直近の感染状況については、先週7月21日に新規感染者数がこれまでの過去最多(1/28:1,599人)を更新しました。
初の2,000人台(2,344人)となり、その後も感染の増加傾向が継続しています。
年代別でみると、50代以下の感染増が著しい状況は変わりませんが、リスクの高い高齢者も増加しており入院患者数も増加が続いています。
今回の感染拡大では、本県よりも早期に感染拡大が始まった自治体が複数存在します。
それらの自治体での状況を踏まえ、ピークアウトの時期について検討しました。
このグラフは、感染者数の前週比を表したものですが、
・前週比が1(黒の破線)を上回ると感染者数増加傾向、
・1を下回ると減少傾向
にあることを示しています。
BA.5による感染拡大が先行した島根県では、
・感染拡大から1か月少し程度の期間で前週比が1を切り、
・減少局面に移行してきています。
多くの自治体で一定程度まで感染拡大した後は、その拡大スピードが鈍化しており、やがて減少局面に転じることが想定され、これは本県にも当てはまるものと考えています。
本県では、6月末から感染拡大傾向に移行しており、先行している他県の感染状況等を踏まえると、ピークアウトの時期は8月上旬から中旬になるものと予測されます。
こうしたピークアウト時期の予測をもとに改めて今後の感染者数をシミュレートしました。
次のグラフは8月上旬から中旬にかけて新規感染者数がピークアウトする場合の、病床への負荷のシミュレーション結果を示したものです。
8月中旬にピークアウトした場合、本県の最終的な確保病床数である、緊急フェーズ2※における病床使用率の8割近くにまで達する見込みです。
そういった状況ではかなり厳しい病床運用を迫られることにはなりますが、何とか、この感染拡大を乗り切ることができると考えています。
※緊急フェーズとは、一般医療の一部制限が必要となった場合の確保病床数
次に現下の感染拡大に対する県等の基本的考え方を説明します。
まずBA.5系統への置き換わりに伴う感染拡大は、本県だけでなく全国的な傾向ですが、この感染拡大への国の対応方針が、7月15日に国の対策本部で決定されています。
国では、現下の感染拡大への対応について、
等に機動的・重点的に取り組むとともに、
新型コロナウイルスと併存しつつ、平時への移行への移行を慎重にすすめていくことを示しています。
また、感染が大幅に拡大し、医療がひっ迫する場合には、行動制限を含む強力な感染拡大防止措置を講ずることとしています。
こうした国の対応方針や、感染のピークが8月中旬まで延びたとしても、確保病床を最大運用すればこの感染拡大を乗り切れる見込みであることも踏まえ、
現下の感染拡大への対応に係る県の基本的考え方としては、
効果が高いと思われる対策に機動的、重点的に取り組みます。
なお、シミュレーション以上に感染が拡大する等により、最大確保病床で運用しても医療がひっ迫する場合には、国とも相談のうえ、行動制限を含む、強い対策を講ずることもありえます。
次に、県の具体的な取組について説明します。
先ほどのシミュレーションで示したように、しばらくは今後も感染が拡大する見込みであり、現下の感染拡大に対して、県として次の3つの事項について主に取り組んでいきます。
病床の確保
現在主流となっているオミクロン株は、デルタ株等とくらべ重症化しにくいことが示唆されています。
しかし感染者数が増えれば、入院者数も増加しますので、医療のひっ迫を防ぐため病床の確保を図ります。
重症化リスクのある高齢者等への対応
高齢者や基礎疾患を有する人は重症化リスクが高いため、こうした方への対応を強化していきます。
急増する自宅療養者への対応
オミクロン株では大多数の方が軽症又は無症状であり、自宅療養となります。
急増する自宅療養者への対応も強化します。
病床確保については、8月1日に病床フェーズを一般フェーズ3(499床)から2段階引き上げました。
これによって緊急フェーズ1(762床)とし、約260床を増床することとしました。
また、感染拡大のスピードや病床使用率を注視し、病床のひっ迫するおそれがある場合は、緊急フェーズ2に引き上げることも検討します。
さらに、県医師会、県病院協会等の関係団体と連携しながら、新たな病床確保にも取り組みます。
※1:一般フェーズとは、一般医療と両立可能な範囲での確保病床数
※2:緊急フェーズとは、一般医療の一部制限が必要となった場合の確保病床数
重症化リスクのある高齢者等への対応としましては、病院、高齢者施設等におけるクラスターの発生予防、拡大防止を図っていきます。
具体的には、高齢者施設等の従事者に対する抗原検査キットを用いた月8回の検査につきましては、この6月から、より精度の高いPCR検査も組み合わせて実施できる体制を整えました。
高齢者施設入所者のワクチン4回目接種については、入所者全員が一斉に接種するのではなく、接種可能なタイミングが来た方から接種を行うことにより、接種促進を図っています。
また、医療従事者、施設従事者のワクチン4回目接種が開始されており、迅速な接種に向けて、市町と連携し取り組でいるところです。
さらに、実際にクラスターが発生した場合には、県で設置する医療福祉クラスター対応班の派遣などにより、施設への早期介入、感染管理指導を行っています。
また、これまで保健所が行っていた積極的疫学調査については、現在の感染拡大状況を踏まえ、一部変更することとします。
具体的には、重症化リスクの高い高齢者施設等への調査に重点的に対応することとし、重症化リスクの低い学校や保育園等の施設に対しては、保健所による積極的な調査を縮小します。
ただし、学校や保育園等で感染者が出た場合の、保健所による相談対応や指導、必要な助言は引き続き実施していきます。
オミクロン株が主流になって以降、高齢者施設等でクラスターが多く発生しており、施設入所者への医療支援が重要な課題となっています。
このため、高齢者施設等の入所者が感染した場合に迅速に治療開始できるよう、
具体的には、次のスライドのイメージ図をご覧ください。
イメージ図のように、
現在、高齢者施設等で陽性者が確認された際には、およそ87%近い施設において普段から入所者を診ている連携医療機関が対応できる状況となっています。
残り約13%の連携医療機関での対応が難しい施設については、「往診可能医療機関」としてご協力くださる127か所(7/26時点)の医療機関に対応していただきます。
これにより、すべての高齢者施設等に対して、往診などにより医療支援を行える体制を整備しているところです。
オミクロン株では、多くは軽症であり、無症状の方も相当数いるため、ほとんどの方は自宅療養となります。
自宅療養中に、症状が悪化したり、薬が切れたりすることもあるため、県では、オンライン診療センターを開設し、対応していますが、このたびの感染拡大に伴い、8月1日からは毎日開設を再開することにします。
また、重症化リスクの高い方に、迅速にラゲブリオ等のコロナ治療薬が提供できるよう、県では経口治療薬相談ダイヤルを設置しています。
これまでのこのダイヤルは、陽性患者だけに案内していましたが、経口治療薬を投与、処方できる医療機関や薬局が県内全域でととのったことから、このダイヤルを今週中に公開して、利用しやすくすることにしました。
また、電話・オンライン診療可能な医療機関239か所を県のHPで公開していますので、自宅療養中でかかりつけ医等がない方も、公開された情報をもとに、電話やオンラインで医療機関の診療や投薬を受けることができます。
【参考リンク】新型コロナウイルス感染症疑いのある方や陽性と診断された方に対する診療・検査について
さらには、陽性者が外来受診できる医療機関は限られているため、県の臨時の医療施設に外来診療機能を追加したところです。
感染が拡大した場合、保健所が直接対応できる人数には現実的な限界があります。
このため、このたびの感染拡大時においても、重症化するリスクのある高齢者等に適切に対応することができるよう、保健所が直接、電話等で調査や健康観察を行う方は、高リスク者に限定し、リスクが低い方への調査や健康観察については、SMSやMy HER-SYSなどデジタル技術を活用して対応していくこととします。
保健所では、感染者への聞取調査や健康観察などの業務を行っています。
県では、オミクロン株の登場による第6波の感染拡大に対応するため、広島県フォローアップセンターを設置し、
・軽症、無症状者の健康観察を委託することや
・厚生労働省の健康観察アプリのマイハーシスの利用促進により、
1日当たり約2,000人程度の新規感染者に対応できる体制を準備してきました。
しかしながら、今回の感染拡大では想定以上に感染者が急増しており、感染者の健康状態等を迅速に確認し、必用な支援を行うためには、さらなる保健所業務の効率化が必要になっています。
このため、これまで全員に個別に電話を行っていた初期の聞取調査について、SMSを活用して実施するよう変更します。
また、低リスク者への対応は、今後は原則、保健所からの電話ではなく、SMSやマイハーシスになります。
直接、話ができないことで不安になったり、SMSやマイハーシスの取扱いに困る方もいらっしゃることが考えられるため、自宅療養者向けの相談ダイヤルを設置することにしました。
SMSを活用した迅速な療養支援について、もう少し詳しく説明します。
今後は療養される方に必要な情報をいち早く届けるため、
新たな仕組みや相談窓口の設置については、現在準備を進めており、8月上旬の運用開始を予定しています。
県では、国の対応方針も踏まえ、ただちには行動制限の要請はしませんが、それは感染対策を疎かにしてよいということではなく、むしろ、一人ひとりの基本的な感染対策によって、感染を制御していくものです。
県のシミュレーションは、一人ひとりが基本的感染対策を徹底し、リスクの高い高齢者等を守る行動をとっていただくことを前提としています。
県民の皆様は、これまでも、繰り返しお伝えしてきましたとおり、次の事項に取り組んでいただくようお願いします。
まずは、必要な場面でのマスク着用、手洗い、換気、三密は一つの密でも避けるといった基本的な感染防止対策を継続してください。
特に夏場は、閉め切った部屋でエアコンをつける日が多くなりますので、ご家庭や事業所・店舗などにおいて、しっかり換気を行ってください。
加えて、
など、感染リスクの高い場面をなるべく回避する行動をとってください。
ワクチン接種については、3回目がまだの方は早めの接種に努めてください。
高齢者をはじめ4回目接種の対象の方は、タイミングが来たら、できるだけ早い接種に努めてください。
加えて、新たに医療従事者や高齢者施設の従事者が4回目接種の対象者とされました。
こちらも3回目接種から5か月経過した従事者の方から、できるだけ早い接種をお願します。
医療を守りながら、県民の皆様の安心な暮らしと社会経済活動とを両立していくためには、
お一人お一人がこれらの対策に取り組むことが絶対に必要です。
それでも感染を減少局面に導けない場合は、強い行動制限が必要となる可能性もあります。
基本的な感染対策について、しっかりと取り組んでくださるよう、改めてお願いいたします。
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