9-3 派遣契約が中途解除されたとき,派遣労働者は解雇されるのか|労働相談Q&A
9-3 派遣契約が中途解除されたとき,派遣労働者は解雇されるのか
質問
派遣会社に登録しており,ある会社に1年契約で派遣されましたが,急に6か月で派遣契約を打ち切りたいと派遣先の会社が言ってきたそうです。
派遣会社からはその後連絡がありません。このまま派遣会社との契約も6か月で切れてしまうのでしょうか。
回答
<ポイント!>
- 派遣先が派遣元との契約を中途解除しても,労働者と派遣元との雇用契約は継続しており,直ちに解雇につながるものではありません。
- 派遣元は,別の派遣先を確保したり,それまでの休業期間の賃金(休業手当として最低60%)を支払わなければなりません。
- 派遣労働者の解雇についての考え方は,通常の労働者の場合と同じです。
派遣契約の中途解除
派遣契約の中途解約は派遣労働者の地位を不安定にするものです。
平成8年の派遣法改正で,派遣契約及び派遣労働者への就労条件明示書に派遣契約解除の場合の措置を明示することが義務付けられました(派遣法第26条)。
また,「派遣先は派遣労働者の国籍,信条,性別,社会的身分,派遣労働者が労働組合の正当な行為をしたこと等を理由として,労働者派遣契約を解除してはならない。」(派遣法第27条)として派遣先の不当な契約解除を制限しています。
派遣労働者の解雇
派遣元が派遣労働者を解雇する場合は,通常の労働者の解雇と同様,いつでも自由に行えるものではありません。法的な手続き(労働基準法第20条,30日前の解雇予告もしくは30日分以上の平均賃金の支払)はもちろんですが,客観的に合理的で,社会通念上相当と認められる理由が必要です。(労働契約法第16条)
また,有期雇用契約途中に使用者の責めにより解雇する場合は,使用者は労働者に対して損害賠償の必要があり(民法第628条),その限度額は契約で定めた期間満了までの賃金相当額と考えられます。(「契約期間途中で解雇できるか」の項を参照してください。)
厚生労働省指針
指針では,労働者派遣契約の契約期間が満了する前に派遣労働者の責に帰すべき事由以外の事由によって派遣契約の解除が行われた場合には,
- 派遣元は派遣先と連携して,派遣先からその関連会社での就業のあっせんを受けること。派遣元において他の派遣先を確保すること等により,派遣労働者の新たな就業機会の確保を図ること,
- 新たな就業機会の確保ができない場合は,まず休業等を行い,派遣労働者の雇用の維持を図るようにするとともに,休業手当の支払等の労働基準法等に基づく責任を果たすこと,
- やむを得ない事由によりこれができない場合において,派遣労働者を解雇しようとするときであっても,労働契約法の規定を遵守することはもとより,派遣労働者に対する解雇予告,解雇予告手当の支払等の労働基準法等に基づく責任を果たす
こととしています。
こんな対応を!
労働者が雇用契約を結んでいるのは派遣元会社ですので,ご質問の場合,派遣先との契約が解除されても,派遣元との雇用契約期間は継続されます。
派遣元に対し,新たな就業先を探してもらうよう,また,それまでの賃金保障を求めましょう。