生涯学習・社会教育行政に初めて携わる方のために,基本的な考え方についてご案内します。
生涯学習の定義については,法律などではっきりと定義されたものはなく,さまざまな意味に使われているようです。
例えば,
・生涯学習社会を築いていくという「考え方」を意味する場合 : 「生涯学習という観点から学校教育を見直そう」
・学習活動としてとらえた場合 : 「あなたは最近何か生涯学習をしていますか?」
などの使われ方をしています。住民のみなさんの学習活動という視点から捉えると,生涯学習とは,人が生涯にわたって学ぶこと,乳幼児期から高齢期まで,生涯のあらゆる時期に行われる学習活動という意味になります。
また,学ぶことによって,自分自身の考え方や行動の仕方が新たに作られたり変わっていくというプロセスと考えることもできます。生涯学習は,自分自身や生活を充実させ,学んだことを生かして活力ある地域や社会をつくるなど,個人のためにも社会のためにも大切なものです。
一人一人が,自発的意思に基づき,必要に応じて,自己に適した手段・方法を選んで,生涯を通じて行うことが生涯学習活動の特性です。
行政は,生涯学習(学習活動)のすべてを支援対象にすることは出来ないので,どこまでを支援するかは,「個人の需要」と「社会の要請」のバランス等を考えながら行うことになります。
1 教育改革を行うため【教育の改革原理としての生涯学習】 学校中心社会から生涯学習体系への改革
学校が青少年だけのものではなく,すべての教育機会をすべての世代で利用できる教育の仕組みを目指したものです。
2 政策課題を解決するため【政策課題の解決原理としての生涯学習】 社会的課題の解決
環境,災害対策,青少年問題,まちづくり,ボランティア活動など,行政の啓発事業や現代的課題に取り組むために生涯学習に期待した事例は多くあります。また,急速な技術革新に対応するための職業知識,技術の習得や資格取得など,職業教育としての面も持っています。
3 人々の学習需要に対応するため【学習の支援原理としての生涯学習】 学習需要への対応
・社会変化への対応(パソコンが使えないと困る・・)
・自己実現への要望(自分探し,仲間探し,役割探し)
・社会参加への要望 (学習して身に着けたことを社会へ還元したい・・)
学習活動の成果は一義的には個人に帰するものですが,地域社会における次のような効用もあります。
*ボランティア活動の活発な地域は,犯罪発生率,失業率が低い傾向にあると言われています。
(内閣府国民生活局調査 「ソーシャルキャピタル 豊かな人間関係と市民活動の好循環を求めて」)
参考資料: