学習指導要領の法的性格について
学習指導要領は,国会で制定された「学校教育法」の規定をうけて「学校教育法施行規則」で定められており,法体系に位置付けられていることから,国民の権利義務に関係する「法規」としての性質を有するものと解されます。
学校教育法 第33条
小学校の教育課程に関する事項は,第29条及び第30条の規定に従い,文部科学大臣が定める。 |
準用:第48条(中学校)第52条(高等学校)第68条(中等教育学校)第77条(特別支援学校)
学校教育法施行規則 第52条
小学校の教育課程については,この節に定めるもののほか,教育課程の基準として文部科学大臣が別に公示する小学校学習指導要領によるものとする。 |
準用:第74条(中学校)第84条(高等学校)第109条(中等教育学校)第129条(特別支援学校)
小学校学習指導要領 (中学校,高等学校,特別支援学校) |
※参考 学習指導要領の法規としての性質に関する判決例
伝習館高校事件(平成2年1月18日 最高裁判決 昭和59年(行ツ)第45・46号)《抜粋》
「高等学校学習指導要領(昭和35年文部省告示第94号)は法規としての性質を有するとした原審の判断は,正当として是認することができ,右学習指導要領の性質をそのように解することが憲法23条,26条に違反するものでないことは,最高裁昭和43年(あ)第1614号同51年5月21日大法廷判決の趣旨とするところである。」
「高等学校の教育は,高等普通教育及び専門教育を施すことを目的とするものではあるが,中学校の教育の基礎の上に立って,所定の修業年限の間にその目的を達成しなければならず(学校教育法41条,46条参照),また,高等学校においても,教師が依然生徒に対し相当な影響力,支配力を有しており,生徒の側には,いまだ教師の教育内容を批判する十分な能力は備わっておらず,教師を選択する余地も大きくないのである。これらの点からして,国が,教育の一定水準を維持しつつ,高等学校教育の目的達成に資するために,高等学校教育の内容及び方法について遵守すべき基準を定立する必要があり,特に法規によってそのような基準が定立されている事柄については,教育の具体的内容及び方法につき高等学校の教師に認められるべき裁量にもおのずから制約が存するのである。」
また,旭川学力テスト事件(昭和51年5月21日 最高裁判決)や大阪府立東淀川高校日の丸掲揚損害賠償請求事件(平成8年2月22日 大阪地裁判決)などにおいても同様に学習指導要領の法規としての性質を認める判決が出されています。
作成日:平成12年7月19日
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