「元気なひろしま」インタビュー

前田 琢己 さん
広島電鉄株式会社
広島市出身。2010年に広島電鉄株式会社に入社。不動産部門で経験を積んだ後、広電沿線の日常を豊かにする取り組み『生活沿線 宮島線』をはじめ、さまざまな地域づくり活動に携わる。

「お気に入りの場所」が暮らしを豊かにしていく
地域の方々や乗り換えのお客様が日常のちょっとした時間を楽しめて、心豊かになれるようにと、広電西広島駅前で憩いと交流の場『KOI PLACE』を運営しています。老若男女がコーヒー片手に寛ぎ、子どもたちが芝生広場で遊ぶなど、過ごし方に選択肢が増えて、駅前に新しい風景が生まれていると感じます。
広島のまちと暮らしの魅力を深掘りする県の取り組み『DIG:R HIROSHIMA』でも、地域にある「お気に入りの場所」を共有し、「感じよい暮らし」に繋げていきたいです。

ちょっとした時間を楽しくする公園づくり
広島電鉄に入社してからは不動産部門で宅地開発や新しい施設の開発などを担当していました。現在は地域共創部門に所属し、『ひろしまゲートパーク』や『ひろしまスタジアムパーク』などの公園利活用から、各地域のエリアマネジメント活動など、主に社外の方々と連携しながら地域づくり活動を行っています。
その中でも、中心となって取り組んでいるのが『KOI PLACE』です。広電西広島駅前にあった『ひろでん会館』というビルが老朽化で取り壊しが決まったことと、周辺で再開発の動きが出てきたことから、暫定的に『ひろでん会館』の跡地を活用する期間が生じました。
まちの変化が顕著に進む中で、まちのことを考えるきっかけになるように。また、そもそも乗り換え利用が多い場所なので、せっかくなら次の電車までの時間や、日々のちょっとした時間を楽しめることがしたいと考えたんです。
そうして2020年にオープンしたのが、広場を中心にテイクアウトの飲食店舗や休憩もできる屋内スペースなどを備えたパブリックなスペース『KOI PLACE』。コーヒーや軽食を買って好きなスタイルで楽しんでいただけるほか、マルシェや野外映画の上映などのイベントもしています。

地域への効果につながる場所に
芝生の上を楽しそうに駆けまわる子どもたちにお年寄りの方がにこやかに話しかけるなど、世代を超えた交流が生まれている様子や、学校帰りの高校生がハンモックに揺られながら気ままに過ごしている姿を見るとうれしくなりますね。『KOI PLACE』を通じて、駅前に笑顔が増えたと感じます。
ただ、人が集まることに満足するのではなく、周辺地域への波及効果も意識しています。西広島駅周辺はナショナルチェーン店が少なく個性豊かなお店がたくさんあり、また「植木・盆栽のまち」という文化もあるなど、味わい深さを感じるまち。
この地域の魅力をより高めることで、例えば「西広島でお店をやってみたい」という人が増えるなど、駅周辺での選択肢が増え、また人が集まって、笑顔が増えて…と、いい循環になってほしいなと思っていて。
これから、『KOI PLACE』の店舗スペースを活用して「シェア店舗」を実施しようと考えています。曜日や時間で店舗を貸し出すことで、自分の店を持ちたい、西広島でお店をやりたいといった「きっかけ」づくりにつながってほしいです。
これは『DIG:R HIROSHIMA』との連携事業『SHARE the BLANK』の一環として取り組みます。空間だけでなく、シェア店舗を行うまでのプロセスも「シェア」しようということで、プロジェクトメンバーと一緒にルールを考えるほか、1週間限定(4/24~30)で使いこなす実験をしていきます。

まちの魅力は、日々の暮らしの中にこそ存在する
広島電鉄が運営する路面電車の路線には、広島市内中心部をカバーする「市内線」をはじめ、広電西広島駅から宮島の玄関口である広電宮島口駅までを結ぶ「宮島線」があります。
私たちは宮島線沿線の魅力を伝え、沿線の豊かな日常を地域とともにつくるプロジェクト『生活沿線 宮島線』にも取り組んでいます。これまでに沿線で活躍されている方々のトークイベントや、「宮島線21駅で出会える風景」のポスター展、実際に足を運んでもらうための周遊イベントなどを行ってきました。
まちの魅力は、有名な観光地や大きな施設だけでなく、日々の暮らしの中にこそたくさんあふれていると思うんです。
ご近所さんたちから長年愛されているお店や、まちの歴史を伝える小さな公園など、地域の方が誇っていることや、住んでいると当たり前に感じることが、実は隣町から見るととても魅力的だったりする。そんな「ありのままの魅力」を伝えたくて、沿線に住む方や関わる方に「身近にたくさん良いところがありますね」と、地域の魅力を共有しています。

地域に愛着が湧けば、住んでみたくなる
お店や人、雰囲気など、「お気に入り」なことが増えれば増えるほど、その地域に対する愛着は増していくはず。その愛着が、「このまちで暮らしたい」「このまちで働きたい」という気持ちにつながっていくと思うんです。広島電鉄の地域づくり活動は、常に「生活する人」を主語にしています。
広島県の官民連携プロジェクト『DIG:R HIROSHIMA』もまた、まちの新たな魅力を知り、暮らしの選択肢を増やしてもらうための取り組みです。広島電鉄も同プロジェクトに参画し、共創しています。
同プロジェクトが昨年春に開催した『CITY SCAPE!』というイベントのときには、広島市内中心部の周遊性と滞在性を高めることと、移動の選択肢を増やすことを目的に、シェアサイクルなどのさまざまな事業者と連携し、シェアサイクルポートづくりの実証実験を行いました。
先ほど話した『SHARE the BLANK』も、『DIG:R HIROSHIMA』との共創事業です。手段は異なりますが、「暮らし」への目的は一緒です。

人間らしい、心豊かな生活ができる広島
私が感じる広島の良さは、「人間らしい生活」ができるところ。食べ物はおいしいし、お好み焼きのソースの匂いもいい。川を眺めながら空も見えるし、海や山といった自然との距離が近くてアクティブに楽しむこともでき、それらを含めて情緒豊かになれる要素が多い。
さらにスポーツチームがたくさんあって、街なかのスタジアムで当たり前にスポーツ観戦ができることも広島暮らしの醍醐味ですね。スポーツ観戦って、感情が大きく揺さぶられるものじゃないですか。広島はそうした心の豊かさが得られるまちであり、歴史的な背景も加えて、世界に誇れる魅力だと思うんです。
今後もさまざまな地域共創の取り組みを通して、「広島に住んでいてよかった」「広島に関わってよかった」と誇れる人を増やしていきたいです。
もっと素晴らしいひろしまへ!
豊かで穏やかな風土、平和への想いと行動力はひろしまの誇り。県民一人ひとりが大好きと思えるひろしまの素晴らしさがきっとある。より良いひろしまへ、みんなで創り上げていこう!

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