日持ちのよい浅漬類を製造する時の注意点
Q 日持ちのよい浅漬類を製造するには、どのようなことに注意したらよいでしょうか。
A 漬物類の保存性をよくする方法として、
- 低温で貯蔵する
- 食塩濃度を高くする
- 酸を添加してpHを低くする
- 最初の微生物数(初発菌数)を少なくする
- 保存料や日持ち向上剤を添加する
などが挙げられます。
これらの方法は、いずれも漬物製品中の微生物数を少なくすること、微生物の繁殖を抑えることが目的です。
浅漬の場合、一般的に食塩濃度が低く(2~5%)、最近では保存料の使用が避けられる傾向にあります。また、加熱殺菌は微生物数を少なくする方法として有効ですが、浅漬は野菜本来の新鮮な風味が好まれるため加熱殺菌を行いません。したがって、微生物数を少なくするためには、第一に原料の微生物数を少なくすること、第二に製造中の微生物汚染・繁殖をできる限り防ぐことが大切になります。
1 原料の微生物数を少なくする
漬物の原料となる野菜の表面には、土壌から様々な菌が付着しています。浅漬類の変質は、主としてこの付着した微生物の増殖によっておこります。そこで最初の工程として、原料野菜を十分洗浄することで微生物を取り除き、初発菌数を少なくします。
原料野菜は新鮮なものを用い、病害虫や輸送などにより傷ついた部分は取り除いてください。そして、野菜の付着物(土、ワラ、枯葉など)をできるだけ早い時期に取り除いてください。もし、野菜洗浄ができなければ、荒漬後に洗い落すことです。洗浄時期を遅らせることは、微生物数を多くする原因になりかねません。
野菜の洗浄法としては、
- 流水洗浄
- 熱水洗浄
- 噴射洗浄
- 洗剤を用いた洗浄
- 塩素水洗浄
- 超音波洗浄
などがあります。
これらの中で、浅漬類の野菜洗浄法として考えた場合に、費用もあまりかからず効率的な方法は、(1)と(5)です。このうち、(1)の流水洗浄は最も簡単な方法ですが、葉の大きな白菜、キャベツ、広島菜などの洗浄にはあまり効果がありません。そこで、漬物製造で一般的に行われている(5)の塩素水洗浄について説明します。
塩素水洗浄(塩素殺菌)法とは、塩素の化学作用によって野菜の表面付着微生物を殺菌する方法です。塩素水洗浄は、塩素濃度と浸漬時間が非常に大切です。野菜の種類によって条件を変える必要はありますが、塩素濃度が低かったり、浸漬時間が短かったりすると殺菌効果はなく、逆に濃度が高すぎたり、浸漬時間が長すぎたりすると野菜の緑色が変色したり、塩素臭が残存したりします。
塩素水の調製に一般的に利用される次亜塩素酸ナトリウムはpH5~7の酸性域で最も高い殺菌作用を示すため、有機酸等でpH調整することも有効です。使用上の注意点としては、次亜塩素酸ナトリウムはpH5以下の酸性条件で塩素ガスを発生するため危険であること、水に溶けている塩素量(有効塩素量)は徐々に減少するため、その量を適宜チェックし、次亜塩素酸ナトリウムをつぎたしていくことが大切です。
なお、平成28年10月に改正された漬物の衛生規範(厚生労働省)では、浅漬原料の洗浄・殺菌について、以下のように定めているため、参考にしてください。
漬物の衛生規範(平成28年10月6日付け生食発1006第1号)
第5 食品等の取扱い
1 (8) 次のいずれかの方法により殺菌を行うこと。
1) 次亜塩素酸ナトリウム溶液(100mg/lで10分間又は200mg/lで5分間)又はこれと同等の効果を有する亜塩素酸水(きのこ類を除く。)、過酢酸製剤、次亜塩素酸水並びに食品添加物として使用できる有機酸溶液等で殺菌した後、流水で十分すすぎ洗いすること。塩素濃度の管理を徹底し、確認を行った時間、塩素濃度及び実施した措置等を記録すること。
2) 75℃で1分間の加熱、又はこれと同等以上の効力を有する方法で殺菌すること。温度管理を徹底し、確認を行った時間、温度及び実施した措置等を記録すること。
2 製造中の微生物汚染・繁殖をできる限り防ぐ
工場内を清潔にし、機械類、処理台などは作業の前後に十分洗浄することが大切です。工場内での落下菌等による二次汚染も無視できないものです。そして、野菜をあつかう手や衣服は常に清潔に保つよう心がけてください。
また、漬け替え時に、水洗い(塩ぬき)した場合には、塩分が低くなり微生物が増殖しやすいので、できる限り早く次の作業(漬込み)を行うことが大切です。
また、温度管理は重要で、漬物工場から食卓まで漬物を低温に保つことが必要になります。小売店には冷蔵陳列も普及していますが、工場でも毎日の生産量に応じた容量及び冷却能力のある冷蔵庫を設置しなければなりません。また、遠距離輸送の場合など、冷蔵車の導入も効果的でしょう。
浅漬けの塩分濃度を高くするには限度がありますが、気温の高い時などには高めにすることが必要でしょう。
浅漬類は乳酸醗酵をほとんどしていないので、0.3%程度の酸を添加することは、味と保存性の向上に役立ちます。しかし、緑色野菜の場合には酸の添加量が多すぎると、pHが低くなり、葉緑素(クロロフィル)が分解し退色しますので注意が必要です。
その他に調味液に有機酸や植物由来抽出物などの日持ち向上剤を添加すると、ある程度の日持ち向上効果が得られますが、入れすぎると味に影響があるため注意してください。
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