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「女性が働きやすい環境を追求した結果、活躍推進へとつながった」

社会保険労務士法人サトー

  • サービス産業
  • 広島市
  • 31~100人
両立・継続支援登用職場風土
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会社概要
企業名 社会保険労務士法人サトー
所在地 広島市中区中町7-41 広島三栄ビル8階
URL https://www.sato-co.jp/p
業務内容 1985年創業。社会保険・労働保険、給与計算、助成金申請等各種代行業務、労務相談に加え、人事制度や社内規定の整備、採用や人材育成等のアウトソーシング業務、人事労務コンサルティング業務まで企業の人事・労務に関わる業務をワンストップで提供する。広島で約40年の実績を持つ県内最大手の社会保険労務士法人。
従業員数 66名
女性従業員比率 83.3%
女性管理職比率 72.7%

(2022年1月時点)

改革の
point
  • 「長く働いてもらうには」と考えた結果、柔軟な働き方が実現できる職場に
  • 有資格者以外でも得意領域を生かした専門的な働き方ができるような組織づくり
  • 創業者のスピリットを引き継ぎ、組織としてさらなる成長を目指す

広島市の中心部、中区中町にオフィスを構える社会保険労務士法人サトー(以下、サトー)は、従業員規模で県内最大規模を誇る大手社会保険労務士法人だ。豊富な人材を柱に、社会保険・労働保険、給与計算、助成金申請等各種代行業務などを主軸とする労務相談事業だけでなく、人事労務全般のアウトソーシングをはじめ、コンサルティング事業や、DX支援など、幅広いサービスを提供している。
女性従業員比率は83.3%と多くの女性が活躍する同法人において、働きやすい職場環境整備や、人材育成方針について、話を聞いた。

1.「長く働いてもらうには」と考えた結果、柔軟な働き方が実現できる職場に

「前代表が事務所を設立した当初は、女性はいわゆる補助的な業務を担うことが多かったのですが、丁寧な作業や細かい気配りが得意だったり、コミュニケーション能力が高く、提案力に長けた女性がいたりと、それぞれに強みをもった女性が多く在籍していました。
前代表の時代から、長所を伸ばす育成方針で適材適所で業務の機会を提供し、今では組織風土として根付いています。結果的に、多くのプロフェッショナルスキルをもった女性が活躍していますし、組織としても、社会保険手続きや給与計算業務といった基幹業務にとどまらない、多角的な事業を展開できるまでに成長することができました。」と、代表社員の木本美智氏(以下、木本氏)は言う。

前述のように、同法人の強みは豊富な人材だが、社労士の業務特性上、年間を通じて繁忙度に波があるものの、以前は慢性的な長時間労働で従業員に重い負荷がかかっていた時期があったという。
「当社は正社員だけでなくパートタイムの方も多く在籍しています。職種区分にかかわらず、仕事が終わって家事や育児をするのは大変です。慢性的に忙しい職場環境では、仕事と家庭の両立に加えて、自身のキャリアについて次のステップを思い描くことは難しいと考えられました。これからライフイベントも迎える若手社員に対しても、働き方のロールモデルを示す必要があると感じていました」と、木本氏は振り返る。

仕事と家庭を両立し、長期的なキャリアの見通しも立てられるよう、働く時間に制約のあるパートタイム従業員でも、業務経験や成果、本人の希望を踏まえて短時間正社員へ登用する制度や、小学校の子をもつ正社員向けに、小学校卒業まで利用できる短時間社員制度などを整備した。また、業務繁忙期には、一時的に人員を補填することにより、一人ひとりの業務負担を軽減するような工夫もしたそう。

さらに、コロナ禍以前の2018年にリモートワーク制度を導入し、夫の転勤などで県外に転居する従業員が、働き続けられる仕組みを構築した。働く場所を柔軟にすることは、法人内ですぐ 小笠原様 に受け入れられ、現在も3名が同制度を利用し、県外から業務に従事している。

管理ITチーム小笠原弓子マネジャー(以下、小笠原氏)は、「制度をつくろうというよりも、できる限り長く当社で活躍してもらうにどうしたら良いか、皆で知恵を絞った結果、今の制度になったという感じです」と言う。

こうして、働きやすい環境に向け、さまざまな工夫を重ねてきた結果、仕事と家庭の両立が難しいことを理由に退職する従業員は、いなくなったそうだ。

2.有資格者以外でも得意領域を生かした専門的な働き方ができるような組織づくり

社労士業務には、労働や社会保険に関する法令に基づいた申請書作成や手続代行、帳簿作成業務等、法律で規定された独占業務がある。同法人では現在、女性の有資格者が3名在籍しているが、有資格者でない従業員も、高い専門性が求められる業務で自己研鑽を積みながら、重要な戦力として活躍している。

「当社は、正社員、パートタイムにかかわらず、プロフェッショナルとして継続的に知識をアップデートすることが求められる職種です。
そこで、各担当者の労働相談を一元管理して共有するシステムを構築したり、定期的に、勉強会を開催するなどして、情報の共有化や個人の知識習得をサポートしています。
また、業務経験を通じて得られるものも多くあります。クライアントによって、求められる知識の幅も深さもさまざまです。適宜フォローしながら、個々の意欲や成長に応じてクライアントローテーションなどを通じた新たな機会を与え、走りながら学び、成長してもらいたいと考えています」。

同社は、kyouritsu_02.jpg これまで主に未経験者を補助業務の従事者として採用し、育成してきた。しかし、現在では企業等で専門スキルを磨き、経験を積んだ中途採用者を、即戦力として採用することも増えたそうだ。
「例えば、人事総務部門で採用の経験を持つメンバーであれば、採用業務のアウトソーシングを担当してもらい、ITが得意なメンバーであれば、システム導入支援を行うチームで活躍してもらいます。当社はこれまで、お客様のニーズを汲み取り、サービスを充実させながら、法人として成長してきました。最近は提供する業務の柱が増え、社労士独占業務以外の領域でも多様な人材に活躍してもらえるようになり、男性メンバーも増えてきました」と、木本氏は言う。

また、2022年4月には初となる新卒採用者の入社が決まっているそうで、今後も、継続的に新卒採用を予定している。ジョブローテーションなどを通じてさまざまな業務を経験する中で、自身の専門領域や強みを見つけ、活躍できる体制も整えていくことを見据えているそうだ。

3.創業者のスピリットを引き継ぎ、組織としてさらなる成長を目指す

創業者である佐藤氏の時代から、「お客様の幅広いニーズに対応するとともに、時代を先読みしてチャレンジし続けよう」という考えでお客様と向き合い、お客様と共に成長してきたという同社。
四半期毎に開催される経営計画発表会の場では必ず、全社員で倫理綱領に定められた社労士の義務と責任について共有する時間を設けるなど、創業者の精神を後進に引き継ぐため、木本氏がその中心的な役割を担い、尽力している。

「専門領域を持った中途採用者や新卒採用者など、多様な人材が仲間に加わったことで人材の層が厚くなり、組織として新しい力になっていると感じます。社労士業は、自己研鑽と業務経験を重ねることで、お客様に対して高い価値を提供できると考えています。社員には、一歩ずつ着実にでも一気にでも良いですが、成長し続け長く働いてほしいと思っています。
社労士事務所での業務は、専門職という意味で、経験を積めばどこでも活躍できる職種ではありますが、やはり当社で活躍してもらいたいという思いがあります。
そのためにも、有給休暇をさらに取得しやすい環境の整備や、業務を定期的に見直すなど、働きやすい職場づくりに向けた継続的な取組が重要です。業務においても、新たなサービスを創出するなど、従業員がチャレンジできる機会を提供していきたいと考えています。一人ひとりが当社で働くことに誇りをもち、先代から受け継いだ『理想の社労士像』を、組織に根付かせていきたいですね」。

●取材担当者からの一言
社労士の業務は、法改正対応や時代の要請に応じて、常に変化への対応が求められる専門性の高い業務であり、人材育成は組織の要であるといえる。同社は、先に述べた「情報を共有するための仕組みづくり」と併せて、上位職が積極的にメンバーの成長に寄与している。部門内にとどまらないOJTを通じて経営層から管理職層、一般職層へと知識やノウハウを継承し、育成しているのだと感じた。
同社は、木本氏が代表社員としてリードするようになり、前代表から受け継いだ強みに加え、従前から活躍してきた女性管理職や女性従業員だけでなく、男性メンバーや新入社員など多様な人材が加わったことで、ダイバーシティな組織へとアップデートしている。今後、業界を牽引するインパクトある法人へ、さらなる成長を遂げていくのだと感じた。

●取材日 2022年1月
●取材ご対応者
代表社員 木本 美智氏
管理ITチーム マネジャー 小笠原 弓子氏