この講義は、社会教育法第9条の5の規定及び社会教育主事講習等規程に基づき、文部科学省から委嘱を受け、社会教育主事となりうる資格を付与することを目的として実施するものです。
国立教育政策研究所社会教育実践研究センターを主会場とし、インターネットを活用した講義の受講や集合形式での講義・演習によって、広島、岩手、宮城、群馬、千葉、神奈川、新潟、長野、静岡、鳥取、島根東、島根西、愛媛、長崎、沖縄の15会場で実施しています。
令和6年1月12日(金曜日)~令和6年2月16日(金曜日)
※うち、広島会場における集合研修は、令和6年2月7日(水曜日)~9日(金曜日)、13日(火曜日)~16日(金曜日)
【広島会場】 広島県情報プラザ(令和6年2月7日(水)~9日(金)、13日(火)~15日(木))、広島県自治会館(令和6年2月16日(金))
【広島会場】 38名
※分割受講者を含む。
生涯学習支援論 36名
社会教育演習 33名
【演習】生涯学習支援論の一部・社会教育演習の一部
※プログラムの詳細はこちらから (PDFファイル)(737KB)
集合対面研修初日は、主会場からライブ配信される講義を受講しました。
講師の志々田先生からは、参加型学習の意義と参加型学習のプロセスについて教えていただきました。参加型学習では、仲間とともに考える過程や自分を見つめ直すことに学習の重きが置かれるので、不安を解消する導入やルールの確認など周到な準備を行うことが大切であることを教えていただきました。その後、「沈黙しない会議を目指して」というテーマでロールプレイを行いました。個人ワークで自分としっかり向き合い、その後のグループの意見交流で、新たな価値や意識の変容を明らかにしていくことで、自己教育力を高め、次の学習プロセスにつながっていくことを体験的に学びました。
講師の清國先生からは、参加型学習と効果的な学習プログラムの立案、ファシリテーターの役割について学びました。参加型学習の手法を用いて、互いに情報を共有できる場面を作ること、そして、効果的に参加型学習を利用することで、「意識変容」や「行動変容」をもたらすことが重要であることを教えていただきました。そのためには、ファシリテーターの関わり方が重要で、参加型学習の特性をふまえて「ラベルワーク」や「ランキング」等の手法を取り入れながら、ファシリテートを行い、参加者の変容や問題解決、合意形成を図ることが大切であることを学びました。
本演習では、学習支援方法としての参加型学習について演習を通じて総合的な理解を図るとともに、参加型学習の運営に求められるファシリテーションの基礎的な知識・技術の習得を図ることをねらいとして、次の2点について演習を行いました。
1.参加型学習の手法を活用した30分の学習プログラムを企画・立案する。
2.一人一回、ファシリテーターとして立案した学習プログラムを展開(実演)する。
まずは、4つのアイスブレイクや実際のワークショップを体験し、それぞれの効果や留意点等について話し合いました。対象によって感じ方や考え方が異なってくることやアイスブレイクの行い方に工夫が必要であることなど、ファシリテートする際に考えておくべきことを、グループ協議を通してたくさん出すことができました。そして、参加型学習において、どのようにワークショップの企画・立案・進行が行われるのかを理解することができました。
その後、グループごとに学習プログラムを作成しました。プログラム作成時には、どのような手法を用いるのが効果的なのか、何をねらってワークショップを行うのか、テーマやねらいに即してグループで熱心に協議をしながら、学習プログラムを企画・立案していきました。
演習最終日には、受講者一人ずつがファシリテーター役として、グループで考えた学習プログラムの実演を行いました。他のグループからも、たくさんの助言をもらい、よりよい学習プログラムにブラッシュアップすることができました。
どのグループもチームワークよく、企画・立案だけでなく、プログラムに合わせて提示物やワークシートなどの準備物も工夫していました。ファシリテーター実演前はとても緊張している様子でしたが、実演後は終わったことに対しての安心感と、グループで協力して考え実演できたことへの達成感で、どの受講者も安堵の表情を浮かべていました。
シンポジウムでは、各登壇者が社会教育主事講習で学んだことをどのように職務に生かしているかなど、現在の職務内容の報告を交えて発表していただきました。社会教育士の先輩の取組の様子を伺い、受講者自身がこれまでの経験や講習での学びを生かして活動していくためのヒントをたくさん教えていただきました。
本演習では、「社会教育計画の策定」の視点と手順について、演習を通じて総合的な理解を図るとともに、事業計画立案の基本的な知識・技術の習得を図ることをねらいとして、次の4点について演習を行いました。
1.社会教育計画策定の手順
2.計画体系・評価体系のフレーム
3.事業の年次計画、評価指標の設定
4.プレゼンテーションの技法
まず、「社会教育計画」の全体像を受講者の方に理解してもらうために、自治体における社会教育計画の位置付けや構造、内容等について講義を行いました。
次に、事前課題シートをもとに4~5人のグループで各自治体の情報共有を行い、各グループでモデル自治体の選定とテーマの設定を行いました。テーマは、「青少年教育」「家庭教育支援」「障害者の生涯学習」の中から一つを選択しました。その後、設定したテーマについて、モデル自治体の社会教育計画や生涯学習推進計画等から現状の課題や施策等の情報を収集し、分析シートに整理していきました。
そして、参加型学習の手法の一つ「ラベルワーク」を使って、モデル自治体をもとに自分たちで考える施策の方向性を検討したり、評価指標を作成したりしながら、計画シートに事業計画案を作成していきました。作成する過程では、各モデル自治体が示す施策や戦略的目標を意識しながら、事業を考え、評価との整合性が取れているか、グループで何度も検討しました。また、作成した計画案等を他のグループに見てもらい助言をもらう「チェック・リデザイン」の時間を2回ほど設けました。改善案を示す意見だけでなく、事業の良い点についても他のグループから評価をもらい、受講者同士が互いに認め合いながら、演習を進めました。
最終日には、成果物の一つであるポンチ絵を提示しながら、グループごとに企画・立案した事業について、プレゼンテーションを行う「成果発表会」を行いました。どのような課題を解決するための事業で、どのような解決を目指しているのかが分かるように、丁寧に説明を行いました。また、対象が社会教育委員と設定されていたので、社会教育委員に伝わるように、限られた時間の中で各グループが工夫を凝らして発表を行いました。質疑応答の時間には、互いの発表に対して、活発な意見交流をすることができました。最後に、当センターの職員から講評を行いました。
本演習、そして、本講習全般を通して、受講者の皆さんは、「論理的思考力」「創造性」「チームワーク」「コーディネート力」など、社会教育に必要とされる様々なスキルを向上させることができました。今後、それぞれの活動の場に戻り、そのスキルを生かして活躍されることを期待しています。
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