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異臭クレームへの対策

印刷用ページを表示する掲載日2020年10月6日

食品工業技術センター > 企業のためになるQ&A > 異臭クレームへの対策


Q 消費者から製品に薬品臭がするとのクレームがありました。食品の異臭について教えてください。

A 匂い成分(揮発性化合物で,主に分子量が300以下のもの)には無数と言ってもよいほど種類があります。食品によく含まれる成分であっても,本来存在するはずのない食品から発生している場合(例:せんべいからコーヒーの香りがするなど),異臭となります。表に食品から発見されることの多い異臭の種類を示します。異臭成分は多くの場合低濃度(ppmからppbオーダー)であり,健康に影響することはほとんどありません。

食品によくみられる異臭の種類
異臭の種類 よくある原因の例 匂い成分名
包材臭 食品トレーやパッケージからの着香 スチレン など
石油臭 輸送中の荷室環境からの着香 トリメチルベンゼン など
殺虫剤臭 輸送中,貯蔵中の環境からの着香 クレゾール,ナフタレン など
腐敗臭 カビ臭 製品中で微生物が増殖して発生 アニソール,ジオスミン,イソボルネオール など
シンナー臭 酢酸エチル など
その他 酪酸,グアイアコール など
酸敗臭 製品の含有油脂が酸化して発生 各種アルデヒド,有機酸 など

 異臭が発生する原因のうち多いものを以下に示します。異臭の原因を追究するときの参考にしてください。

  • 製造中に他の商品などから匂いが移ることがあります(移香といいます) 。
  • 輸送中にコンテナなどに存在した匂いが包材を通り抜けて中の商品に移ることがあります(収着といいます) 。
  • 光や熱,微生物により食品が劣化・腐敗し,異臭が発生することがあります 。
  • 製造工程中に洗浄剤などが混入し,異臭となることがあります。

 成分にもよりますが,分析機器より人間の鼻の感度が優れていることが多く,専門機関の分析においても最初は官能試験(実際に匂いを嗅いでみる試験)を行い,異臭があると判定された場合に機器による分析を行うことが普通です。異臭の感じ方は人それぞれで,その時の体調によって変わることがあります。

 匂い成分を分析する機器として代表的なものにガスクロマトグラフ-質量分析計があります。この装置により,食品に含まれる数百もの匂い成分を1つ1つ分離し,異臭成分を突き止め,濃度を測定することができます。

異臭クレームについての技術相談をご希望の方へ(サンプル取扱いについて)

 異臭クレームの技術相談に当たり,クレーム品の取扱いを誤ったために対応が困難になる事例があります。
 そのため,クレーム品の取扱いについては以下の記述どおりにすることをお勧めします。

  • 原因臭気成分が揮散して,官能検査や機器分析が困難になることがありますので,原則として,クレームがあった状態のままで持参してください。
  • クレーム品を何かの容器に詰め替える必要がある場合,樹脂製の容器(ポリ袋等)に入れることはお控えください。容器の臭気が移香したり,臭気が容器を通り抜けたりすることにより,官能検査や機器分析が困難になることがあります。
  • どうしても詰め替える必要がある場合は,よく洗浄したガラス容器に入れてください。容器内に匂いが残っていないかどうか,鼻で嗅いで確認してから入れてください。
  • 詰め替えるガラス容器の中蓋等にゴムや樹脂(シリコン樹脂等)が使われている場合,できる限り新品をご使用ください。ゴムや樹脂部分に残っている臭気がクレーム品に移香することがあります。
  • 比較対照として,正常品(存在するならば同ロット品)も持参してください。

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