講座やイベントなどの事業を行った後,それで終わりになっていませんか?
事業をさらに良くしていくためには事業を点検・評価することが大切です。
また,法改正により,公民館,図書館などの社会教育施設では,事業を含めた運営の状況について評価に努めること,その情報を提供することに努めることが新たに規定されました。
事業評価の目的,その方法などについての概要をご紹介します。
(「事業評価」としていますが,行政施策についても,基本的な考え方は同じです。)
社会教育を中心とする生涯学習振興領域における事業評価とは,「事業活動の実態や成果を分析・測定し,実施機関・施設・団体等の目標やその事業の目標に照らして解釈・価値判断を加えること」「設定された事業目標をどの程度達成したかを確かめるために情報や証拠を集め,その達成度を判断すること」と言われています。
事業評価には、公民館等が行う学級・講座のような個々の事業(個別学習プログラム)の評価と,事業全体の評価(年間事業評価など)があります。
内部評価(自己評価)をベースにしながら,適宜,外部評価(他者評価),第三者評価を入れていくのが望ましいです。
【達成度】+【そこに至るまでの過程】の両面を総合的に把握することが大切です。
無駄はなかったかを点検するとともに,効果のない事業,必要のない事業については廃止を検討することも大切です。
実際の事業評価については,各自治体で様式等が定まっている場合が多いと思いますが例として,公民館の事業評価の手順を紹介します。
(『生涯学習〔自己点検・評価〕ハンドブック』より)
(手順の前提として,その公民館の目標や計画があるため,つぎの目標と計画を例として以下の手順をしめすこととします。)
目標例:生涯学習のまちづくりに資するため多様な学習機会を提供するとともに,自主的な学習活動を支援し,住民の学習を支援する。
計画例:地域における学習人口を拡大するため,学習機会の充実を図る。
手順1 まずは,評価項目の設定
何を評価するのかを決めます。
例:「地域の歴史,文化,自然等に関する学級講座の実施状況」
手順2 評価指標を設定
評価項目を測定するための評価指標を効率性,費用対効果,必要性,公平性などに着目して作成します。
例:費用対効果「学級講座1件あたりの事業費」
評価指標が一つだけだと評価が一面的になりがちですので,複数の項目があるのが望ましいです。
手順3 評価の観点を作成
評価の観点は,最初に決めた評価項目をどのような点に着目して評価を行うかを示すものです。
例:「地域の歴史,文化,自然等に関する学級講座の実施後,修了者の学習グループ活動を通じて地域の学習人口拡大につながっているか」
手順4 評価表の記入
実際の評価表に記入します。
得られた評価結果をもとに事業の改善を図ったり,計画そのものを見直したりします。
計画(事業計画) → 実行(事業実施) → 評価 → 改善(事業改善)
参考資料:
『生涯学習〔自己点検・評価〕ハンドブック』 井内慶次郎 監修
『生涯学習概論ハンドブック』 国立教育政策研究所社会教育実践研究センター
『評価ブックひろしま』 広島県立生涯学習センター
生涯学習研究e事典 事業評価の技法 原義彦