令和4年度林業技術センター研究成果発表(ホームページ開催)について
林業技術センターでの研究内容をご紹介します!
林業技術センターでは低コスト・高収益の林業経営の実現に向けて,成長が早く材質が良好で,伐採後も萌芽更新が可能な「早生樹コウヨウザン」の調査・研究に取り組んでいるところです。
今年度に実施したコウヨウザンの初期成長,獣害対策,木材利用に係る5課題についての研究成果のほか,森林・林業の現場の課題解決に応用できる基礎技術を確立するための研究成果について報告いたします。
当センターでは,研究開発や技術支援の成果を広く活用していただけるよう,引き続き取り組んでいきますので,皆様のご支援をよろしくお願いいたします。
発表方法
今年度は昨年度に引き続き,新型コロナウイルス感染拡大リスクを考慮し,本ページで研究成果・事例(下記リンクよりダウンロードください)とその内容に関する質疑を公開・共有することにさせていただきました。
ご意見・ご質問の受付は令和5年2月3日(金曜日)から2月24日(金曜日)12時まで行いました。
研究成果・事例の紹介
広島県内に成育しているコウヨウザン (PDFファイル)(688KB)
コウヨウザン植栽試験5成長期の記録 (PDFファイル)(629KB)
単木保護によるコウヨウザンの獣害防除効果の検証 (PDFファイル)(538KB)
広島県産コウヨウザンのヨウ素法によるミクロフィブリル傾角測定 (PDFファイル)(613KB)
25年生コウヨウザンから採取したラミナの強度性能 (PDFファイル)(792KB)
深層学習のドローン空撮画像への適用 (PDFファイル)(585KB)
ドローンと航空機レーザ測量を併用した皆伐出材材積の推定 (PDFファイル)(741KB)
まとめてダウンロードしたい場合はこちら
質疑応答
皆様から頂いたご質問について,お答えいたします(2023年3月9日更新)。
広島県産コウヨウザンのヨウ素法によるミクロフィブリル傾角測定
Q1: 未成熟材に関してのミクロフィブリル傾角(MFA)測定結果で,特にサンプルごとのばらつきが大きいように見受けられました。このばらつきが個体の遺伝子由来なのか,あるいは生育環境による影響が大きいのか,その点が気になりましたがどうなのでしょうか。それと,成熟材部のMFAの測定結果についても知りたいです。
A1: ミクロフィブリル傾角は遺伝的要因であると言われています。しかし,生育要因も影響するとの意見もあります。遺伝的要因が大きく,生育要因も影響すると考えています。成熟部のミクロフィブリル傾角は次年度に測定予定です。
25年生コウヨウザンから採取したラミナの強度性能
Q1: 今回の試験結果で,ラミナの種類によりMOE(ヤング係数)とMOR(曲げ強度)の相関関係が異なった要因について教えてください。(同一丸太から異なる種類のラミナを製材されているのに,ラミナの種類によって結果が異なる理由を知りたいと思っています。)
A1: ラミナの種類によりMOE(ヤング係数)とMOR(曲げ強度)の相関関係が異なった要因については,明確ではありません。結果として製材所でエッジボードはヤング係数が高めの原木から,デッキボードとケタはヤング係数が低めの原木から製材されていたようです。このほか,丸太の外側,内側のどこで木取りをしたか(一般的に外側は硬めで内側は柔らかめ),試験材の大きさや形状(寸法効果)の影響,あるいはこれらが複合的に作用している可能性もあります。
ドローンと航空機レーザ測量を併用した皆伐出材材積の推定
Q1: 空中写真からの樹種判別及び樹頂点抽出は,どのようなソフトを使用されたのか,差し支えなければ教えてください。また,今回の判読・抽出の各精度がどの程度か分かれば教えてください。
A1: 用いたソフトはQGISです。樹種判別は事業地が約1haで小面積であったため,冬季に撮影した写真から,速くて正確な目視により行いました。1~3月はスギとヒノキの樹冠が異なる色に変色するため,目視による判読が容易に可能です。樹頂点抽出の精度は98%でした。
Q2: 現地での胸高直径測定をもとに,樹高から胸高直径を推定する計算式を作成されたとのことですが,当該計算式は,他の林分でも活用可能なものでしょうか? それとも,他の林分で同様の推定を行う場合は,改めて現地での胸高直径計測が必要となるのでしょうか? また,他の林分でも活用可能な場合,今後,計算式を公開されるご予定はあるでしょうか?
A2: 樹高から胸高直径を推定する式は,基本的には立木密度,林齢,地位等により異なるため,場所ごとに式が必要と考えています。大まかに総材積だけを求めればよいのであれば,他の場所の式の流用も要求精度によっては可能かもしれません。今回は金額の算出まで必要でしたので,誤差が大きいと影響が大きいことから,当該事業地でのサンプル調査を実施しました。なお,計算式の公開予定はありません。
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