平成23年に初めて特定された、Sftsウイルスに感染することにより引き起こされる病気で、主な症状は発熱と消化器症状で、重症化し、死亡することもあります。
Sftsウイルス自体は、以前から国内に存在していたと考えられますが、平成25年1月に国内で初めての症例が確認され、これまでに30都府県で939例の症例が確認されています(令和6年1月31日現在)。広島県においては、平成25年2月に1例目が確認されて以降、91例(うち17例で死亡)の症例が確認されています(令和6年9月27日現在)。
多くの場合、ウイルスを保有しているマダニに咬まれることにより感染していますが、感染患者の血液や体液との接触感染も報告されています。インフルエンザなどのように容易に人から人へ感染して広がるものではないとされています。その他、SFTSウイルスに感染したネコやイヌから、ヒトがSFTSを発症したとみられる事例も報告されています。
マダニに咬まれてから6日から2週間程度の潜伏期間を経て、主に原因不明の発熱、消化器症状(食欲低下、嘔気、嘔吐、下痢、腹痛)が出現します。
時に頭痛、筋肉痛、神経症状(意識障害、けいれん、昏睡)、リンパ節腫脹、呼吸器症状(咳など)、出血症状(紫斑、下血)を起こします。
No. | 診断日 | 年齢性別 | 転帰 | 発症(死亡)時期 |
1 | H25.2.19 | 成人男性 | 死亡 | 平成24年夏 |
2 | H25.6.3 | 60歳代女性 | 生存 | 平成25年5月 |
3 | H25.9.2 | 70歳代男性 | 生存 | 平成25年8月 |
4 | H25.10.17 | 70歳代男性 | 生存 | 平成25年9月 |
5 | H25.10.25 | 60歳代男性 | 生存 | 平成25年10月 |
6 | H26.6.5 | 60歳代女性 | 生存 | 平成26年5月 |
7 | H26.6.13 | 60歳代女性 | 生存 | 平成26年5月 |
8 | H26.10.2 | 60歳代男性 | 生存 | 平成26年9月 |
9 | H27.4.28 | 80歳代女性 | 生存 | 平成27年4月 |
10 | H27.5.8 | 80歳代女性 | 死亡 | 平成27年5月 |
11 | H27.6.2 | 70歳代女性 | 生存 | 平成27年5月 |
12 | H27.6.4 | 70歳代女性 | 死亡 | 平成27年6月 |
13 | H27.6.11 | 70歳代男性 | 生存 | 平成27年6月 |
14 | H27.7.22 | 80歳代男性 | 生存 | 平成27年7月 |
15 | H27.7.22 | 70歳代女性 | 生存 | 平成27年7月 |
16 | H27.8.20 | 70歳代女性 | 生存 | 平成27年8月 |
17 | H27.9.3 | 60歳代男性 | 生存 | 平成27年8月 |
18 | H27.11.11 | 80歳代男性 | 生存 | 平成27年11月 |
19 | H28.9.1 | 60歳代男性 | 生存 | 平成28年8月 |
20 | H28.9.23 | 60歳代男性 | 生存 | 平成28年9月 |
21 | H28.10.14 | 70歳代女性 | 死亡 | 平成28年10月 |
22 | H29.6.24 | 90歳代女性 | 死亡 | 平成29年6月 |
23 | H29.6.30 | 80歳代女性 | 生存 | 平成29年6月 |
24 | H29.7.26 | 70歳代男性 | 生存 | 平成29年7月 |
25 | H29.8.1 | 50歳代女性 | 生存 | 平成29年7月 |
26 | H29.10.19 | 70歳代女性 | 生存 | 平成29年10月 |
27 | H30.4.28 | 70歳代男性 | 生存 | 平成30年4月 |
28 | H30.7.14 | 70歳代男性 | 死亡 | 平成30年7月 |
29 | H30.7.17 | 40歳代女性 | 生存 | 平成30年7月 |
30 | H30.8.2 | 80歳代男性 | 死亡 | 平成30年8月 |
31 | H30.8.6 | 80歳代男性 | 生存 | 平成30年8月 |
32 | H30.9.28 | 60歳代男性 | 生存 | 平成30年9月 |
33 | H30.9.28 | 40歳代男性 | 生存 | 平成30年9月 |
34 | H30.10.11 | 70歳代女性 | 生存 | 平成30年10月 |
35 | H30.10.17 | 60歳代男性 | 生存 | 平成30年10月 |
36 | H30.10.26 | 30歳代男性 | 生存 | 平成30年10月 |
37 | H31.4.24 | 70歳代男性 | 生存 | 平成31年4月 |
38 | R1.7.18 | 70歳代男性 | 生存 | 令和元年7月 |
39 | R1.7.31 | 80歳代男性 | 生存 | 令和元年7月 |
40 | R1.10.8 | 60歳代男性 | 生存 | 令和元年9月 |
41 | R1.10.8 | 90歳代女性 | 死亡 | 令和元年9月 |
42 | R1.10.12 | 80歳代女性 | 死亡 | 令和元年10月 |
43 | R1.10.15 | 70歳代男性 | 生存 | 令和元年10月 |
44 | R2.2.4 | 60歳代女性 | 生存 | 令和2年1月 |
45 | R2.5.11 | 70歳代女性 | 死亡 | 令和2年5月 |
46 | R2.5.20 | 60歳代男性 | 生存 | 令和2年5月 |
47 | R2.6.11 | 80歳代女性 | 生存 | 令和2年6月 |
48 | R2.6.23 | 70歳代女性 | 生存 | 令和2年6月 |
49 | R2.6.25 | 30歳代男性 | 生存 | 令和2年6月 |
50 | R2.6.30 | 60歳代女性 | 生存 | 令和2年6月 |
51 | R2.8.21 | 80歳代女性 | 生存 | 令和2年8月 |
52 | R2.9.29 | 90歳代女性 | 死亡 | 令和2年9月 |
53 | R2.10.9 | 60歳代女性 | 生存 | 令和2年10月 |
54 | R2.10.27 | 70歳代男性 | 死亡 | 令和2年10月 |
55 | R2.12.12 | 70歳代男性 | 生存 | 令和2年12月 |
56 | R3.3.5 | 70歳代男性 | 生存 | 令和3年3月 |
57 | R3.4.12 | 60歳代女性 | 生存 | 令和3年4月 |
58 | R3.5.19 | 70歳代女性 | 生存 | 令和3年5月 |
59 | R3.5.25 | 70歳代女性 | 生存 | 令和3年5月 |
60 | R3.6.1 | 50歳代女性 | 生存 | 令和3年5月 |
61 | R3.6.14 | 70歳代女性 | 生存 | 令和3年6月 |
62 | R3.6.16 | 70歳代男性 | 生存 | 令和3年6月 |
63 | R3.7.21 | 90歳代女性 | 死亡 | 令和3年7月 |
64 | R3.7.26 | 90歳代男性 | 死亡 | 令和3年7月 |
65 | R3.8.6 | 70歳代男性 | 生存 | 令和3年7月 |
66 | R3.8.30 | 70歳代男性 | 生存 | 令和3年8月 |
67 | R3.10.14 | 60歳代男性 | 生存 | 令和3年10月 |
68 | R3.11.4 | 70歳代女性 | 生存 | 令和3年10月 |
69 | R4.4.13 | 60歳代男性 | 生存 | 令和4年4月 |
70 | R4.5.11 | 60歳代男性 | 生存 | 令和4年5月 |
71 | R4.5.27 | 70歳代男性 | 生存 | 令和4年5月 |
72 | R4.5.30 | 80歳代男性 | 死亡 | 令和4年6月 |
73 | R4.6.28 | 50歳代女性 | 生存 | 令和4年6月 |
74 | R4.7.15 | 10歳代女性 | 生存 | 令和4年7月 |
75 | R4.7.20 | 60歳代男性 | 生存 | 令和4年7月 |
76 | R4.9.26 | 80歳代男性 | 生存 | 令和4年9月 |
77 | R5.6.14 | 60歳代男性 | 生存 | 令和5年6月 |
78 | R5.6.26 | 80歳代女性 | 生存 | 令和5年6月 |
79 | R5.7.26 | 70歳代女性 | 生存 | 令和5年7月 |
80 | R5.7.28 | 80歳代男性 | 生存 | 令和5年7月 |
81 | R5.8.3 | 70歳代男性 | 死亡 | 令和5年8月 |
82 | R5.8.10 | 80歳代男性 | 生存 | 令和5年8月 |
83 | R5.8.16 | 70歳代女性 | 生存 | 令和5年8月 |
84 | R5.9.26 | 80歳代男性 | 生存 | 令和5年9月 |
85 | R6.4.25 | 50歳代男性 | 生存 | 令和6年4月 |
86 | R6.5.1 | 60歳代男性 | 生存 | 令和6年4月 |
87 | R6.5.20 | 70歳代女性 | 生存 | 令和6年5月 |
88 | R6.5.22 | 60歳代男性 | 生存 | 令和6年5月 |
89 | R6.6.5 | 50歳代女性 | 生存 | 令和6年5月 |
90 | R6.6.13 | 70歳代男性 | 死亡 | 令和6年6月 |
91 | R6.6.26 | 50歳代男性 | 生存 | 令和6年6月 |
マダニとは、食品などに発生するコナダニや衣類や寝具に発生するヒョウダニなど、家庭内に生息するダニとでは種類が異なります。
マダニ類は、固い外皮に覆われた比較的大型(吸血前で3~4mm)のダニで、主に森林や草地などの屋外に生息しており、市街地でも見られます。
日本全国に分布しています。
(写真提供:広島県立総合技術研究所保健環境センター)
【ポイント】
マダニは、家庭内にいるダニとは種類が異なります。
(調査方法)
実施機関:広島県立総合技術研究所保健環境センター
調査地点:A地点(標高162m)、B地点(標高65m)
調査期間:2010年から2011年
※ その他広島県内では、3属11種のマダニ類を確認している。
※ 最高気温10℃以下で減少し、5℃以下でほとんど採取できなかった。
(写真提供:広島県立総合技術研究所保健環境センター)
(写真提供:広島県立総合技術研究所保健環境センター)
医療機関(皮膚科等)で処置(マダニの除去、洗浄など)をしてもらってください。 無理に引き抜こうとするとマダニの一部が皮膚内に残って化膿したり、マダニの体液を逆流させて病原体が体内に入りやすくしてしまう恐れがあります。
マダニに咬まれた後、数週間程度は体調の変化に注意をし、発熱等の症状が認められた場合は、すみやかに医療機関で診察を受けて下さい。受診する際は、経緯などを含め医師に相談してください。症状がない場合は、受診する必要はありません。
症状がある場合は、まず医療機関を受診してください。医師が診察に基づき、検査が必要か判断されます。
症状がない場合は、検査は不要です。なお、マダニ自体の検査は実施していません。
令和2年6月に、広島県においても初めて、ネコからSFTSウイルスに感染し、発症したとみられる事例が確認されました。
・SFTSウイルスに感染し、発症している動物の血液などの体液に直接触れた場合、感染する可能性があります。
・健康なネコやイヌ、屋内のみで飼育されているネコやイヌからヒトがSFTSウイルスに感染した事例はこれまでに報告されていません。
・動物を飼育している場合、過剰な触れ合い(口移しでエサを与えたり、動物を布団に入れて寝ることなど)は控え、動物に触ったら必ず手洗い等をしましょう。
・動物のマダニは適切に除去しましょう。
・飼育している動物の健康状態の変化に注意し、体調不良の際には動物病院を受診してください。
SFTSを発症したネコやイヌの体液等からヒトが感染することも否定できないことから、SFTSの疑いのある患者を診察した場合には、マダニ以外に、原因不明の病気のネコやイヌとの接触歴等について、診断の参考としていただくようお願いします。
病気のネコやイヌに触れる機会の多い獣医療関係者は、SFTSウイルスの感染リスクがより高いと考えられることから、患畜の取扱いには手袋を着用するなど、標準予防策及び必要に応じて接触感染予防策を徹底いただくようお願いします。
ダニに咬まれた場合など、最寄りの保健所等へご相談ください。
保健所名等 | 管轄地域 | 連絡先 |
---|---|---|
広島県西部保健所 |
大竹市、廿日市市 | 0829-32-1181 |
広島県西部保健所広島支所 |
府中町、海田町、熊野町、坂町、 安芸高田市、安芸太田町、北広島町 |
082-228-2111 |
広島県西部保健所呉支所 |
江田島市 | 0823-22-5400 |
広島県西部東保健所 |
竹原市、東広島市、大崎上島町 | 082-422-6911 |
広島県東部保健所 |
三原市、尾道市、世羅町 | 0848-25-2011 |
広島県東部保健所福山支所 |
府中市、神石高原町 | 084-921-1311 |
広島県北部保健所 |
三次市、庄原市 | 0824-63-5181 |
広島市中保健センター |
広島市中区 | 082-504-2528 |
広島市東保健センター |
広島市東区 | 082-568-7729 |
広島市南保健センター |
広島市南区 | 082-250-4108 |
広島市西保健センター |
広島市西区 | 082-294-6235 |
広島市安佐南保健センター |
広島市安佐南区 | 082-831-4942 |
広島市安佐北保健センター |
広島市安佐北区 | 082-819-0586 |
広島市安芸保健センター |
広島市安芸区 | 082-821-2809 |
広島市佐伯保健センター |
広島市佐伯区 | 082-943-9731 |
広島市健康推進課 |
広島市 |
082-504-2622 |
福山市保健所 |
福山市 | 084-928-1127 Fax 084-921-6012 夜間 084-921-2130 |
呉市保健所 |
呉市 | 0823-25-3525 Fax 0823-24-6826 夜間 0823-25-3590 |
広島県感染症・疾病管理センター |
県内 |
082-513-3068(休日・夜間含む) |
Sfts等マダニが媒介する感染症を予防するためには、
マダニに咬まれないようにすることが重要です!
特に、マダニの活動が盛んな春から秋にかけては、
農作業・庭仕事・レジャーなど野外で活動する際には、次の点に注意してください。
(出典)厚生労働省「重症熱性血小板減少症候群に関するQ&A」
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