法人名 | 広島イーグル株式会社 |
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所在地 | 広島県山県郡北広島町新氏神6番地 |
URL | https://www.ekkeagle.com/jp/hek/ |
広島イーグル株式会社(山県郡北広島町)
プレス加工部品・切削加工部品の技術を駆使し、年間数億個の製品を作り出すモノづくり企業。社員数は約200名のうち8割が男性です。
取材に答えてくれたのは...
業務部 部長兼 業務課 課長 大石 俊也(おおいし としや)さん
男性育児休業を含む働き方改革推進の責任者。社員の言葉に耳を傾け、社員が幸せを感じられる職場づくりに邁進しています。
「広島イーグル」では、創業時の2009年から男女問わず育児休業制度があり、法改正のたびに社内に説明資料を配布し、周知活動を行ってきました。しかし数年前までは、制度を活用した男性社員はゼロ。ここ数年の社会的な流れを受け、男性育児休業の注目が高まると、本人の申し出により2018年度に第一号が誕生しました。前例ができたことで社員の意識に変化が生まれ、2019年度に1名、2022年度に2名、2023年度に3名が取得。これまで延べ6名が取得しました。じわじわと実績を伸ばし、取得率は25%に上昇しています。
育児休業取得にあたり、「本当にできるのか?」「取得した方がいいのか?」といった漠然とした疑問から「現場に迷惑をかけないか?」「収入面は大丈夫なのか?」といった具体的な悩みまで、社員の皆さんは不安を抱えています。なかには様々な要因から取得を断念する社員もいたそうです。「不安を解消するには丁寧な話し合いが必要です。収入面、休業中の仕事の振り分けなど、一つひとつ解消してあげることで、本人が安心して休める環境をつくっています」と大石さん。働き方改革の一環として業務効率化を進め、マニュアル化や無駄な仕事の排除などを行い、引継ぎしやすい環境を整えました。現在は、育児休業の意思確認後、早い段階で調整を始め、親会社とも連携しながら綿密なスケジュール管理を実施。スムーズな引継ぎを実現しています。
この引継ぎは、本人だけでなく周りの社員に対しても良い影響を与えました。引き継いだ新たな仕事は、若手社員のスキルアップに繋がり、業務の属人化を防止。実際に育休を取得した製造技術課の漆谷成樹さんは、「育休前は何でも自分でしないと気が済まず、仕事をため込む癖がありました。育休を機に仕事を他の人に任せることができるようになり、心の余裕も生まれています。周りのスキルアップに繋がっただけでなく、自身の生産性も向上したと感じています」とコメント。育休中も社用パソコンを自宅に置くことで、職場で共有される連絡は伝わるようになっています。復帰後もブランクを感じることなく、仕事に取り組める工夫がされていました。
取得期間の実績は2週間から半年と様々。半年という長期のモデルケースができたことで、今後取得予定の社員の選択肢も広がりました。また女性社員も産休育休が取りやすくなり、大きなメリットが生まれています。そのほかに子どもの看護休暇や在宅勤務制度もあり、生活に合わせて働き方を選べる選択肢を揃えました。「男女問わず社員の安心感に繋がることが大切。モチベーションのアップにもなり、社内全体にいい影響を与えます」と大石さん。育児休業をはじめとする働きやすい環境づくりは、求人募集の際にも大きなPRポイントになっています。
実例が増えてきたことで概ね環境は整ったと感じている「広島イーグル」では、次の段階に向けて動き始めています。「当社としては、どんどん育児休業を取得してほしいと考えています。制度を活用した社員にはヒアリングを行い、より活用したいと思えるよう発展させ、出生率を引き上げていきたいです。これからも大切にしていきたいのは丁寧な聞き取り。それぞれの事情や状況を細やかに捉えていくことで、更なる促進に繋がると思います」と大石さん。漆谷さんも「社員の中に育児休業がダメだという意識が全くなくなりました。休むことは罪でも悪でもない。育児休業を取ることが当たり前の風潮が根付いてきているのを感じています」と話します。目指すのは、男性育児休業取得率100%! 今後は給与の補てんなども含め、更に取得しやすい環境づくりに努めていく予定です。
製造技術部 製造技術課 主任 漆谷 成樹(うるしだに なるき)さん
産後、両親に頼ることができず、妻にこの制度を活用して休業することを伝えると、とても喜んでくれました。妻の不安を取り除くことができ、安心して出産に挑めました。出産後は、私が家事全般を担当。休業明けには、2人を置いて出社することが不安なほど、濃厚な時間を過ごすことができました。
(取材日 2023年11月)