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「男だから」「女だから」の思い込みの解消に向けて!『わた生きゼミ3つのテーマの集大成~みんなの発表会~』を開催しました。

印刷用ページを表示する掲載日2023年3月2日

ジェンダー(社会的・文化的な性別)による格差などの社会的な構造や問題は,私たちの日頃の行動が作り出している!?

 広島県では,令和4年度,「男だから」「女だから」といった,性別による思い込みの解消を目指して,「男性の家事・育児」「学校生活とジェンダー」「子どもとメディア」の3つのテーマで,「わたしらしい生き方を選択するためのワークショップ\わた生きゼミ/」を開催してきました。(★ページ下部に各テーマの実施報告のリンクを掲載しています。)
 今回は,3つのテーマの集大成となる,「\わた生きゼミ/みんなの発表会」をエソール広島で開催し,ゼミの参加者が,ゼミの内容や,参加してみての気づきなどを発表しました。また,県立広島大学の上水流久彦先生の進行により,ジェンダーに関する課題について,参加者同士で話合い,発表するグループワークを行いました。

\わた生きゼミ/みんなの発表会

実施内容

日時
令和5年2月18日(土曜日)10時00分~12時00分(12時00分~12時30分までは出入り自由の交流タイム)
会場
エソール広島(広島市中区大手町1-2-1 おりづるタワー10階)
進行役

上水流 久彦(かみづる ひさひこ)さん
(県立広島大学教授(地域基盤研究機構長,学長補佐))
進行役写真

参加者

22人

プログラム

わた生きゼミ参加者による発表会

《 テーマ1「男性の家事・育児編」 》

発表者:橋本 洋輔さん
(日本アイ・ビー・エムデジタルサービス株式会社,「男性の家事・育児編」進行役)
橋本さん写真

印象に残った発表

「育休も産休も『休み』ではないよ」
育休は休みじゃないよ
「休」という言葉で誤解されがちだけど,実際は大忙し!

「うちは育家族です」
育家族
「イクメン」と褒められこともあるけど,うちは家族全員がお互いを育て合う「育家族」です!

「男性なのに育児して偉いね!」
男性なのに育児して偉いね
育児において,女性は主役で,男性は手伝うと褒められる脇役?いいえ,両方が主役です!

ゼミに参加して気づいたこと

同じ立場同士で話してみると,みんな同じようなことにモヤモヤを感じていることが分かった。みんながモヤモヤするのなら,それを声に出して発信していくことが大切だと気づいた。

ゼミに参加した後の変化

性別に関する固定観念に係るモヤモヤに対するアンテナのようなものが敏感になったと感じる。今までは,気に留めていなかったような,インターネットや街中にある言葉が気になることが増えた。固定観念を無くすための第一歩は,固定観念の存在に気づくことだと思うようになった。

 

《 テーマ2「学校生活とジェンダー編」 》

発表者:佐藤 祥花(さとう さちか)さん
(広島修道大学学生,「学校生活とジェンダー編」進行役)
佐藤さん写真

印象に残った発表

「#なぜ肌ツルツルがあたりまえ??」
肌ツルツルがあたりまえ?
脱毛や美容など,女子の外見について「こうあるべき!」を押し付けないで!

「#名字って変えなきゃダメ?」
名字変えないとダメ?
結婚して名字が変わると困る人(特に女性)も多いはず。夫婦別姓という選択肢があってもいいかも!

ゼミに参加しての気づきや感想

・女性だから化粧に興味があるという訳ではなく,あまり好きでない人もいると気づいた。社会に出ると,「女性らしい姿=化粧した姿」を求められることに違和感を感じた。「女性らしい」「男性らしい」ではなく「自分らしい」選択ができる社会になっていけば良いと感じた。

 

《 テーマ3「子どもとメディア編」 》

発表者:片元 彰(かたもと あきら)さん
(NPO法人ファザーリング・ジャパン中国代表理事,「男性の家事・育児編」と「子どもとメディア編」で課題提起と進行役)
片元さん写真

印象に残った発表

娘と買い物した時に「好きなものを選びなさい」と言ったけど…
好きなものを選んでいいよ
娘が持ってきた商品が青や黒だった時に,ついつい赤やピンクを勧めてしまった。今度からは,本人の選択を肯定します!

テレビでよく見る「将来の夢ランキング 男の子編 女の子編」
将来の夢
男の子と女の子で分ける必要あるの?将来の夢が女の子編上位の仕事だという理由で,息子が悩んでたら,自信を持てるように後押しします!

ゼミに参加して気づいたこと

ゼミの参加に伴い,テレビなどのメディアを注意して見てみると,自分たちが子どものころに比べると,かなり配慮されていると気づいた。

ゼミに参加した後の変化

・モヤモヤを感じるアンテナが敏感になった。
・参加者から,子どもをメディアにあまり触れさせず,かつ,親からも固定観念を植え付けるような声掛けもしていないにもかかわらず,息子に「かわいいね」というと,「違う!かっこいいの!」と言われたという話を聞いた。このような意識がどこから来るのか,これからどういう風に変えていけばよいのかについても気になり始めた。

 

発表者との意見交換

(参加者からの意見)
・自分は「男性の家事・育児編」に参加したが,大変有意義な時間で,他のテーマではどんな話をしていたのかが気になって参加した。今回,「学校生活とジェンダー編」の発表を聞いて,学生の本音を聞くことができた。これをきっかけに,会社に来る学生をはじめ,周囲の人との接し方や関わり方を見つめ直したいと思った。
(発表者の回答)
・私の参加した「学校生活とジェンダー編」は,学生同士で集まってワイワイ話していたので,今回発表したことで,初めて上の世代からのリプライを受けた形になった。このように発信していくことで,関わり方を考えてくれる人もいるということに気が付いた。上の世代と学生がそれぞれどう感じているかについて,交流して言い合える環境がもっとあるとよいと思う。

(参加者からの質問)
・女子大生という言葉はよく聞くが,男子大生という言葉はほとんど聞かない,女子大生という言葉には,女子で大学で学ぶのはレアケースというところから来ている言葉だと思う。女子大生という立場で,感じるメリットやデメリットまたは言葉に対するイメージを教えてほしい。
(発表者の回答)
・確かに,女子大生に比べて,男子大生という言葉を聞く機会の方が少ないとは思う。学部にもよると思うが,実際のところ,大学に通う女子がレアケースだとは感じたことが無いし,学生や先生からも特別視されたこともない。

意見交換意見交換2

 

課題提起・グループワーク

進行役の上水流先生から,課題提起として3つの問いを設定し,各問についてグループで話し合い,意見を発表しました。

【課題提起の問いかけ3問】
   
問1  これらの駄言の中で問題だと思ったもの,もしくは問題だと普段は思っていなかったものを各自3つ挙げて,その理由を共有し,発表。
※駄言…「女はビジネスに向かない」のような,思い込みによる発言。特に性別に基づくものが多い。相手の能力や個性を考えないステレオタイプな発言だが,言った当人には悪気がないことも多い。
問2 女性教員,男性教員,男子友人,女子友人が,女子学生のファッションをほめるのは,それぞれ○か,×か。
問3 女性の管理職30%にする目標は,男性への逆差別か否か。

(「早く絶版になってほしい #駄言辞典」(2021年 日経×woman編)から,42の駄言(※)をピックアップし,参加者に配布)

駄言辞典

問1
これらの駄言の中で問題だと思ったもの,もしくは問題だと普段は思っていなかったものを各自3つ挙げて,その理由を共有してください。その上で,グループで発表する3つの駄言を決めてください。

グループワーク1

【グループの主な意見】

「子育てと仕事の両立は?」
必ず母親だけに向けられる言葉で,父親は聞かれないと思う。子育ては子育て,仕事は仕事でそれぞれ精一杯やっているというのが実際のところ。

「生理痛は甘え」
身体のことをどうにかしろと言われても困る。

「デート代は男が払うの,当たり前でしょ」
昔から話題に挙がっては消えていくを繰り返している言葉。これは当事者同士の話であって,正直なところどうでもいいと思ってしまう。第三者が「こうあるべき」と言ったところでどうしようもない。

「いざとなったら結婚すればいいもんね」
最近はあまり聞かなくなったが,女性に対する差別的な発言だと思う。

「女性は男性よりコミュニケーション能力が劣っているから昇格させられない」
「女性が」「男性が」で括ってしまうと,主語が大きすぎる。コミュニケーション能力は個々の能力で,性別は関係ないと思う。

「これだから女は使えない」
こんなことを言われたらカチンとくる。

グループワーク2

【上水流先生のコメント】
○「子育てと仕事の両立」という言葉が女性にばかり向けられてしまっているというのは,その通り。
○誰が誰に向けて言っている言葉なのか,つまり,誰にとって都合の良い社会を作ろうとしているのかを考える必要がある。
○「女性は男性よりコミュニケーション能力が劣っている」だとか,「女性は気が利く」などという言葉は,男性側が自分の価値観や主張を押し付けたいときに,女性をひとくくりにして都合の良い言葉に当てはめている時に使う言葉の例。
○「これだから女は使えない」という駄言は,能力に性別は関係ないにも関わらず,たった一つの例をもって,その人を女性代表のように扱う「n=1」という問題はたくさんある。「誰が使って,何をしようとしている言葉なのか」を考えることが大事。

 

問2
女性教員,男性教員,男子友人,女子友人が女子学生のファッションをほめるのは○か,×か。

グループワーク3グループワーク4

【グループの主な意見】

○容姿ではなく純粋にファッションのことについてほめるのはありだと思う。
○一概には言えないが,立場上,男性教員が褒めるときは特に注意が必要。
○ほめ方にもよると思う。「その服素敵だね」は良いと思うが,「そのスカート短くてかわいいね」など,内容が踏み込んだものになると少し警戒するかもしれない。

グループワーク4

【上水流先生のコメント】
○この問いは,具体的なシチュエーションによるため,一概に○か×かを言えないということが前提で,一つの意見だと思って聞いてほしいのだが,個人的な意見としては「全て×」と考えている。
○「女子学生のファッション」を取り上げたのは,女性の方が見た目に注目される環境にさらされる機会が多いことや,誉め言葉として使われる「かわいい」という言葉に注目してほしかったため。
○私(男性)は,これまで見た目について話題に上げられたことはほとんどないが(笑),周囲の女性は,容姿やファッションが話題になることが多い。
○子供の頃から「かわいいね」と女の子を褒め続け,見た目を話題にすることで,女性は常に見た目やファッション,かわいらしさを気にしないといけないのではないか,かわいいことに価値があるのではないか,という一種のプレッシャーを与えているのではないかと思う。
○人を喜ばせる言葉にこそ,人を従わせる力があると思っている。この問いに限らず,社会構造に潜む思い込みのような大きな問題は,身近な行動から来るものだということを是非考えてほしい。

グループワーク3

 

問3
女性の管理職30%(※)は男性への逆差別か否か。

※2030年代に社会の指導的地位に占める女性の割合を30%程度にするとした国の目標

グループワーク5

【グループの主な意見】

グループワーク6

「逆差別にならない」と思う
○管理職になる人というのは,選ばれた特別な人というイメージがあるが,結婚や出産をしてもこのようなキャリアを築ける人がいると,心強いと思うしモチベーションも上がる。
○女性の管理職が少ないという現状は,これまで女性が管理職になる機会を奪ってきていると言えるため,是正する必要があると思う。

「逆差別だ」と思う
○管理職の数は限られていると思うが,目標値を達成するために企業では女性が管理職になるハードルは下がり,男性が管理職になるためのハードルは高くなってしまう。

【上水流先生のコメント】
○この問いについてもよく反発を受けるが,個人的な意見としては「逆差別にならない」と思う。
○これまで,男性は(一般的に,就職において有利だったり,子供がうまれても多くの女性のようにキャリアを中断する必要がないなど,仕事に注力できる環境に身を置くことができるなどの)下駄を履かされてたために,男性管理職が多いのが現状。
○この現状を,本気で変えようと思った時は,しっかりと数値目標を設定する必要がある。
○経済的な発展という側面から見ても,諸外国は,男性に限らず能力のある人全員で経済を回している時に,性別で能力に差がないにもかかわらず,日本は人的資源の半分の男性によって経済を回そうとしていることになる。日本の経済の発展を阻む問題は,そういったところにあるのではないか。

グループワーク7

 

 

まとめ

進行役の上水流先生から次のように全体をまとめられました。

○私らしく生きるために一番大事なことは,本人たちの意思の尊重である。が,その時,社会的な大きな仕組みというものも一緒に考える必要がある。
○今日の話に出た,男女どちらがデート代を払うかなどは,個人の自由だと思う。
○しかし,その根底には,男性の方が出世して稼ぎやすく,女性はそうではない,という社会の構造があるということは考えていかなければならない。
○こうした社会的な構造や問題は,今日話した「かわいいね」と褒めることもそうだが,自分たち自身が日頃行っている身近で何気ない行動の中で作られているものだと思う。
○日頃の行動の中にこそ,大きな問題を変えていく手掛かりがある。だからこそ,このようなゼミを通して私たち自身の意識を変えていく必要があると思うし,身近なところから発信していくことが重要だと思う。
○大事なことは,「違うんじゃない?」と思うことには勇気をもって声をあげること。​

まとめ1まとめ2

 

参加者の感想

・大変考えさせられる内容だった。社内でも共有していきたい。
・自分の固定観念がガチガチで,ジェンダー意識が低いことを感じた。これを機に,ジェンダーアンテナを磨いていきたいと思った。
・女性らしく,男性らしくではなく,自分らしくを大切にできる社会にしていきたいと思った。
​・世代の違う方々との交流はとても新鮮で楽しかった。また機会があれば参加したい。

風景1風景2

チラシ

広島県では,「男だから」「女だから」といった思い込みを解消し,わたしらしい生き方が選択できる社会の実現に向けて取組を続けていきます。
今後の,広島県の取組にご期待ください!

ダウンロード

(チラシ)わたしらしい生き方を選択するためのワークショップ\わた生きゼミ/ 思い込みの解消が未来を拓く「みんなの発表会」 (その他のファイル)(418KB)

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