スポーツを中心とした地域活性化に取り組むため、広島県では新たに『スポーツアクティベーションひろしま(SAH)』を設置。このチームでは、県民の皆さんがスポーツを通して、地域が元気に、生き生きと笑顔になれるよう活動を進めています。今回は北広島町豊平地域をご紹介。アジアナンバーワンの実力を持つソフトテニスクラブ『どんぐり北広島』をきっかけに、住民同士が自然につながり、たくさんの笑顔が生まれています。
「プレーするだけではなく、応援やサポートなど様々な形でソフトテニスに関わる人が増えました。その過程で住民同士のつながりが生まれ、コミュニティーが誕生しています」。北広島町まちづくり推進課の齋藤栄一さんによると、『どんぐり北広島』が豊平地域へ本格的に拠点を移した2016年から少しずつ地域に変化が起きてきたそう。「アジア大会で金メダルを獲るような選手が、自分たちの地域に暮らし、仕事をし、そしてすぐ近くの施設で練習をする。季節のお祭りや地域行事にも積極的に参加してくれる。かわいい孫を気にかけるように選手たちへの応援の輪が広がり、地域の方々に笑顔が増え、町が活気づいています」。チームや選手たちが地域に溶け込んでいるからこそ、住民もより身近にチームを感じることができているのです。また試合や合宿などで他のチームから選手が来ることで、町への経済効果も。「行政がなにかを仕掛けたわけではなく、自然発生的に生まれたもの。スポーツが持つ一つの力だと思います」。
試合がある日は、地域の方々が応援に駆けつける。中にはソフトテニスのルールが分からなくても、とにかく選手に声援を送りたいという思いで応援に来る人も。
選手たちが毎日食べる米は、地域の方の協力のもと地元で栽培される。選手たちが農作業を手伝うことも、このチームの大切な役割。
地元の子どもたちに月1回のソフトテニス講習会を開くことは、チームが北広島へ移転する条件の一つだった。世界トップレベルの選手たちと交流できることは、大きな財産に。
二十歳を迎える選手は、地域の住民が成人式を主催してくれ、着付けやヘアメイクなどもサポート。地域で同世代のつながりができるきっかけにもなる。
どんぐり北広島ソフトテニスクラブ
中本 裕二監督
「本当に北広島に来てよかった。これからのスポーツは、企業が支えるのではなく、地域と共に育つ時代だと思います」
日本で一番最初の地域密着型ソフトテニスクラブにしようと、ここにやって来ました。本当に地域の方たちが良くしてくれます。食事や住まいなど、何でも面倒を見ようとしてくれるんです」と話すのは中本裕二監督。『どんぐり北広島』の前身である実業団チームだった頃から、このチームを率いています。「毎日のようにコートに来てくれる人たちもいます。支えてくれる方々のためにも、優秀な成績を収めたいですね。地域の人たちにも、全日本ソフトテニス選手権の優勝カップに触れさせてあげたいと思っています。ソフトテニスを通してどう地域に貢献できるかが重要です。地域密着型のチームである私たちが、新しいスポーツチームの在り方を示していくことも忘れてはいけませんね。
一般財団法人 どんぐり財団専務理事
関口 昌和さん
町の職員時代に、ソフトテニスチームを北広島へ誘致することに尽力。「大切なのは核となる人を見つけ、人と人とをつなげること、そして情熱です」
『どんぐり北広島』の前進の実業団チーム時代に北広島町に移転するきっかけをつくった、どんぐり財団の関口昌和専務理事は「スポーツだけでなく、なにか新しいことを始めるときは、核となる人物を探し出すことが重要だと考えています」。現在の『どんぐり北広島』を中心とした、地域ぐるみのコミュニティーが形成される核となったのがまさに関口さん。「関わる人たちの情熱をつなげれば、どんなスポーツでもどんな町でも地域を巻き込んで活性化していくと実感しています」。 SAHは、北広島町に限らずほかの地域でも、スポーツが住民同士のつながりをつくったり、まちを元気にできると信じて、各市町と一緒に、そのきっかけ作りを行っています。
スポーツアクティベーションひろしま(SAH)始動!
広島県はスポーツの力で広島をもっと笑顔にするために、2020年4月にSAHを設置しました。チャレンジしているのは、県内各地域の様々なスポーツ資源による地域活性化。スポーツマネジメント、まちづくりのコンサルタントや広報の専門家など幅広い分野の方々をアドバイザーとして迎え、様々なプロジェクトの推進を行います。さらに、プロアマ問わず県内スポーツチームの情報発信なども行っていきます。
スポーツを通して、地域の人を笑顔にすることがSAHのビジョンです。スポーツの種別にこだわらず、資源や特性を活かしてその地域が盛り上がるような活動をバックアップしていきます。広島県内全23市町それぞれ、個性あふれる姿を実現できるよう推進していきます!
SAH代表
神田康範さん
1981年熊本県生まれ。
大学卒業後、大手スポーツメーカーに入社し5年間米国支社に勤務。帰国後、大手スポーツマネジメント会社などを経て「HondaEstilo」で本田圭佑のマネジメントを担当。2015年から、オーストリアサッカー2部リーグ「SVホルン」CEOに就任。2018~2019年まで、Bリーグライジングゼファーフクオカの代表取締役を務める。
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