基法第115条)。労働者が請求をせずに,時効によって消滅した年休を買い上げることは違法ではありません。時効により消滅した年休は,もはや法律の関知するところではないと考えられるからです。

 

ただし,上記1,2いずれの場合でも,労働基準法第39条違反とはならないにしても,結果として年休の取得を抑制することにもなりかねませんので,年休制度の趣旨からは疑問の余地もあります。

こんな対応を!

年休本来の趣旨をよく理解し,消化率が良くないことに,そもそもの問題があるということを認識しましょう。
その上で,労使が積極的に協力して,年休消化に努めるよう心掛けるべきです。事業主としては,あくまで従業員が年休を取得しやすい職場環境作りを図ることが大事だといえるでしょう。